“作物語”

キーン、コーン、カーン、コーン。

聞きなれたチャイムが鳴る。 それは、午後の日差しを浴びる教室、学校の終わりを告げる鐘の音だ。

「ふぅ、終わった終わったぁ!」

「うん、今日は金曜日だから、明日から二日間休みだね」

「ふぅ、力がぬけますなー。さて何してあそぼうカシラン☆」

「遊んでばかりもいられないわよ。来週にはテストがあるんだから、勉強もしないとね」

「それについては、大丈夫だ。問題ない。って奴よ」

「本当かしらねー」

「あ、そういえば今日も、学校来なかったわね。タカギ君」

「あ、そういえばあのメガネ、もう三日間も学校きてないじゃない」

「どうしたのかしら」

「そりゃもちろん、男の事情ってやつよ」

「男の……事情?」

「そうだ! いいこと思いついた! 今日の放課後、アイツの家に行きましょうよ!」

「あ、それいいわね。もしかしたら風邪ひいて休んでたりするのかも」

「でしょ!、決定ね!」

そして、時がたち。 二人は、タカギの家の前にいた。

ピン、ポーン。

「学校帰りにそのまま来ちゃったけど。タカギ君いるかな?」

「コラー! でてこいでてこい!」

「ちょっと、そんな騒いだら悪いわよ。近所の人にも迷惑でしょ?」

「大丈夫大丈夫! ここらへんは、川と山に囲まれてて、近所っていってもここから百メートル位進まないと

民家なんてないから」

「確かに、そうだけど」

ガチャッ。 二人が会話していると、タカギの家から一人の男性が出てきた。

「お、いらっしゃい。どうしたんだ? 二人とも」

現れたのは、派手色の髪をした。 だらしなく衣服を緩めた男だった。

「あ、コンニチワ。私、ミチコっていいます。タカギ君いますか?」

「うひょー、ミチコちゃん! なぜ僕の家に!?」

「つか、何言ってんの? 僕がタカギだろ?」

「はい?」

「え?……」

「なんだよなんだよ、二人してどうしちまったんだ? っと立ち話も難だし。あがってくれよ」

「え、あっと、わかりました……」

「え、えっと……とりあえずあがりましょうか」

戸惑う二人より先に、タカギが玄関の扉を大きく開けて、手招きしてから中に入っていった。

「……」

「……彼、何者? てっきりタカギ君の兄かと……兄と同じ名前ってのも変な話だし」

「あのメガネに兄がいたなんて知らない……まぁ、あがりますか」

二人は、しぶしぶ彼の家にあがった。

「いやー、二人とも急にどうしちゃったの? 何々お見舞い?」

「ま、まぁそんなところ……かなぁ?」

「そういえば、た、タカギ君?どうして三日間も学校休んだの?」

「え?休んだって、聞いてないの?僕、風邪ひいてたんだよ」

「まっ風邪は昨日完治した。でも、今日はなんというか、登校するのが面倒だったんだよ」

「へ、へー。そうなんだぁ」

「ごほんっ、タカギ君ちょっといい?」

「ん?何々?」

「質問なんだけれど……アナタここ三日間で随分変わっていない?」

「変わる?僕が?……変わったのかなぁ?よくわからん」

「いやいやいや! すんごい変わってる。容姿、服のセンス。他色々」

「そ、そうか? うーんちょっとわかんないな」

「タカギ……アンタ眼鏡どうしたの?」

「それがさ、無くしちまったんだ。ずっと常備してんだから、たぶん風呂場か寝室のどっちかにあると思う」

「風呂場と寝室……唯一、日常生活でメガネをはずすときよね」

「というか、そんな事どうでもいいから、今、お茶でも入れてくるよ」

そういうと彼は、とっとと走って行ってしまった。

「……」

「いったい何が起こっているの?明らかに彼、前のタカギ君とは違うわよね」

「違うも何も別人じゃん! 何よあれ」

「私の知ってるタカギは、→こういうのよ」

「それがどういう経緯で、あんなチャラついてるわけ? どうせアイツお得意の悪ふざけ、冗談?

戯言なのには変わりないわ」

「なるほどね……」

「うわあああああああ! おまえ、誰だ!?」

突然、タカギの向かった方向から、大きな怒鳴り声が聞こえた。

「な、何?」

と、次の瞬間。 タカギが血相をかいて全力ダッシュにて、二人の前に現れた。

「ふ、二人とも!、風呂場に誰かいるんだ!」

「誰か?」

「うん、どうしよう! 空き巣かな?随分チャラツイタ奴だったし、もしかしたら拳銃とか持ってるかも!」

「チャラツイタ……人物?」

「うんと、幾つか質問いいかしら?そのチャラツイタ人物、私達の学校の制服を着ていた?」

「え?あぁ、あまり覚えていないけど、何せ、急いで逃げてきたから、着てた…かもな」

「そ、そう……」

「えっと、質問!星形のピアスつけてた?」

「え……あぁ、つけてた。それはすごく印象にのこってる。片耳に星形のやつを……」

「って、どうして犯人像を?」

「ゴホンッ、タカギ君、ちょっとこの鏡で、自分の顔見てくれる?」

「ん?手鏡?……いいけど、どうしたの?」

言われるがまま、彼は手渡された手鏡に、自分を写した。

「…………?」

「ダレだお前!?」

「あんたよ!、本当に気づいてなかったの?」

「え? これ俺? えっと、どうして? なんじゃこりゃあああああ!?」

「いつからそうなったかは知らないけど、お風呂とか入ってたんでしょ? どうして気づかなかったのよ」

「うぅ、だって、僕そんなに、自分のこと鏡でみたりしないし……つかコレ、どゆこと?」

「さぁ、わからないわ」

「…………」

「…………」

「あんた何者よ!」

「何者って、私は、ミツキよ」

「な、なんですって……」

「何? 私のこと忘れちゃったの?」

「そうだぞミチコ。コイツは正真正銘、僕の幼馴染のミツキだろ?」

「い、いったい何がどうなって……」

突然、少女の視界が暗くなる。 それは終わりを告げる暗闇。 彼女の夢想が溶けてゆく……。

「っていう夢を見たのだけど。ミツキ何か心あたりある?」

「え、えっと、私はないわね……てか、それ夢でしょ?」

「うん……まっ所詮夢か、ごめんね急に、ただ妙に気になちゃってさ」

二人が朝の教室で会話をしていると。 突然、教室後ろ側の扉が開け放たれる。

「おはよう! 皆、元気だったかい? いやー、風邪をひいて休んだ三日間と、土日合わせて五日間ぶりの学校

だぜえ!」

「……」

「…………」

「正夢って怖いわね……」

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Posted at 2012/04/29 15:53 Viewed 14 times

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作り話っしっしし

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