“国民的お兄ちゃんデビュー”

あー、妹欲しいなー

現実の妹なんて良いものじゃないとかよく聞くけど、そんなわけ無いだろ。

何で嘘をあたかも本当の様に言いふらすんだよ。そんなお兄ちゃんだから、妹から嫌われちゃうんだろ。

さっさと宿題終わらせて、寝るとするかな

カキカキ……。

あー、妹欲しい……

とう!

マジ妹欲しいわー

おめでとうございます! あなたは国民的お兄ちゃんに選ばれました!

妹なんて可愛くないとか都市伝説だろ。むしろ、妹に求める事が多すぎるんだよ。居るだけで幸せになれる。それが妹だろうに

あなたは目が醒めると、国民的お兄ちゃんになってますよ!! やったね! お兄ちゃん♪

ん? お兄ちゃん? あれ、あんた誰?

とう!

目の前が暗く……

――

ジリジリジリジリジリ

は! 目覚ましの音。やべ、急がないと学校遅刻じゃねぇか

あー、いつの間にか寝てたから、宿題も終わって無いし……

あ!! お兄ちゃん、おはよう!

え?

学校、きをつけていってね!

う、うん

なんだ、今の子。最近の子にしては、懐っこくて礼儀正しく優しい子じゃないか

――

あー、どうにか間に合った

おはよう、お兄ちゃん。そんなに急ぐくらいなら、もっと早く家を出ないと

あ? 今なんていった?

だから、家を出るのを早く……

そうじゃなくて、その前

え? おはよう?

その後!!

お兄ちゃん?

もう一回、言ってくれ

お兄ちゃん。もう、お兄ちゃんどうしたの? 大丈夫? 具合でも悪いの?

いつから委員長は俺の妹になったんだ?

え? だって、国民的お兄ちゃんなんだから、私のお兄ちゃんでもあるでしょう……?

お兄ちゃん!! おはよう!

お、おう……おはよう

えへへー、今日もギリギリ遅刻じゃないよ! 褒めてよお兄ちゃん!!

ちょ、ちょっと!! お兄ちゃんは今、私と喋ってるの!!

えー、そんなのいいじゃん。私もお兄ちゃんと話したいよー

むー

むむー

国民的お兄ちゃんとか、よく分からないけどあれ、嘘じゃなかったんだね!! まいゴッド!!

ま、まぁ、二人とも。喧嘩は良くないと思うんだ

うー……だってー

お兄ちゃんが言うなら、喧嘩しないよー。ごめんなさい

!! わ、私も喧嘩やめるもん!!

あ、やべ、妹って可愛い。可愛くないとか、本当に嘘じゃん!!

――

もう、宿題を忘れてきたのは一人だけでした。あとで、指導室まで来なさい!!

はい……

キーンコーンカーンコーン

失礼します

もう、お兄ちゃんったら!! 宿題忘れちゃダメでしょう!

ご、ごめんなさい

そんなに宿題、難しかった……?

いえ、そんな事無いですけど……

……ねぇ、私のこと嫌いになっちゃった?

へ?

だって、そんなよそよそしい言葉使うなんて……。ね、お願いだから嫌いにならないで! お兄ちゃん

……い、いや。嫌いになるわけ無いじゃないか

お、お兄ちゃん!!

――

いやー、お兄ちゃんになるだけで学園生活が薔薇色だなー

くいくい

ん? なんだ、服の裾を引っ張られて……

にいに、これ。さっきの授業で作ったから……良かったら、食べて

え? ありがとう

どうした?

なでなで

お、おう?

なでなで。

えへへ

初めて女の子になでなでしてしまった……。や、兄妹だったら普通だよな

兄貴ー!!

おう!

今日、何の日か覚えてる?

今日? すまん、分からん

……そ、そっか。気にしなくていいよ。私の誕生日なんて……覚えてないよね……!!

ダッダッダッダ

え? いや、そりゃ初対面だから知らないし……。ってこれは追いかけるべきだよな

兄貴!!

は? 誰だお前ら

は? 弟の顔忘れるとかマジねぇっしょ? それより、金貸してくれよー

そうそう、金だよ金

何でだよ?

弟なんだから、当たり前だろ!! バカだなー

マジ馬鹿っしょ!!

……しょうがねぇな、ほら

ち、五百円とかしけてやがんな。まぁいいや、じゃあな兄貴

こんな馬鹿なことやってないで、さっきの子を追いかけないと……

お兄ちゃーん!!

こ、校長!?

お兄ちゃんの為にお弁当作ってきたから、一緒に食べよぉー!!

い、イヤだー!!

――

はぁ、まさか、男にまでお兄ちゃんと呼ばれるとは……。結局、眼鏡の子には会えなかったし

兄ちゃん、私たちと遊ぼー!!

兄さま、今お帰りですか?

おう、いいぞ!

お兄様は、私と遊ぶんです!! ほーら、お兄様。お医者さんごっこでも何でも……

いや、そういうのは……。ほ、ほら、みんなで仲良く遊んでなさい。お兄ちゃんはちょっと用事を思い出したので……

ふふ、そうです。お兄ちゃんは私たちと遊ぶんです

アニクンハ、ワレワレト、ア・ソ・ブ

うわぁ、誰だよお前ら!! っていうか、片言の奴! どんな遊びをするつもりだよ!!

こんな日常が三日続いた時、俺の中で何かが崩れた。そう、俺はお兄ちゃんになりたい訳じゃない。妹が欲しかったんだ。

お兄ちゃんになるというリスクと、妹を得るというリターンを考えた時に、余りにもお兄ちゃんという物はリスクが高すぎると思った。

お兄ちゃん、今日はどうしたんだい?

それ、お兄ちゃんの意味が違いますよね?

そう応えながら、自分の中で一つの答えを決めた。

俺は今日、お兄ちゃんをやめます! 普通の、男の子に戻ります

そう、これでいい。

お兄ちゃん、やめないでー!!

プレゼントくれなかったことならもう怒ってないから、だから、だから私の前から居なくならないでー

にいに……ぐすん

(あんなに泣いて……ごめんよ、妹たち)

妹たちの悲しそうな顔に決心が揺らぎそうになったが、

お兄ちゃーん!!

校長の泣き顔を見たら、今すぐ止めよう、すぐ止めよう、疾くと止めようと思った。

ぐぬぬ……わしにも可愛い孫が……

国民的おじいちゃんになってみます?

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Posted at 2013/11/12 06:49 Viewed 22 times

From Author

初心に帰って妹ものを。逆転の発想、妹が居ないならお兄ちゃんになればいいじゃない。出来るだけ登場人物増やそうと思ったら、長くなってしまいました。

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