“女子力 後編”

お肉切ってください。

いいけど、いつもの自己紹介はいいの?

いや、あれ真面目に聞いてる人なんて居ないでしょ? 今回はパスで。

ま、あなたがそう言うならね?

さっきの続きですが、じゃがいもは水につけてアクを抜いてくださいね。

いちいちうるさいわね。 気にしてたら何もできなくなるわよ。

そもそも、お嬢は気にしなくてても、何も出来ないでしょうが。

だって、料理なんかしたこと無いんだもの。

お嬢。 お言葉ですが、誰にだって初めてはあります。

その初めてを超えて、たくさん練習して、初めて修得するもんです。

いつになく、真面目なことを言うじゃない。

確かに、あなたの言うことは一理あるわ。

私が、間違ってたわ。 ごめんなさい。

でも、”初めて”って一回きりですから。 変な失い方をしてはいけませんよ。

ええ。 ほんとにそう思うわ。最初の一歩が肝心よね。

お金をもらっても失っちゃいけません。 大事にしてください。

そこまで大事なの? わかった。気をつけるわ。

・・・

お嬢? 「S」から始まって「X」で終わる、気持ちよく感じる英単語はなんですか?

え? 「SAX」じゃないの?

「SAX」って演奏してて楽しいのよ?

この人、意外と純情やああ!

お嬢。 今まで失礼なこと言ってすみませんでした。

なによ。急に。 それより、次何すればいいか教えてちょうだい。

素材の準備が終わったら、今度は炒めてください。

やっと料理らしくなったわね。

火が無いと料理らしくないなんて・・・ 冷奴、涙目やで・・・

冷奴なんて、ただのサボり料理よ。

全国の主婦を敵に回したぞ、この金持ち!

なによ。 時間とお金を節約できるサボり料理はステキだと思うわ。

主婦を敵に回すのが怖くて、発言を撤回しやがった・・・

ごちゃごちゃ言わないでさっさと炒めるわよ。

ジュー・・・シャッ・・・・

ジュー・・・パンっ!

キャっ!

油を入れすぎですね。 入れすぎなくても、油は跳ねることあるので気をつけてくださいね。

油なんて嫌いよ。太るし。危ないし。

そんな事言ってるから、胸に油が回らないんでしょうね!

油のシミで「みかん」を「みがん」にするわよ。

いやぁ!私のアイデンティティがなくなるからやめてぇ!

で、炒め終わったわよ。

途中、火力が強まったおかげで早くできましたね。

では、次は煮込んでくださいな。 調味料はこちらで調合しておきましたので。

あら?気が利くじゃない?

いえ、お嬢なら、砂糖と塩を本気で間違えて取り返しのつかないことになりそうだったので。

反論できないわね・・・

それに、お嬢だとひねりをきかして、砂糖と佐藤を間違えてたり、塩とシオ(ロシア語で子犬)を間違えたり。

あんた、ホントに犬のトイレにするわよ。

てゆーか、犬を料理に使うわけ無いでしょう。

あれ?お嬢知らないんですか?

中国では、犬を料理に使うんですよ?

ワンちゃんかわいそう・・・

まぁ、いろんな文化がありますからね。日本だってクジラで揉めてますし。

他の文化に口出しは無用ってことね・・・

That's right! さすがはお嬢。分かってらっしゃる。

キャラが一定しないわね、あなた・・・

ところでお嬢? 先日、私の部屋にあったフィギュアが消失していたんですが。

捨てたわ。 全部ね?

文化を大事にしろー!

ごめんなさい。 わざとよ。

故意でも謝ればいいってもんじゃねーぞ!?

で?煮込み終わったわよ?

ダイナミックスルースキル!

あれ? お嬢?アク取りしてないじゃないですか。

また、アク取り? 面倒ね?

アク・即・斬!

斉藤様の名台詞を改変しないでもらえる?

お嬢が漫画読んでたとは意外ですね。 その手のものは読まないと思ってました。

まぁ、少しだけですけどね。

ほほう? 例えば?「君○届け」とか「ワン○ピース」とかですか?

ジョジョ○奇妙な冒険とか、かしら

うわあ!お嬢のイメージから著しく離れてますよ!?

私は五部派よ。

いいセンスしてんな、この人!

ってゆーかどこで読んだんですか? お母様はそういう作品を好む方ではなかったと思いますが。

私の友だちよ。

あぁ・・・あの子なら納得です。 (第二話参照)

まぁ、ジョ○ョトークはしたいですけど、ページが足りなくなるのでやめておきましょう。

てめぇは俺を怒らせた。

いや、だから止めましょうって。

なによ、ノリが悪いわね。

いや、まぁ、だべってる間に水気がだいぶ飛んで来ましたし。

あら、ほんとね。 これで完成?

ええ、そうですね。 お疲れ様です、お嬢。

あぁ、大変だったわ・・・

後は味見だけですね? まぁ、失敗ってことはないでしょうが。

私が作ったんですもの。当たり前じゃない。

その妙なプライドは何なんですか・・・

ダイニングーーー

じゃぁ、いただきます。

いただきます。

パクっ。

・・・まずい。

ええ、これはマズイです・・・

なんて言うか、思ってたよりも、だいぶ・・・コクがある?

これは・・・もしかして・・・

まさか、あんた・・・

醤油とソースを間違えたみたい☆

あんた、後で、うちの部屋に来なさい。

エッチな事なら大歓迎です。

ええ、お好みならば、縛り上げてカラスよけに使わせてもらうわ。

いやああああああ!

おしまい。

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Posted at 2012/09/25 19:14 Viewed 27 times

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女子力高い子は意外と、家庭的じゃない。

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