“お兄ちゃまとあそぼ!2”

お兄ちゃま、お兄ちゃま~! ヒカリったら、やりました!

じゃじゃーん♪ 学校の合唱コンクールで最優秀賞とっちゃったのでーす!

わあ、すごいじゃないか! おめでとう、ヒカリ。

えへへ、お兄ちゃまに褒められた♪ 一人でがんばったかいがあったよ。

へぇ、合唱コンクールなのに、ソロで歌ったんだ。 ヒカリは歌が上手だからね。

良かったら僕にも聞かせてくれるかい、歌姫さん?

お兄ちゃまにだけ、特別だよ? いち・にぃ・さん、はい♪

丘ぁーをこーえー ゆこーうよー♪

喉笛ぇー、裂きつーつー♪

ちょっと待って、ヒカリ! なにか……おかしくないかな……? 肉食的な事になってないかな?

や、やだっ! ヒカリったら、歌詞間違えちゃいました!

最初から、さん・はいっ♪

丘を越ーえー 行こーうよ♪ 口笛ぇー ふきつーつー♪

空ぁーは澄み あおーぞらー♪……

……うーん、いい天気。

キレイな景色、おいしい空気。 お腹の子のためにも、ここに来て良かった……

巻場さん。あなた、やはり妊娠していたのね……

奥さま! どうしてここが……

主人から聞いたわ。 ……お腹の子は主人の子どもね?

跡取りが産めない私に同情したふりをして、使用人の分際で影で主人と通じていたなんて……

違うんです、奥さま! これには訳が……

おだまり、このドロボウネコ! あなただけ幸せになるなんて許せない!

キラーン!

死ね、巻場!

……巻場を刺ーしてー♪

やっぱりおかしくないかな……? 何で昼ドラ的血まみれ展開になるのかな……?

んもー。お兄ちゃまったら、ヒカリが気持ちよく歌っているのに、どうして邪魔をするんですか?

そんなだから学校の裏サイトに 「むっつりマゾ」なんて書きこまれちゃうんですよ?

怒らないから言ってごらん。 それを書きこんだのはヒカリだね?

さっすがお兄ちゃま! ヒカリの事はなんだってお見通し♪

そっかー。罪悪感とか一切ないんだね。うわー。

続き、いっきまーす!

歌おー ほがらにー♪ ともに手を取り♪ ラララ・ララ・ララ・ララ♪

ララ・ララ あひるさん♪

ジュー ジュー

(焼けてる……)

ララ・ララ くまさんも♪

え?

グウウウウゥ…… ギシュアアアアアアア!

く、熊だ! リアルにツキノワグマが出た!

お兄ちゃん、下がって。 ここはヒカリにまかせて!

野生動物ふぜいが、お兄ちゃまを怯えさせるなんて許せない! ヒカリの拳を受けちゃいなさい!

グルルゥ……ガアアアアッ!

龍・頭・衝・拳ッ!

危ない、ヒカリ!

ザシュ……!

ギュウゥ……

ズド……ン!

やった……の? ヒカリ、ヒカリは大丈夫!?

しっかりして、お母様!

ヒカ……リ……、よくここまで成長したわね……

どうして私を熊の牙から庇ったの? お母様は、ずっと私を疎んでいるのだとばかり思っていたのに……

……お取り込み中悪いんだけど、この女の人は誰なのかな、ヒカリ? うちの母さんはこの人じゃないよ?

私とお母様は、血がつながっていないのに……

うわー、完全にシカトだー。

決まって……いるでしょ……? あなたが跡取りだから……龍頭衝拳の唯一の使い手だから……

……なんて、ね。 どうしてかしら……私にもわからない……

あなたが巻場によく似ているからかしら……

巻場――私の、本当の母親のことね?

巻場と私は、立場の違いはあれど親友だった。……そう思っていたのは、私だけだったのかもしれないけれど。

彼女と過ごした日々は、おままごとのように幸福だった。ふふ、二人でピクニックにも行ったのよ?

懐かしいわ……ララ、歌声合わせよ 足並み…… ゲフ、ゲフン!

血が……! お母様、もうしゃべらないで!

あしなみ……そろえよ…… 今日は……ゆ……かい……

………………

お母様ああああああ!

母を失い涙にくれるヒカリ――その前に新たなる敵が立ちはだかる!

国税局のものですが、相続の件で少しお話をさせていただいてよろしいですか?

次回『マルサへの送葬歌(ララバイ)』。 来週もお楽しみにね!

えへへ、お兄ちゃま、どうでした? どうでした?

……………………。

……うん、すごく個性的だった。 (理解不能な前衛芸術に対する模範的感想)

僕、なんだかものすごく疲れたから、もう寝ることにするよ。

ヒカリも早めに寝た方がいいよ。 明日も学校だろ?

ううん、ヒカリはおやすみ。 クラスが学級閉鎖なのです。

学級閉鎖? インフルエンザでも流行ってるの?

ヒカリのクラス、みんなクマさんに食べられちゃったのです!

これは夢だ……これは夢だ……これは夢だ……!

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Posted at 2012/09/16 02:16 Viewed 80 times

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「ピクニック」は作詞・萩原英一先生の没後50年を経過している為、著作権が消滅しているものとして使用させていただきました。未来へも歌い継がれる素晴らしい詩だと思います!

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