“コンビニシリーズ#2 万引き少年”

………

(そわそわそわそわ)

………。

店長、あの少年…

……うん。

フードに角が生えてるね。

やっぱり、あれは、

悪魔の化身としか思えないよ。

無駄にためて言わないでください。 あと狙っているとしか思えないボケ、 クソ要りません。

え?ぼ、ボケって…。 俺なにか間違えて…?

………

本気だったんですか… それもそれで問題有りなんですけど

店長、あれは悪魔の化身ではありません。

これから悪魔になろうとしている少年です。

えっ……えぇぇぇぇえ!?

君ってそんなに厨二思考の持ち主…

是非土に還ってください。

…あ、 違うのね、 よかったよかった……

佐々木くんがマトモさを失ったら、 このコンビニ終わりだからヨロシクね!

うるせぇよクソ店長 てめぇがしっかりしろよ ウジ虫 当たり前のように押し付けてんじゃねぇよ

役立たずのデカブツオッサンが。

なーんちゃって。

…ごめんなさい。

だから、 なーんちゃってと言ったじゃないですか。

(なーんちゃって が怖いなんて言えないよ!…!)

まぁ、そんなクズ店長にお仕事です。

は、はい… どんなお仕事でしょうか…

それが、 あそこの少年です。

そわそわそわそわ…

おぉ… そわそわしすぎて とうとう口でそわそわ言ってる

こりゃあ重度のそわそわ病か。

僕が説明するんですから黙っててください。

はい… 申し訳ございません…

まだまだなりたての不良少年ですね。 どうせ友達に誘われてーとか、 そんな動機ですよ。

そんな動機のためにウチの商品を犠牲にはできませんよ、店長。

え? 佐々木くんなにいって… あ!

そうか! 万引き…

あ… 声デカ…

……!!!

だだだだだっ!!

あ、 逃げ出しましたね。

な、なんでそんな落ち着いて…! お、追わなきゃ…!!

そうですね。 追うべきです。 貴方の仕事ですよ?

え?…えぇぇ!? ここで俺に振られるの!?

ほら、早くしないと逃げられますよ。 コンビニの外に出してはいけません。

ほら早くいけよ

は、はい…

だだだだだ…

おーい待てー! 頼む!! 待ってくれ!!!!

うわっ! なんか泣きながら大男が追いかけてくる…!?

待てやゴルァァァァァァ!!!!

キャアアアア! 怖い!! なんか捻り潰されそう!!

女の子みたいな驚き方… あいつどうみても弱そうですよ店長

だってさっきからコンビニから出て逃げようとしませんもん。

…! その手があったか…!!

あはははッ! かっこいいおにーさん、 アドバイスありがとう!

さらばだ、愚かなコンビニ店員ども! この悪魔の化身・葵は誰にも止められねぇ!

ほんとに悪魔の化身!?

二つ名のようですね。 センスの欠片も感じられません。

あっ! コンビニから出……

あはは… …?

う……にゃ?

……!?

猫……ウワァァァ!!

ズルビッタァァァァン!!

えっえっ!? なんで突然止まっ…… こっ転んで……!! ギャァァァァ!!

ズルビッタァァァァン!!

……全て大成功ですね。 みるきーさん。

なぁぁ~~ん♡

な…何が起こったんだ… ? い、いててて…

コンビニを出ようとしたら入り口前に愛くるしい猫がいて… 避けようとしたら視界が回って…

転んだ…? な、なんで…オイラ何もないとこでこけたことないのに!!

大丈夫ですよ、 あなたは何もないとこでこけてません。

足元をよくご覧なさい。

足元…?

やったー!! 佐々木さん、私役に立ちましたよね!

ちょっと脇腹が痛いですが、 犯人逮捕に力添えできて嬉しいです!

えぇぇぇぇぇぇ!?

えぇぇぇぇぇぇ!?

犯人逮捕に新人ちゃん使うとか! しかも障害物にして転ばせるとか!!

お、おにーさん怖い…!

君! 彼はおにーさんじゃない、 鬼ーさんだよ……

おもしろくありません。

ほら、諦めてこちらに来なさい。 あなたがそのズボンの両ポケットにウチの商品を入れたのは見ていたんですよ。

へ…へぇ? 身に覚えがないね! そんなに見てたんなら商品言ってみろよ!

