『だべる二人2』

キーンコーンカーンコーン

休み時間。中間時間。中(なか)休み。さて皆さまの学校では、どんな名前か知らねども。

ちょうど高校の二時間目が終わった頃合いでございます。

皆さまのこの時間は、さてどのくらいでしょうか。 10分? それとも15分?

学生と言うのはたくましいもので、三十分にも満たないこの時間でも精一杯楽しもうといたします。

校庭に飛びだしていくもの。おしゃべりに興じるもの。本を楽しむもの。

これはどこにでもあるやり取りを、妄想で写した99枚の電子的な幻燈です。

ガヤガヤ・・・。

ガヤガヤ・・・。

ガヤガヤ・・・。

ガヤガヤ・・・。

ガヤガヤ・・・。

ガヤガヤ・・・。

・・・・・・。

ねえ、コンちゃんどうしたの?

えっ。な、なんのことかな!?

いや、どう見ても挙動ふ・・・。 様子がおかしかったからさ。

熊くん、もしかしてずっと見てたの?

四六時中じゃないけど、気がついた時にはね。昨日(※第一話)もなんか様子がおかしかったし。

・・・考えていたんだ。

何をー?

クラムボン。

眩む盆?

カプカプ笑うやつ。

カプカプ・・・笑う?

(・・・全然分からん!)

え、知らないの? 小学校の教科書に載ってたじゃん。確か六年生くらい。

え、載ってたっけ?

「ごんぎつね」なら知ってるんだけどなあ。

あぁ、アレね。あれ私のおおおじさまなんだよ。

はんっ!?

ホントはあんな綺麗な話じゃないんだけどなー。

まあ、そんな事より、クラムボンだよ、クラムボン。

いや、ボクはクラムボンより実話の方が気になるんだけど・・・。

あっ! せんせー! クラムボンって知ってますー?

(アイツ、無視しやがった!)

ふむ、クラムボンとはまた懐かしい言葉だ・・・。

宮沢賢治の「やまなし」で二匹のかにの子どもが話しているやつだね。

そう、それです! 熊くんがそれ知らないって言ってて話がかみ合わなくってー。

・・・・・・。

あぁ、それね。きっと教科書が違うんだろうね。

え!? 教科書が違うの?

高校でもそうだよ。他の高校の友達で英語の教科書が違うってことはないかな?

あります、あります!

『にゅうほらいぞん』と 『にゅうくらうん』!

・・・・・・。

そ、そうそう (だ、だめだ。笑うな・・・!)。

小学校でもそうでね。国語の場合は県内ではだいたい五種類くらい選ばれてるかなあ。

東京書籍、教育出版、光村図書、学校図書に三省堂ね。あ、これは大学レベルの知識だから覚えなくていいよ。

よかったー。

※補足※

※お住まいの場所によって教科書の選び方は異なりますが、小学校国語はだいたいこの五社で占められています

※自分の学校の教科書がどこで出版されているか、お暇な人は確認してみてください。

で、熊くんが「やまなし」を知らないって言ってた事なんだけど。

うんうん!

コンさんは多分、光村図書の教科書を使ってたんだろうね。

「やまなし」は最近はそこにしか載ってないから。

えっ、でもみんな知ってますよ?

そりゃそうだよ。作者の宮沢賢治は有名だからね。あと光村図書は人気だから、使っている学校が多いんだ。

へー、すごいんですねー。

すごいと言うか・・・大人の事情なんだけどね。

ま、まあ、これでコンさんの疑問は解決できたかな?

はい。ありがとうございましたー。

コンさんはやっぱり国語系はピカイチだねぇ。 着眼点がいいよ。すごくいい。

えへへー。

ただ英語も頑張ってほしいってグレイ先生がちょっと泣いてたよ。

家がその・・・バテレン的な物が嫌いで・・・。

あー、そっかそっか。それじゃあ教科書も宿題も持って帰れないね。

僕としては、自主的な補講を受けてほしいんだけどなあ。

考えておきます・・・。

では失礼します。 ありがとうございました。

(いい子なんだけどなあ・・・。難しいなあ)

さて次の教室に行かなくては・・・。

・・・・・・。

先生が熊くんは教科書が別で知らないかもだってさ。

うん、聞いてた。 そんなこともあるんだねー。

ボクはそれよりも「ごんぎつね」の実話が気になるんだけど・・・。

いやあ、身内の泥臭い話はちょっとしたくないかな・・・。

泥臭いの!?

っていうかまだ御存命!?

寝たきりになっちゃってるけどねー。

(しょ、衝撃的過ぎる・・・!)

きーんこーんかーんこーん

あ、英語の授業が始まるよ。

げっ、英語か・・・。

熊くん、放課後に部室で教えてね。

もう分からないことが前提なのか・・・。前も教えたじゃん。

授業内だと単語を覚えるだけで精一杯なんだよ・・・。

家では「バテレンバテレン」うるさくて予習復習もできないしさ。かと言って休み時間に勉強したくないし。

自主補講があるじゃん。ボクも家庭科の自主補講やってるよ。

家庭科と英語じゃ授業数が段違いじゃない。 部活に出れなくなるよ。

そ、それに熊くんの教え方は、と、とっても分かりやすいし! 楽しいし!

それってワシの教え方がつまらんってことか? 泣いてええか?

ぎゃー! グレイ先生!

って、あれ!? 熊くん!?

コンちゃんいつまで立ってるの。席に座らないと。

ふぐぅ・・・。

そそくさ・・・。

はーい、じゃあ英語Ⅱの授業を始めるでー。日直ー。

きりーつ、れーい、お願いしまーす。

えーっと、前はどこまでやったかなー。どこやったっけ、君。

・・・・・・。

二人の生徒は大きな箱の中で、真面目に授業を受けています。

風はいよいよ青々しい木々の若葉をゆらゆらとそよがせます。

それは今にも翠玉(すいぎょく)の粉をはき出しそうでした。

私の幻燈は、これでひとまずおしまいです。

おわり

なんか楽しくなってきたので、 続けたいなー。 でもしばらくは無理だー。

B
e
f
p
q
r
s
K
O
キーボード操作
  • J 次のページ
  • K 前のページ
  • [ 最初のページ
  • ] 最後のページ
  • E フキダシのモーションON/OFF
  • 0 自動ページ送りOFF
  • 1 自動ページ送り (おそい)
  • 2 自動ページ送り (ふつう)
  • 3 自動ページ送り (はやい)
  • P 自動ページ送りの停止/再開
  • ? キーボード操作の表示
もう一度みる
他の作品をみる
公開日 2012/09/22 20:37 再生回数 24

作者からのコメント

やっぱり気晴らしに気の赴くままです。ヤマとかオチとかなにそれおいしいの?http://www.kimip.net/play/ZhNOs(1話はこちら)http://www.kimip.net/play/mgR3t(3話はこちら)

みんなのコメント

ログインしてコメントを書く…