“リレー小説、チョコを貰う日”

私、気になるんだけど パパとママはいったいどうやってらぶらぶになったの?

恋(レン)ちゃんはおませさんだね。 そうだねぇ、今でもママとラブラブになるきっかけを得た日をパパは忘れたことなんてないよ。 どれ、お話してあげようか。

あれは、丁度今日から20年前のバレンタインデー。 俺はこの日、生涯を共にする女性を付き合う事になった。

バレンタインデー、すなわち愛を誓う日だ。 選ぶことが出来る人間、選ばれなかった人間。

それぞれ、苦悩はある。 俺は選ぶ側の人間だった。

今感じている幸せは、四葉のクローバーを探すようにきっと誰かの幸せを踏みにじって成立している。

じゃぁ、パパがやんわりママとの馴れ初めを話してあげよう。

きゃっほー! パパリンとのママリンとのらぶらぶちゅっちゅ物語の開幕だぉ!

第三回キミPリレー小説 チョコを貰う日

うっす、おはよーさん翠(みどり) 朝から頑張るねぇ。

!? や、やぁ、おはよ。海斗(かいと)くん。

朝食は既にできているよ。 さぁ、席について食べてくれ。

おぉ、今日は、ぶりの照り焼きか。

残念、これは遊庵焼きっていうんだよ。

マジレスかこら。 ちったァ男を立てろよ。 イギリスの女王陛下みたいにさ、相手の間違い正すことなく恥をかかさない、そういう配慮ができないとダメだぞ。

勘違いしないでくれ。 ボクは君の奥さんじゃないだろう。 あくまでも両親共々海外出張で不在である君の健康管理をバイトという形で引き受けて上げてるんだ。

いとこでもなかったら付き合いきれないよ。 まぁ、実家から学校は遠いから下宿先として有効活用させてもらってるけどさ。

昨日やってたアニメでは金銭など発生することなく無償の愛を捧げてたのになぁ。

平野がFAで不人気球団いったニュースのあとにあったアニメでしょ? なんだっけ…ダルセーニョ?

ダ・カーポな、お前、かりにも吹奏楽部の弦バス弾きだろ。 それミスったら悲惨なことになるぞ。

低音だから素人が聞くにはバレないよ。

しかしだねキミ、ああいうのが好きなの? たくさん美少女が自分だけに惚れて身の回りを世話して尽くしてくれるなんて妄想もいいところだよ。 だいたい女ってのは生まれながらにして仮面を被ってるんだよ。 中身も毛の処理の跡も真っ黒くろすけなんだよ?ドゥーユーアンダスタン?

だぁー知りたくない。 俺が知ってる女の子は雷の音を聞いて 「きゃぁん雷こわいぃん」 っていう生き物なの。

ふぅ。まぁ、どう思うかは個人の勝手だ。頑張り給へ

目線を逸らすな。

それで、話を戻すが。 いいか、いくら体が健康でも肝心の精神面が不健康だったら意味がないだろう。 ほら、俺の手首がメンヘラよろしくミミズ腫れしてこれみよがしに包帯巻いて 可哀想アピールしてたらどうする。

そこまでされたらひっぱ叩いでも止めるよ。 一緒の高校に通うボクが恥ずかしいからね

だいたいねおばちゃまから受けた契約では食事管理をお願いされただけなんだけど。 それなのにだ、ボクは洗濯料理掃除も町内会への参加にそのボランティアの緑のおばさんまでを一人でこなし部活もしてるんだよ? 君はちょっと望み過ぎじゃないかな。

それに考えても見てくれ 別にお付き合いをしているわけでもないのに同じ屋根のした寝食を共にし男物の下着を洗い干している15歳。 これって異常なことだと思わない?

気の持ちようだ。 いいじゃねぇか、ガキの頃から俺んち来るたびに散々いじめてたんだ。

そ、それは… あ、あぁあれは君がなよなよしてたからボクが鍛え直してあげてたんだよ!

