主人公・直江国吉は喫茶店にいた。
こちら、コーヒーになりまーす☆
ごゆっくり、どうぞ～☆
コスプレカフェという名の喫茶店である。
マホちゃんっていうんだ。あのコ、可愛いなぁ…。是非付き合いたいものだ。
でも俺は恋愛情弱。女の子をどうオトせばいいのかわからないもんなぁ。
「マホ コスプレ喫茶 チョコレンヌ」…っと。
「該当するページがありません。」
だよなぁ…。気になる子の名前を入れれば、何かヒットするかと思ったんだが…。
ポンッ
検索結果 1件。
な、何だ？
竹智麻穂 - Sukipedia
スキペディア？
なになに…？ ちょっと気になるあのコのことをもっと知りたい人の為に、アナタの力になる攻略サイト…。
これを読めば、あのコをアナタの思い通りにできる！？
wikipediaの一般人バージョンってことか…。
カチカチッ
竹智麻穂（たけち まほ、1991年12月17日生まれの20歳 Ｏ型）
黄川高校卒 現在は赤山短期大学に通いながら、コスプレ喫茶「チョコレンヌ」にてアルバイト中。
すごい！ これはすごいサイトを見つけてしまったぞ！？
お疲れ様でしたー。
竹智麻穂さん。
はい、どなたですか？
僕は直江国吉と言います。
バイト上がりですよね？ 良かったらこれからどこか行きませんか？
あ、そういうのいいです。私、これから用事あるんで。
近所のケーキ屋に、新メニュー「うなぎワッフル」が出たらしいですよ？
本当？ じゃあ、行く！
ふふふっ、彼女が近所のケーキ屋に週３で通っていることも、Sukipediaで把握済み。
うなぎワッフル、おいしいー！ よく新メニューが出るって知ってましたね？
実はこの店、僕も結構ごひいきにさせてもらってるんですよ。（嘘）
そうだ！ これから「ラブパウンド」のシークレットライブがあるそうなんですが、一緒に行きませんか？
ラブパウンド！？ 私の大好きなバンド！
奇遇ですね。私もB'zやミスチルよりラブパウンドです（嘘） ラブパウンドの良さは何と言っても～
（これもSukipediaで勉強済み）
行きます！ なんか直江さんと私って結構好み合いますね？（はぁと
グッ↑（ｶﾞｯﾂﾎﾟｰｽﾞ）
Sukipediaをガッツリ利用した僕は、竹智麻穂さんと恋仲になった。
そして、行けるところまで…、イった。
ニヤニヤが止まらねえ。
何せ好きだった竹智麻穂が彼女になったんだからな！
今日もSukipedia、Sukipediaーっと。
カチカチッ
2012年11月4日 コスプレ喫茶に通っていた客・直江国吉と付き合う。
何か更新されてる！ ってか、僕のことが書かれてる！
そっか、wikipediaと一緒だもんな。そりゃ更新されるわな。
おや、彼女のスリーサイズの記述、間違えてるな…。僕が編集してやろう。
はちじゅう…はちぐらい…、っと（目測） 彼氏の僕が見間違えるはずがない。
編集完了。 おっ、何かSukipediaで使えるポイントをゲットしたぞ！
今日いっぱい買い物したね～。肩こっちゃったぁ。直ちゃん付き合ってくれてありがとう！ 疲れてない？
いや、僕は麻穂ちゃんのその笑顔で、疲れなんてどこかにぶっ飛んじゃうよ。
今日買ったもの全部直ちゃんが支払ってるけど、いいの？ 私が買った分は私が出そうか？
全部キミにプレゼントするよ！ 服、ランジェリー、バッグetc
わぁい、ありがとう！ 世界中の誰よりも直ちゃんのこと愛してるわ！ 浮気？ 何それ美味しいの？
リア充ライフ楽しィ～！
ラブラブな二人だったが、ある日を境にその関係は崩れていく。
そ、そんなバカなっ！ Sukipedia、嘘だと言ってよ！
直江国吉のほかに、沢辺靖樹という男と同時進行で付き合っており、現在二股をかけている。
麻穂…、キミを信じていたのに。
僕は麻穂を呼び出し、浮気について問い詰めた。
浮気現場は実際見ていないが、「二股」項目に記述されていた事を丸々話すと、彼女は浮気を認めた。
お前なんて財布としか見てねーよ、ボケ。本命は沢辺クン♡だっつーの。思い上がんなよブサイク。
あと私のこと知りすぎてて気持ち悪い。ストーカーかてめぇ。じゃあね。
彼女がこんな奴だったなんて…。
Sukipediaには、ちゃんと彼女の黒い部分の記述が書いていたが、そんなの見たくないと敢えて読まなかった。
僕は腹いせに、彼女のページに根も葉もない事を書き込んだ。
「竹智麻穂は、営利目的で自宅のベランダで大麻を栽培している。」
翌日、テレビを見て腰を抜かしてしまった。
竹智麻穂が亡くなったというニュースが流れていた。
どうやら警察が彼女が大麻を所持しているとの噂を聞きつけ、事情聴取しに彼女宅へ訪問した所、
ベランダから逃走を図った際、足を滑らせて転落。そのまま帰らぬ人となったのだ。
Sukipediaでは彼女の死に関してもう更新されていたようだ。
もうSukipediaはやめよう。彼女のことは忘れよう。と心に誓った。
トボトボ… はぁ、これから僕はどうすればいいんだ…。
そこの青年。
見える…、見えるぞ…。お主がこの先どう進めばいいか！
占いなんて、胡散臭い。どうせ当たりゃしないんだろ。
直江国吉、26歳。血液型はA型。趣味は喫茶店巡り。昔、ボクノートというキャラ設定集を書いては同級生に見
やめろォ！
なぜ…、そこまで俺の事を…。
占い師だからじゃ、お主のことは何でもお見通しじゃ。
この占い師の的中率…、そこんじょそこらの占い師と比べものにならねえ。 こいつはマジモノだ！
占い師よ。俺はこれから、どうすれば幸せになれる？
ワシの言う通りにすれば、必ずお主は幸福の人生へと導かれるのじゃ。まずはこの壷を買うのじゃ！
何でもするぞ！ お前は信用できるからな！
（ふふふ…、ちょろいちょろい）
ｶﾁｶﾁｯ
直江国吉 -Sukipedia
