“STEINS;DATE”

おい助手よ! このゲル状の物はなんだ?

見りゃ分かるでしょ。 アップルパイよ。 今回は自信作なんだから!

これが自信作…だと… 一つ聞きたいのだが、このかかってるソースはなんだ?

チリソースよ。

!! なぜアポゥパイにチリソースをかけるのだ…甘いのに辛いじゃ意味が分からないだろう。

本場じゃそうなの! つべこべ言わずに食べてみなさいよ。

・・・。

ぱくっ

うッ…! くそマズッ!

・・・。

0.000000

ごくごくごくっ ふう、やはり口直しはドクぺにかぎる。

ねぇ、オカベ…

オカベじゃないと言ってるだろう。 俺は狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院キョーマだ!

はいはい…。 それより、「Dメール」送りたいんだけどいいかな?

む、一体何に使うんだクリスティーナよ。むやみに過去を変えると大変なことになるぞ。

助手でもクリスティーナでもないって。 いや…ただ、過去の自分に料理教室に通うようにメールしたいんだけど。

ほう、グッドアイディーアじゃないか! お前の料理は殺人的な味だからな。

うっさい…

料理が上手になったら、食べさせたい相手でもいるのか?

っているはずないか。 フーハッハッハッハッ

うっさい!! もうあんたに関係ないでしょ!! いいなら「Dメール」送ってくるから!

きゅ、急に怒るとは… 煽り耐性ゼロかッ

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ねぇオカベ …ねぇ、聞いてるの?

オカベ!!

(ハッ!この感覚…世界線が変わったのか) あ、ああ…すまんすまん。

もうボーっとしちゃって。

それより、アップルパイできてるわよ。

!! いや、俺は遠慮しておく…

だーめ!ちゃんと食べないと脳が働かないよ? それに今回は自信作なんだから!

そんなゲル状パイなんて誰が食う…

ってあれ? 美味しそうにできてるじゃないか!

ふふ♪ だから自信作だって言ったでしょ?

どれどれ…ぱくっ

美味!! なんだこれは…まさかお前、料理教室に通ってるのか?

あれ、バレた? 実は1年前から通ってるんだ~

(1年前から…ふむ、やはり世界線は変わっている) そうか、ではこれより貴様を我がラボの料理人に任命しよう。

ま、たまーになら作ってあげるよ。

てゆうか、私の手料理そんなに食べたいんだ?

勘違いするでない。 カップラーメンよりはましだと感じただけだ。

ふーん。

それより、料理だけ出来てもしょうがないだろう。他の家事スキルはゼロじゃないか。

・・・。

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おい! 一日のうちに何度も「Dメール」を送るでない!

え? なんのこと?

(そうか、彼女には前の世界線の記憶がないのか。一体今、元の世界線と何%のずれがあるのだろうか…)

それよりさ、オカベってどんな女の子が好きなの?

ふん、いい質問だ。 お前のようなガサツな女以外だ。

なッ!!

・・・そう。

?? なんだいつものように怒らないのか?

いや、別に…。 あそうだ、ちょっと「Dメール」送ってくる。

っておい!話は聞いていたのか? あんまりむやみに世界線を変えると

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それからというもの、クリスは何度も「Dメール」を送った。それは決まって俺の好みを知った時…。

そう、どの世界線の彼女も、俺の理想である女性像に近づこうとしていたのだ。

本当にバカな女だ…

オカベさん、アップルパイが焼きあがりましたよ。

もうやめてくれクリスティーナ…

うふふ、クリスティーナだなんて面白い呼び方。 でも気に入りました。

もうやめ…

あら、ズボンの裾がほつれてますよ? すぐに縫って差し上げますのでズボンを脱いで下さい。

もういい!! やめてくれクリス!!

はい?

ごめんな… 全部もとに戻してやるから。

彼女は、本当に俺の理想的な女性となった。おしとやかでしおらしく、家事全般をなんなくこなす完璧な女性…。

でも、なんでだろうな。 理想なのに、俺の心は動かない。 あいつはクリスであってクリスじゃないのだ。

ああ、そうか。 俺は元の世界線のあいつが好きだったのかもしれん。口やかましく家事もできないあいつのことを。

まったく自分の気持ちさえ分からんとは…やれやれだ。 さ、すべて元に戻そう。この「Dメール」を1年前の彼女に送って

「どんなメールが来ても、君は君のままで」

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ねぇオカベ …ねぇ聞いてるの?

オカベ!!

(ハッ!もとに戻った…のか?) あ、ああ…すまんすまん。

まったくボーっとしちゃって。

それよりアップルパイできてるわよ。

…ゲル状じゃないか。 そしてこのソースはチリソースか?

よく分かったじゃない。 さ、食べて食べて! 今回は自信作なんだから!

しょうがない。 ぱくっ

うッ…! くそマズ!

・・・。

はぁ、マズイ。 マズイぞ…でも、俺は好きだ。

ちょ、いきなりなんなのよ。

ふん、お前はお前のままでいればいいのだ。 その方が、お前らしくて好きだ。

も、もう、急に好きだのなんだのって言わないでよ。 まったく、今日のオカベは変よ。

ふん、いつも通りだ。

そうだ、これからちょっと付き合ってもらうぞ?

ん? アキバでも行くのか?

いいや、デートでもしよう。

なっ!!!

嫌なのか?

べ、別に嫌じゃないけど… むしろその…なんというか…

ふん、素直になれクリスティーナよ。

も、もう!助手でもクリスティーナでもないって!

ほ、ほら、デート行くならさっさと行くぞ!マユリたちもうすぐ帰ってくるみたいだし。

よーし、これよりオペレーション・ベルダンディを開始する!

なんで北欧神話なのよ…

さぁ、行くぞ!

過去を変え、現在の自分を変えるようなことは決してやってはいけない。

いろんな世界線を越えて気づいたんだ。その人の魅力は、そんな上っ面だけ変えたところにあるんじゃないってことを。

「Dメール」なんてものはもう必要ない。リセットボタンなんてあったら、人生というゲームはつまらなくなるからな。

どんな未来がこようと、それをきちんと受け入れていこう。あいつとともにならきっとそれができる。 そう、これが俺の――

ね、ねぇ、オカベ。 どうして急に私をデートになんか誘ったの?フェイリスさんとかモエカさんとかいるのに…

ばーか。 それはお前のことが好きだからだ。

え、それって告白…

ふん、言わせるな恥ずかしい。

そう。 これが俺の、選択だよ。

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Posted at 2012/07/30 12:34 Viewed 49 times

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ちょっとまじめに恋愛もの。最後の方修正しました(7月31日)

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