…え? …いいんですか?言っても。

…え?……… お、おう、い、言えよ言ってみろよ!

てか、そもそもなんも盗ってねぇし!!

へぇ…? じゃあ言いますよ…いいんですね?

…べ、別にエロ本なんか盗ってねーし!! エロ本とか全っ然興奮しないわ~ オイラ二次元派だし!!

…… …あ

しーーーーん……

自白したので警察を呼びますね。

いやぁぁぁぁぁ!!!!

さぁ! 神妙にお縄につきなさい!!

どうか…… どうかお許しください……

お?

弟が……いるんです… オイラたちが幼い内に 両親が離婚し母に二人引き取られ…

母は朝な夕な働きづめで去年、過労死しました…。 オイラの高校はバイト禁止だし…

お、おぉ… シリアスな展開だ。

高校の不良グループに入れば、 タダで物が手入るって乗せられて… 入ってみれば万引きのことだし…

実際俺が盗っても利益と物は上のリーダーや幹部に献上しなきゃいけないし…

もっとたくさん盗まないとオイラいつまでたってもエロ本担当のままで…

ねぇ…オイラどうすればいいんでしょう? グループ抜けるなら百万用意しろって…

はぁ… そうだ死のう。 臓器売って死のう。

そうすればきっとお金も手に入って…

辛かったな… 少年、 俺はお前を見逃す!!!

勝手なことしてんじゃねぇよ。

は…はい…

さすがに僕もそこまで鬼ではありません。 …が、ハッキリ言ってそれとこれとは話は別です。

そ…そんな… お願いします、ご慈悲を…

まぁ、そんなに絶望的な顔をしないでください。

弟さんが悲しみますよ?

…え?

…え?

蒼助くん、 出てきていいですよ。

な…なんで弟の名前…!!

葵兄ちゃん…………

蒼……助…

これは… どういうことですか…?

あなたのことは前から目をつけていました。

ここ軍魔町の隣町、 飛血疑町の飛血疑第一高等学校二年九組、山田 葵…。 成績は1年時から下がり調子…。

すごい…当たってる…

兄ちゃん、どういうことだよ!? 不良グループって… それに成績だってどんどんよくなってるって…!!

蒼助…ごめんな。 兄ちゃん嘘ついてたんだ… お前に美味しいご飯食べさせてあげたくて…笑っていてほしくて…

兄ちゃんが犯罪なんかして捕まった方が辛いよ! この…馬鹿兄貴!!!!

蒼助…!

きっと…今のお前を母さんが見たら… 泣いて喜ぶだろうなぁ…

いつも俺の後ろを泣きながらついてきた蒼助だ…。

兄ちゃんが悪かった。 許してくれ…。 もう万引きはしない。

先生にバイトの許可もらえるかやってみる! 今回は警察に自首するよ。

不良グループも、必死に頼み込めばきっと抜けられる!

兄ちゃん……

ありがとう。 兄ちゃんのこと、ほんとに尊敬してるよ!

蒼助…。

はい かいさーん。

ち、ちょっとは空気読まない…?

いつまでこんな茶番してるんですか? 蒼助さん。

え?

え?

兄ちゃんなら、 グループ抜けるとき二千円でいいよー

…え?

え? So-sukeでしょ? "僕の"グループ。 兄ちゃん入ってたよね?

えぇぇぇぇぇぇ!?

えぇぇぇぇぇぇ!?

なんでもいいけど警察は呼びますからね。

なんだよこのオチー! ひどいだろーー!!

あらァ! 息子たち!! 元気にしてたー?

えぇえ!? 死んだはずの母さん!?

あっ お母さんおかえりー! 旅行楽しかった? ハワイだっけ?

チョーさいこーだったわァ! あ、長らく留守にしてごめんねェ 二人とも!

え…… えぇぇぇぇぇぇ!?

……警察…

オワリ♡

うわっ! びっくりした!なんだコイツ!

めでたしめでたし

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Posted at 2013/04/30 21:48 Viewed 20 times

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前作、コンビニ強盗のシリーズの二作目のつもりですw

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