許嫁、それは婚約した当人同士をさす言葉であり平安時代から受け継がれてきた風習である。
Future Bride 第一話「青天の霹靂」
……あのね大和。 貴方に凄く大事な話があるの。
どうしたんだ？母さん。 そんなに改まって……。
……貴方に許嫁が出来ました！
…………は？
何を言っているんだ母さん。 ……まさかもうボケたか？
ボケてません！ それにお母さんはまだ若いわよ！ それに、これはふざけて言ってる訳でも無いわ！
す、すみませんでした……。
「ごめんくださーい！！」
あら、良いタイミングで来たわ。 大和の許嫁の方よ。
……何か聞き覚えのある声だな。
呼んでくるからちょっと待っててね。 ……逃げたりしちゃ駄目よ？
今猛烈に逃げ出したいんだけどな……。
お待たせ大和。 この子が貴方の許嫁よ。
おはよう！大和！
ああ、おはよう。 ……やっぱりお前だったか、美羽。
やっぱりって何よー！ こっちは昨日からずっとドキドキしてたと言うのにー！
そう怒るなって……悪い、今のは俺が悪かった。 後でプリン奢ってやるから機嫌直せ。
プリン！？ それ嘘じゃないよね！？
ああ、嘘じゃない。 後でだけどな……そんなだらけた表情するな、気合入れろ。
フフン、その言葉忘れないぞ！ プリンは私の大好物！ あの弾力とフルフル震える……
語るな！話が進まないだろ！！ ……さっきの話の続きだ。 美羽、お前本当にこの話を受け入れたのか？
もちろん！ プリンの為なら例え火の中水の中……
そっちじゃねぇよ！！プリンの話は置いとけ！ だからその……俺と結婚するって話だ。
うん、そうだよ！
そうだよってお前な……。
何か問題でもあるの？
だって自分の将来が決まるもんだぞ？美羽はいいのか？ 本当に好きな人と結ばれる事も出来ないんだぞ。
私が本当に好きな人は大和だから問題無い！ それに昔約束してたもんね！
……ああ、あの約束か。 よく覚えていたな。
だって嬉しかったもん！ まさか大和から「大きくなったら結婚しよう」って言ってくれるなんて！
言わなくていい……恥ずかしい。 あれは若気の至りって奴だ。
え……大和のあの言葉は嘘……だったの？
いや嘘じゃない、あれは本音だ。 ただ……よくあんな恥ずかしい事言えたと思ってな。
あの約束で私の将来は決まったのよ！ 絶対に大和のお嫁さんになるって！
そ、そうか。
話は纏ったかしら？
はい！私、学校を卒業したら大和と結婚します！
じゃ、この話は成立したって事でいいわね？ ウフフ……。
やれやれ……。
こうして、俺と美羽は高校を卒業したら結婚する事になった。
昔の約束……この約束が美羽を縛っているんじゃないかと不安になる。 この話を受け入れてよかったのだろうか……。
第一話「青天の霹靂」 END
