“そうか、俺は死んだんだった!”

あれ…、俺なんでリビングなんかで寝てるんだ?

あっ、そうだ。昨日飲み会で朝帰りになって。今の今までソファで爆睡してたんだ。

うわぁ…、昨日どうやって帰ったか覚えてないわぁ…。

それにしても、夕方なのに何故家族が一人もいないんだ?

ん? 携帯…。

そういや、昨日の飲み会で写メなんか撮ったっけ。

そうそう、確か俺、飲み会に来てた女の子隠し撮りしてて、結局バレて怒られてたなぁ。

その後、俺のタイプの子とツーショットで撮影して…、リア充だな俺。

ん? 何だここ? 酔って帰ってる時に撮ったのか?

…えっ? 車?

…何だよ、これ…。血…なのか? 一体誰の…。

…俺が、死んでる。

そうか…、思い出した。俺はあの時車に轢かれて…。

どおりで、おとんもお袋も家にいない訳だ…。

そうか…、俺は死んだんだった…。

いえーい! カラオケ最高ー!

長門は俺の嫁さん、めっちゃ歌うまいっすねー。

そんなことないですよー、全然ダメダメっすよー、きりりんLoveさん。

あ、次の曲アタシだ。

(イントロ)~♪

(イントロ)~♪

あ、私トイレ。

奇遇ですね、私もトイレ行きたかったところです。

ガチャ。 バタン。

……。

私の歌う番になると、皆決まってトイレに立つ。もうこれで8度目。

しかも、私が歌ってる途中で、

あ~ら、手滑っちゃった。

~♪(演奏終了)

も、もう! 長門は俺の嫁さんったら! 何回私の曲演奏終了したら気が済むんですかッ!

…ちょっと、マイクがハウリングしてるよォ!

こわーーい! 何か霊的なものがいるのかしらー!

なぜ私は、いない者扱いされているのだろうか。

もしかして私は、気づかないうちに皆の目に映らなくなってしまったのではないだろうか?

そうか…、私は死んだんだった!

じゃあ、今日は割り勘で2000円ずつね。

あれェ? 何か2000円足りないよォ。まだ誰か払ってない人いるでしょォ!

そして私は死んだのに、なぜか皆から注がれる「早く払えよ」の視線。

カラオケ代は、私への香典から引いといて。

ガキっぽい部長がウザイので、避けるように公園で昼飯を食う私。

ニャンニャン クンクン

どういう訳か、俺の周りに動物が集まってきている…。

しかも尻尾を振っている…。

そういえば、動物は何もない虚空を見て尻尾を振ったり、吠えたりする。

それはそこに、見えない何かがあるから…。

そうか!

私は、死んだんだった!

確か、さっき…。

どうだい、阪口くん。今夜仕事が終わったら、夜の砂遊びに参ろうではないか。

砂遊びとは乙ですねぇ。じゃあ私、スコップとバケツ持っていきますよ。

君のような若造に、私の砂場の敷居を跨がせると本気で思っているのか?

死ねー

ぐあー 死んだー

まさか、あのお戯れで私は本当に死んでしまったのか?!

部長、あなたは一体…ッ?!

蘭子さーん! 蘭子さーん!

くっそー、一体ここはどこなんだ?!

やっと、暗くて狭いところから出られたと思ったのに…。

蘭子さんに会えなきゃ、僕は…。

そもそも、一体ここはどこなんだ??

辺り一面白いし…。

しかも身体もサラサラだし…。

お前も、どうやら僕たちと同じ仲間みたいだな。

え、僕?

そう、君も僕たちだよ。

そして、君も僕たちも、殺されたんだ。

人間の無意味で無駄な生産活動によってね。

あ…、やっと思い出したよ。なんか全身サラサラしてると思ったら…。

僕は死んだんだったね。

蘭子さんと会うのは、きっと別の僕たちだろうね。

アンッ アンッ アーッ

うっ   タパパッ

ふぅ、自家発電終了ー。  フキフキ

ドンッ!

お兄ちゃん! 声うるさい! あとイカ臭い!

えー、音しぼってたつもりなんだけどなー。

お兄ちゃんのハァハァ声が、壁を伝わって聞こえてくるの!

うるせー 犯すぞコラァ!

ガチャ バタン  ドタドタドタ…

お兄ちゃん、何勝手に部屋入ってきてッ、…あ、ちょ、やめッ やめてーーッ!!

妹ーーーー!

うっ

どうやら、僕の後輩たちが蘭子さんに会えたようだね。

めでたしめでたし。

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Posted at 2012/11/09 15:41 Viewed 18 times

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皆様からの「あれ、俺もしかしてあの時死んだんじゃね?」というエピソード、お待ちしております。

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