あぁ…鍛えるとかいって筋肉バスター決められた時の首が未だに痛むなぁ…

それは本当にごめんなさいだけど… だ、だいたい!ボクが「ボク」って口癖になったのは君がボクボク言ってたせいじゃないか!

翠が勝手に俺に影響されただけじゃないか。

ぐぬぬ…

それに裏を返せば俺が乱暴な口調になったのもお前のせいになるなぁ。 まさか口調がとりかえばや物語になるとは俺も思ってなかったが

まぁいいや。 それで、朝キッチンで何か隠したよな。

…さぁなんのことざましょ。おほほ。

…まぁいいや、 女の秘密とやらを暴こうなんざするほど俺は趣味は悪くない。

じゃぁ、そろそろ学校行くかな。

あ、食器下げとくよ。君は早く着替えを済ませてきなさい

うーい

…いったね。 ふぅ、彼が鈍感で助かったよ。 まるで昨日の美少女動物園のアニメの主人公のようだ。

バレンタインデー。 そして今日はボクの誕生日でもあるのに… …あの反応は絶対気がついてないや。

ボクが隠したもの。それはたった一個のチョコレート。 そしてそれは義理でもなく、好きな人に送る為のもの。

今年から海斗くんの家にボクは同じ家に住むことになった。 彼にはバイトといっているけど、 本当はおばちゃまに無理をいって居候をさせてもらってる。

彼のことをボクが一方的に好きになってしまったからだ。 彼に対する態度は昔から全部好意の裏返し。 子供の頃からボクは恋愛に対して不器用で自分が嫌になる。

支度終了。んじゃそろそろいくぞ。

ほ、ほら、先に学校に行きなよ

珍しいな、今日は一緒にいかねぇの?

今日はちょっと君の洗濯物が多いから後で出るよ。

悪いな、でも別に明日は休日でもないし 私服の洗濯なんて気にすんなよ ほら、いこうぜ

ダメなんだ。 こういう日は誰にでも平等にチャンスが与えられてしかるべきなんだ。 ボクは彼のそばに近くいる分、彼に好意を持ってる何人か知っている。 だったら、ボクの立場は彼女らと比べるとフェアじゃない それに選ぶのはボクじゃない、彼自身だ。 ボクはね、好きな人に愛情を持って作ったチョコを食べて もらえたらそれだけで幸せなんだ。

願わくばこのままボクの事を好きでいてもらいたいと思ってるよ。 だけどね、今のボクにそれは望みすぎだ。 僕は自分の押し付けがましい感情を君にぶつけたくはないんだ。

もし、君がボクを選ばなくたっていい、 ボクは君を傍で見つめているだけで幸せ……。

……なんだからさ。

いいから!

じゃ、じゃぁ、気をつけてね。 ボクは君の洗濯が終わるまでずっと待ってるから。

…あぁ、わぁった。行ってくる。 もし遅くなるときは俺に構わず夕飯食べてくれていいからな。 じゃーいってくる。

がちゃり

…。 待ってるから。

もし君が今日帰ってこなかったら ボクは君のことを諦めて、実家に帰る。 だけど君とは…ただのイトコで終わりたくない。

もし、早く帰って来てくれたのならボクは__ __小さな頃から胸の奥にしまっていた、このわがままで支離滅裂で一方的な思いをチョコと共に君に伝えたい。

海斗くんの洗濯物なんてなかったらなかったら良かったのになぁ。

では、次はバンビ拾いさんおねがいしまーす。

B
e
f
p
q
r
s
K
O
Keyboard Shortcuts
  • J Next page
  • K Previous page
  • [ First page
  • ] Last page
  • E Enable/disable bubble animation
  • 0 Manual page turning
  • 1 Slow page turning
  • 2 Normal page turning
  • 3 Fast page turning
  • P Start/stop auto page turning
  • ? Show keyboard shortcuts
Play Again
More Stories
Posted at 2013/02/10 22:14 Viewed 35 times

From Author

一応、ハッピーというよりも誰かの失恋を テーマに書いてるつもりです。 チョコレートは甘いものだけじゃないのです。

Comments

Login to Write your comment