お前、イケメンだし、絶対女子にモテるよな~。
はは、そんなことないよ。
あ~あ! 俺もイケメンに生まれてくれば女の子にモテモテで幸せな人生送れたんだろうなぁ~。
キミたちは、わかっていない。
ホントは、イケメンになんて生まれてきたくなかったのだ…。
紹介しま~ぁす! ウチの彼氏の三家川くんでぇ~す☆
はじめまして。
すっげー、イケメンじゃん! モデルとかやってんの?!
いいなぁ、しかもN大の医学部なんでしょ? スペック高いよね~ぇ!
そうそう! 彼氏にするの結構苦労したんだから!
いいなぁ~、私もその子ほしいな~ぁ。
たま~になら貸してあげてもいいわよ♪
僕達イケメンはブランドバッグのようなものだ。
彼女たちはイケメンを彼氏にしては、同じ女性に見せびらかしては羨ましがらせているのだ。
確かにイケメンはモテる。
だがしかし、彼女たちが見ているのは、容姿であり、学歴職歴であり、収入であり…、家系血統であり…。
飾りは見てくれても、本質を見てくれたことは一度もない。
彼女たちに飽きられればそれで終わり。
そして次の買い手に渡っていくのである。
ブランドバッグを2コも3コも持っている女性に買われることもたまにある。
僕達はイケメンというブランドであるが故に、選ばれる側になってしまうのである。
選ぶ側に回ったとしても…。
好きです! 僕と付き合ってくれませんか?
あなたみたいなイケメンが何で私に…、罰ゲームか何かでやらされてるんですか…?
違います! 僕は本気で…ッ!
ごめんなさい…。私とあなたじゃ不釣合いです…。
付き合ったら、あなたのファンに何されるかわからないし…。
僕の恋は叶わない…。
では、顔の見えないSNSなら…、と3ヶ月間やり取りして仲良くなった女性と会ったのだが…、
デート商法ですか? 私に何を買わせるつもりなんですか? あなたみたいなイケメンが私のこと好きになる訳ないじゃないですか。
違う! 僕はただ君を…
SNSで優しいフリなんかして私の心をもてあそんで…、この3ヶ月間私を騙してたんですね!
待って!
何で僕はイケメンなんかに生まれてきたのだろうか…。
僕は見た目やブランドではなく、中身を好きになってもらいたい。
そんな人が果たして僕の前に現れてくれるのだろうか?
ねぇねぇ、あの人。
めっちゃイケメンじゃない?
…てか、隣の女何よアレ? 彼女?
めっちゃブッサイクじゃね? 何であんな女と付き合ってんの? 意味わかんな~い。
女見る目ないんじゃない~?
僕は今、最高に幸せだ。
こうやって、自分のことを本当に愛してくれる女性に出会えて。