“輪廻と転生 月明かり編 14話”

カタカタカタ…

アリス 「あった…」

侍 「ん?なんか見つけたのか?」

アリス 「焼死体事件の記事」

侍 「10年前の記事なんかよく残ってたな…」

アリス 「結構大きな事件だったみたいだからね」

森林地帯で焼死体発見

10月某日 森林地帯を捜索していた警官が謎の焼死体を発見

死体の経過時間から察するに 死後2日といったところだろうか… しかし身元を証明するものがなく

その死体が誰だったのかは不明である…

しかしその2日前 水力発電所にて大規模な事故が発生しており…

その事故から逃げのびた職員かと 推測されているが… 真相は定かではない

侍 「水力発電所事故??」

アリス 「うん…一緒に調べてたらなんか出てきた」

侍 「その事件の死体がこの焼死体と神隠しがどうつながるんだよ?」

アリス 「それを今調べてるところ」

侍 「しかしまぁ…結構この辺もデカイ事件が起こってたんだな…」

アリス 「うん…調べながら自分でもびっくりした」

侍 「で?どうする?焼死体について調査にのりだすか?」

アリス 「それは少し賢明じゃないから… 発電所の方を調べてみる」

アリス 「実は廃墟としてまだ残ってるみたい」

侍 「廃墟か…」

アリス 「大丈夫…外装を観察する程度だから」

侍 「賢明な判断だな…」

侍 「また前みたいに穴に落っこちたらたまったもんじゃねぇ」

アリス 「もう落ちません~…」

侍 「で?いつ行くつもりなんだ?」

アリス 「一応今週末にまでには行きたいと」

侍 「そうか…あいつらには一応報告だけはしておけよ」

アリス 「もちろん…」

今週末に廃墟に行くことになったけど… 実は私が気になってることは別にあった…

次の日の学校帰り

アリス 「…」きょろきょろ

侍「どうした?今日はお使い頼まれてねぇだろ?」

アリス 「ちょっとね…あ」

近所のおばちゃん 「それでね~」

アリス 「すみませ~ん…このニンジンください」

八百屋 「あいよ毎度1本10円ね」

アリス 「はい10円」

八百屋 「ありがとよっ」

近所のおばちゃん 「あら…最近の高校生が八百屋なんてめずらしいわね~」

アリス 「ここの野菜美味しいし、安いからね~…」

近所のおばちゃん 「この辺じゃ若い子たちは都市部に行っちゃうからねぇ~」

八百屋 「この子はこの界隈のアイドルみたいなもんだからねぇ~」

アリス 「いや~ん」

侍 (世間話がしたかっただけかよ…)

アリス 「このあたりはいいところなのに… それがわからない人が多すぎるだけだよ…」

近所のおばちゃん 「あら~今の子にしては珍しいこと言うわね~」

八百屋 「ホントこの子はいい子なんすよ~ね~」

近所のおばちゃん 「昔はもっと活気があったんだけどねぇ~」

近所のおばちゃん 「川島さんが都市開発なんて提唱しちゃったのが原因なのよねぇ」

アリス 「川島…?」

近所のおばちゃん 「ほら都市部にある大手企業の川島グループ」

近所のおばちゃん 「あそこの元社長の名前が川島京介っていうのよ」

アリス 「あ~あ、聞いたことはあるような…」

近所のおばちゃん 「あのひとが都市開発に力を注いでいたのまではいいのよ」

近所のおばちゃん 「ただその影響で都市部に人が集中して、こっちはこの通りすれちゃってねぇ…」

八百屋 「その上、森林地帯の水力発電所を作っちまった挙句、事故が起こったからね」

近所のおばちゃん 「それで本人は失踪… みんなは山の怒りにふれたって言って神隠しだって言ってるけどね」

近所のおばちゃん 「それからかねぇ 神隠しが毎年起こるようになったのは…」

アリス (なるほど…これが元々の起源だったんだ…)

アリス 「けど…山の怒りならなんで年々被害場所が広がってるのかなぁ…」

近所のおばちゃん 「そりゃあ森林地帯に人を近付けないよう…神様が警告してるのさ」

近所のおばちゃん 「おかげで森林地帯にはほとんど人が立ち寄らなくなったよ」

アリス 「そっかぁ…」

八百屋 「今じゃ若い世代が肝試しに行くくらいなもんだろ?」

アリス 「肝試し?」

八百屋 「なんだ?しらねぇのか嬢ちゃん」

八百屋 「発電所の跡地…いわゆる廃墟だね そこで出るんだよ…」

八百屋 「川島社長の亡霊が」

アリス 「ほぅ~…」

八百屋 「なんだ~信じてないみたいだなぁ」

近所のおばちゃん 「今の子なんてみんな信じないわよ~」

アリス 「けどなんか面白そう」

八百屋 「はははは、嬢ちゃんくらい度胸あるならいっぺん行ってみるといいよ」

近所のおばちゃん 「そんな危ないこと女の子に勧めないでよ」

八百屋 「はははっちげーねぇ。つまんねぇ話ですまんな嬢ちゃん!」

アリス 「ううん…楽しかったぞー…」

八百屋 「そうかいっ。またきてくれよな!」

アリス 「うん…またお使い頼まれたらね」

ちゃららららん

侍 「しかし亡霊って… おとぎ話じゃねぇんだから」

アリス 「侍さんも似たようなもんだと思うけど…」

侍 「それ言われたら身も蓋もねぇよ…」

アリス 「けど面白い情報を得ることができた」

侍 「うん…都市開発に…神隠しの起源…」

アリス 「そして川島社長…」

アリス 「この3つのワードが重要だと思う」

侍 「この3つを並べるだけじゃ…さっぱりだがな」

アリス 「けどここまで絞れれば私には十分…あとは現地調査だけ」

こうして 私たちは現地での情報を集めるべく 予定を早めて発電所跡地へ向かうことにした…

ぶ~~ん…

がさがさ

侍 「おい…ホントによかったのか?」

アリス 「何が?」

侍 「このまま俺たちだけで来ちまって」

アリス 「ちょっと予定変更…」

侍 「おいおい…大丈夫かよ」

侍 「ただでさえ、お前は一度危険な目に遭ってるってのに…」

アリス 「まぁその時はその時」

がさがさ

アリス 「ん?着いたみたい」

侍 「へぇ…ここが」

アリス 「確かに雰囲気はあるみたいね…」

カシャ

侍 「ん?なにしてんだ?」

アリス 「ちょっと記録に残しときたくてね…写真を」

侍 「それで映像を残すことができるのか?」

アリス 「そうだよ~…侍さんも後で撮ってあげようか?」

侍 「おう!ぜひ頼むぜ」

ちゃららららん

アリス 「さて…屋内に入ってみたけど…」

侍 「何もねぇな…」

侍 「てか…大丈夫かよ 中に入って」

アリス 「問題はなさそうだよ…」

アリス 「とくに仕切りも敷かれてなかったし」

侍 「しかしなぁ…」

カランッ…

アリス 「!?」

侍 「ん…?なんか音がしたな…」

アリス 「誰かいる…?」

??? 「その声は…」

アリス 「ん…?もしかして…」

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Posted at 2012/11/13 00:43 Viewed 15 times

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今回からちょっとお話が動きます。様々なヒントを得た一同はどう動くか…案内)序章はこちらhttp://www.kimip.net/play/kVULi、序章→1~4話→序章の終わり→月明かり編の順番で読んで頂けるといいかと。

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