Ep.05 夏の魔物
ジジジジジジ・・・。
とある夏の日。
はー・・・だるぅ・・・。
なんで、こんなクソ暑い中、俺が親父の車を洗車しにゃならんのだ?
たまには親孝行も、悪くないんじゃない?
せっかくの夏休みなんだぜ?もっとぐーたら怠けててもいいじゃないか?
毎日そんな調子で過ごしてるから、おじさんに目を付けられるんじゃない。
くそー、毎日が日曜日みたいだったから、ぬかったぜー。
というか、洗車だったら、コインランドリー行けばいいのに・・・。
コインランドリーじゃ、車は洗えないと思うな・・・。
なにが手洗いのこだわりだよ・・・?面倒くさいことばっか押し付けて、自分はリビングでTV見てるし・・・。
そのために私が手伝ってあげにきてるんだから、恨み事はそのへんにして、早くすませちゃおうよ。
・・・ユキコよ、俺は濡れてもいい格好で来いって言ったよな?
うん、そうだね。
だから、水着までは想像したさ。 ユキコはきっと水着でやってくる、ってな。
けどよォ・・・、なんでよりによってスクール水着なンダ?!
別にいいじゃない。なにか間違ってる?
・・・いや、てっきり水着は水着でも、ビキニかと思って少しは期待してたンダけど。
せめてもちっと、色気あるやつ着けてこいよぉ~。
たかが車洗うのに、なんでわざわざそんな煽情的な格好してこなくちゃいけないワケ?
なに・・・ユキコ、ひょっとして自信あんの?
エッチな熊猫くんには、見せてあげないよーっだ!
それは残念。
これが終わったら、週末親父がこの車で海に連れてってくれるって言ってたンダけどなァ~。
え・・・海?ホントに?行きたい!
でもなぁ、親父のことだから、女子の水着はビキニしか認めないってうるさいだろうなァ・・・。
お、俺は別にけっして、ユキコのビキニ姿が見たい訳じゃねーンダぜ?
・・・熊猫くんのおじさん、ホントにそう言ってたの?
・・・・・・。
・・・ごめん、ウソだよ。当日は何でも好きなの着て来たらいいよ。
正直でよろしい。
そうとなったら、この車、ぴかぴかに磨いてあげないとねっ。
ホントは私も最初面倒くさいな~って思ってたけど、素敵な役得のために頑張っちゃうよ!
助かる・・・あとは任せた。
・・・ってぇ、熊猫くんまで私に押し付けないでよォ!
いたた!耳引っ張るなって!
そして、小一時間程度が経過。
終わった・・・。
ふぅ・・・、ひと段落ついたね。
なんか飲み物とってくるよ。
うん、ありがとう!
おいユキコ、いいもの見つけた。
え、なに?
俺が手にしていたのは、たまたま庭に落ちてあった、小さな水鉄砲だった。
動くな!動くと撃つぞ!
きゃー、お助けー!(棒読み)
びゅっ!びゅっ!
わぷ・・・ッ、ごふぁ・・・!
あっはははは、なんだその顔~!
ヒドイ!いきなり顔にかけるなんて!
ゴシゴシと、顔を洗うユキコ。
熊猫くん・・・、海では憶えてろよ・・・?
そして、それから数日して、約束通り、親父の愛車でユキコと海へ。
当日、俺はユキコがしてきた水着を見て、まんまとやられた。
続く