ふう・・・やっと仕事が終わった・・・ ・・・家に帰ったらビールでも飲むか。 ・・・ん?なにか紙が落ちているが・・・
・・・なになに? 『おおきくなったらプリキュアになりたいです』
・・・ああ短冊・・・そうか今日は七夕か。 大人になってしまうと、こういうイベントをつい忘れてしまうな。
ああっ!私も子供の頃は純粋だったはずだ!!いつからこんな夢のない大人になってしまったんだ!!
・・・せめてこれを書いた子には夢を持っていてほしいな・・・よし、代わりに私が笹に吊るしておいてあげよう!!
・・・これでよし!!さて、つまらない大人になってしまった私は家に帰ってビールでも飲むとするか・・・・・・
・・・ふう・・・もう一度子供の頃のように思いっきりはしゃぎ回りたいものだなぁ・・・
・・・
・・・翌日。
・・・うっ・・・頭が痛い・・・二日酔いか? ・・・まあ日曜で休みだからいいが・・・
しかし、なんだか目線が低くなっているような・・・とりあえず顔を洗おう・・・
・・・さて・・・顔を洗えば少しはスッキリして・・・おおっ、冷たい!!
・・・ふう、これでよし!! 昨夜は飲み過ぎたな!!
・・・って・・・
・・・なんじゃこの姿はあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!?
・・・なにって・・・アナタの願いを叶えただけだよ~
・・・おおおっ!?なんだ突然!? ・・・そうか・・・きっとまだ酔いが冷めてないんだな・・・!!よし、二度寝だ!!
・・・ちょっ、せっかく短冊の願いを叶えてあげたのにもったいない!!効力は今日一日限りなのに!!
・・・さっきから願いとか言っているがなんのことだ?
やだなぁ!とぼけないでよ!! しっかり『プリキュアになりたい』って書いてあったじゃないか!!
・・・ん?ああ、あれのことか。あれは私のではなくどこかの子供のものだ。大体私がプリキュアになんて・・・
・・・って、うわああああぁぁぁぁっっっ!!プリキュアになってるうううぅぅぅっっっっっ!!!?
織姫である私にかかれば、女の子はおろかおっさんだってプリキュアになれる!!
・・・アナタの願いじゃなかったのはこちらの手違いだったけど・・・まあサービスってことで今日一日楽しんでよ!
さて、私はドコモショップに行かなきゃ。この前、天の川にケータイ落としてからなんか不調なのよね~
・・・七夕までに彦星さまとLINEで話したいこと沢山あったのに・・・彼、心配でヤンデレ化してなきゃいいけど・・・
・・・というわけで今日一日お達者で~!!ではでは~
・・・いや、織姫たちもLINEとか使ってるの!?・・・というか元に戻せ・・・って、もういない!!?丸投げ!?
・・・むう・・・これが夢なのか現実なのかは分からないが・・・しかしこんな幼子の姿になってもなぁ・・・
・・・まあ、あの織姫らしき人が言っていたように折角だから少し楽しむか!!よし、外に出てみよう!!
ふうっ!!いい天気だ!!子供の姿のせいか妙にテンション上がってきたぞ!!さぁて、なにして遊ぶか!!
わっ!!プリキュアだ!! もしかしてほんもの!?
(おお、突然子供が!?)・・・今日一日だけだけどね。織姫さんが間違えておじさんをプリキュアにしてしまったんだ。
七夕のおねがいのこと?わたし"プリキュアになりたい"ってかいたの。わたしのとまちがえちゃったのかなぁ・・・
う~ん、そうか・・・あれは君の短冊だったのかもな・・・ごめんよ。こんなおじさんが君のお願いをとってしまって・・・
ううん、いいよ!!なかみがおじさんでもプリキュアにあえたんだもん!!そのかわりいっしょにあそんで!!
おいおい、知らないおじさんについて行っちゃいけないよ・・・って目輝かせてるな・・・仕方ない・・・遊ぶか!!
ところでこのプリキュアってのは必殺技とか持っているのかい?童心に戻ってそういうのをやってみたいんだ!!
・・・あるよ!ひっさつわざは『プリキュア!ハートシュート!!』っていうの!!やってみて!!やってみて!!
・・・よし!出来るか分からんが・・・いくぞ・・・『プリキュア!ハーーート・・・シュート!!!!』(Wink☆)
おお!?本当になんか出た!! ・・・って、待て待て!!技撃った先に人が!!
・・・くっ・・・織姫殿はなぜLINEを返してくれないのだ・・・嫌われたのか!? ・・・ああ・・・もう・・・欝だ・・・死のう・・・
・・・ってぐわあああっっ!?なんか当たったあああ!?・・・だが不思議と心が洗われていくようだ・・・(浄化中)
・・・うむ。きっと織姫殿にも事情があったのだろう・・・なんだか急にスッキリしたぞ!!ラーブラーブラーブ♪ (浄化完了)
すごい!!あのひとをげんきにしちゃった!!わたし おおきくなったらおじさんみたいなプリキュアになる!!
「おじさんみたいな」は余計さ。君は子供らしく純粋なままでいなさい。おじさ・・・いや、プリキュアとの約束だよ?
・・・うん!よくわからないけどわかった!おぼえとくね!!ばいばいプリキュアのおじさん!!ありがとう!!
・・・礼を言うのは私の方だよ。大人になって忘れていた、大切な『なにか』を思い出せた気がする・・・
あの子と、こんな変な願いを叶えてくれた七夕に感謝だな!よし明日からは元の姿に戻って仕事だ!!頑張るぞ!
「来年は七夕の短冊くらい、無邪気な童心に戻って書いてみようかな?」 ・・・と思う彼なのでした。おしまい。