“だべる二人5”

キーンコーンカーンコーン

ワーワーワーワーワー・・・。

文芸部部室

で、できた! 原稿ができた!  熊編集長! どうぞ、原稿です!

本当にギリギリだったねぇ。 ご苦労様。

うぅ・・・。 いつも直前の提出でごめんね・・・。

謝るくらいだったら反省して後悔しないように改善しなさい!

うぅ・・・ごもっともで・・・

・・・あれ?

なんか、おかしくない?

何が?

今日さ、締切日なんだよね?

うん、そうだよ。詳しく言えば今日の午後五時半までにボクに手渡しだね。

で、今は五時なわけだよね?

私、締切ちゃんと守ったよね? 怒られるようなことしてないよね?

そうだね。

じゃあ、なんで私、熊くんに怒られたわけ? 納得できない。

え、ボクがいつ怒ったの?

さっき! 後悔しないように改善しなさいって。

あれは怒ったんじゃないよ。叱ったんだよ。お説教ってやつだよ。

いやいやいや、あれは絶対に怒ってたね。

いいや、僕は怒ってなんかないさ。証明しよう。

「怒る」とは、相手に「怒り」という感情をただひたすらぶつける行為である!

そして「叱る」とは、相手に事の善悪を説く行為である!

ボクはコンちゃんの行為が悪であると判断し、それを改善するように説いただけである。よって・・・

ボクは怒ったのではない。叱ったのだ!

ふんふん、熊くんの言い分は分かったよ。

でも善悪を説く、つまり「叱る」だけであるのならば、

「謝らなくていいよ。期限内に提出されているからね。でも次からは気をつけてね(キリッ」

って言ったはずだよ。

「反省して後悔する前に改善しなさい!」なんて語気まで強めて、それで怒ってないなんて白々しいですなあ

待ってくださいよ、コンちゃんさん。その論には考察されていない致命的な点がございますぞ。

おやおや、それはいったいなんでございますか?

ズバリ、コンちゃんさんの素行です。

思い出してもみてください。このギリギリ提出は今に始まったことでもないでしょう?

一回のギリギリ提出毎に、ボクは改善するように促してきました。

塵も積もれば山となる。小言が増えていくのも当然でありましょう。故に僕は怒っていません。

異議あり!

先ほど熊くんは「小言」とおっしゃいました。果たして「叱る」という行為に「小言」は増えていくものか否か

熊くんの初心が「叱る」という美しい心による行為であったことは疑いようがありません。

しかし「叱る」という相手を思いやった美しい心も、「小言」という感情を伴ったものに覆われていけば、

「怒る」という行為に変化するのは当然のように思われます。

よって私は、熊くんは「自覚無く」「怒っ」てしまったのだと主張を改めさせていただきます。

むむむ・・・。

異議あり!

コンちゃんさんのおっしゃった「小言」とは、果たしてどのような定義でありましょうや。

コンちゃんさんの論を聞いている限りでは、まるでボクが「無自覚」に「怒っ」たように受け取れます。

しかしボクは先ほども現在も冷静に己を見定めており、

どのような言葉であればコンちゃんさんはギリギリ提出を止めてくれるか、という点に基づき、

適切な言葉を選んだだけであります。

ボクがさきほど言った「小言」とは感情に任せた言葉ではなく、

時と状況によって増えていく「適切な言葉」であると主張します。

むむむむむ・・・。

一つ質問をしてもよろしいでしょうか。

構いません。

熊くんは自分が「適切な言葉」を選び私を「叱っ」たと主張しているということで、間違いはありませんか?

はい、間違いありません。

そして私は熊くんが「無自覚」にも「怒っ」てしまったことで「小言」を付け加えたと主張しています。

そのような認識でよろしいですか?

はい。ボクはコンちゃんさんがそのように主張していると認識しています。平行線ですね。

はい、平行線です。

しかし平行線のままでは決着がつきません。

ここはお互いの主張を簡略にして分かりやすくしようではありませんか。

なるほど。下校時間も近づいてきています。その提案に乗りましょう。

では、さきほどの共通の理解を通したまとめをもとに、簡略化してみましょう。

まず、熊くんは自分が「叱っ」たと主張しています。間違いありませんか?

はい、間違いありませんね。

そして私は、熊くんに「怒られ」たと主張しています。異論はありますか?

はい、異論はありません。

!?

本当に、それでいいの?

何が、言いたい・・・?

熊くんは私を「叱り」ました。しかし私は「怒られ」たと感じました。

この場合、熊くんが私を誠心誠意「叱っ」たとしても、受け手である私が「叱られ」たと思わない限り、

「叱る」という行為は成り立ちません。そして私は、熊くんに「怒られ」たと感じています。

そのことは熊くんも認めました。つまり、熊くんは「怒っ」たのです。

え、いや、そりゃあ、そうなんだけど、あれ? コンちゃん、そんな主張してたっけ?

ふふーん、そんな風にぼんやりしてるから、私が主張をすり替えたのにも気づかないんだよ!

え、すり替えた!? いつ!?

お互いの意見を簡単にまとめた時だよ。

・・・・・・・・回想・・・・・・・

そして私は熊くんが「無自覚」にも「怒っ」てしまったことで「小言」を付け加えたと主張しています。

そして私は、熊くんに「怒られ」たと主張しています。異論はありますか?

・・・・・・回想終わり・・・・・・

・・・ず、ずっけー!

ふふふ、勝てば官軍だよ!

異議あり! 異議あり!

おやおやー?

異論はありません(キリッ

って言ったのは誰だったけ?

むぐぐぐぐ!

まとめよう、って相手が言いだしたら、任せっぱなしにしちゃ駄目だよー?

今回は私が強引にまとめ方を変えちゃったけど、別の場合だと、うっかり表現を間違えちゃうこともあるからね

逆に、自分がまとめる時はかっこつけて別の表現を使っちゃだめだよ? 主張が変わっちゃうからね。

と、言うわけで熊くんは私を怒ったの。次からは優しく叱ってね!

・・・むぅ、分かった。次からは気をつけるよ。

うふふー。

「謝るくらいだったら反省して後悔しないように改善しなさい!」

よりも、文字数を少なく、かつ優しくねっ!

・・・・・・。

フッ。

コンちゃん、忘れてないかい?

ボクが編集長だってことをさ!

???

コンちゃんの原稿、返却するね。誤字脱字だらけだから修正して再提出するように。

!?

え、ちょ、たんまたんま!

ほぉ~ら、早くしないとあと十分で五時半だよー? 締切っちゃうよー?

締切破ったら思いっきり怒るんだあ。だってルールを守らなかったんだもん。怒って当たり前だよねぇ?

ぎ・・・

ギェピーーーーー!!

・・・・・・。

きーんこーんかーんこーん

おわり

ちなみに、コンは10分以内に無事、誤字脱字の修正を済ませました。 良かったね。

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Posted at 2012/09/28 11:05 Viewed 32 times

From Author

二人よりも僕の方がキミPでだべってると思う。長くするのに快感を覚えている。いや、短くまとめろよ。あと某アニメは三期が楽しみです。ギェピー!http://www.kimip.net/play/ZhNOs(1話)http://www.kimip.net/play/px61E(6話)【追記】注目ごちです!

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