“おコンさま 第二話”

わしはな、とってもえらい、みすてりあすぷりちーがーる、おコンさまじゃ!

わしは今、とーっても腹が空いておるんじゃ。小僧、なにか喰うもんもってこい。

くそう! わけのわからん奴め! あとでぼくの電波でめちゃくちゃにしてやるからなぁっ!

どたどたどた……

と、とりあえず、冷蔵庫にある食べ物全部持ってきてやったぞ。

おお! こりゃありがたい! さっそくいただくとしよう。

おおっ! これはいなり寿司ではないか! わしはこれが大好きなんじゃ!

はぐはぐっ!

うまいのう! 人間の食い物のなかでこれが一番美味じゃ!

お! ちくわではないか! これもうまいんじゃ!

おお! こっちはさつまあげ! これもいいいんじゃあ!

ちょ、全部食べる気かよ!

はぐはぐっ!

聞いてないし。

ばくばく、もぐもぐ。

ちょ、ちょっと、ほんとに全部食べちゃったよこいつ。

ゲップ!

なんて下品なんだ。

よし、腹もいっぱいになったし、おぬしの悩みとやらを聞いてやろう。

ぼくの悩み?

それは、この世界をぼくの電波で思いのままにして、ぼくに歯向かう奴全てを粛清してやることなんけど、

どうしても思い通りにならないんだよう。

おぬしがさっきから言っとるその”電波”とはなんぞや?

よくぞ聞いてくれました!

”電波”ってのはネ、ぼくの思念波のことんだ!

……。

ぼくの”電波”をネ、地上デジタル波のデータ領域に乗せて、テレビ局のアンテナを経由して、世界中に発信するんだ!

そして、テレビとかから、ぼくの電波を発信、それを受信した世界中の愚民がぼくにひれ伏すのさ!

「皇帝陛下ばんざい」と!!

……。

歯向かう奴は、全員粛清だ!!

中二病なんて、もう古いよ! これからは”電波”の時代だよ! 電波は大切にネ!

さっぱりわからん。

なるほど。おぬしは「頭がとてもざんねんな子」ということじゃな。

なんだと! これでも勉強できるんだぞぼくは!!

なのに! あいつらが! あいつらがぼくを……。ちくしょうっ!

うん? あいつらとは?

ぼくをいじめるやつらだよ!!

詳しく話してみい。

いつもいつも、ぼくに暴力ふるってくるんだよ!! だから電波で……

電波はとりあえず、脇へ置いておけ。

置いちゃうの? 電波は大切なのに。

ぼくはね、先月、父さんの仕事の関係で東京から、このクソ田舎に越してきたばかりなんだけど。

貴様、クソ田舎とはなんじゃ! 地元民をバカにするでないぞ!

そんな都会的で、スタイリッシュで、洗練されたこのぼくに因縁つけてくる奴がいるんだよう。

いちいちむかつく言い方する奴じゃな、おぬしは。

それで、体育館裏とか、公園の茂みの中とかで、いつも蹴られているんだよう。

あいつら、「顔を殴るとアザとかできて、ばれるとマズイから、やるならボディにしとけ」って言って、腹とか背中狙ってくるんだよう。

最近の子供は、やる事がエグイのう。

だから、この電波でやつらを……。

電波は脇へ置いておけ。

置いちゃうの?

つまり、おぬしの悩みというのは、いじめっ子に仕返ししたいということじゃろ?

そうだよう。それができないから困ってるんだよう。

いじめっ子から、いじめられなくなればいいってことじゃろう?

そうだよう。

なるほど、わかった。

いじめっ子にやり返したいなんて、子供の悩みはいつの時代も変わらんのじゃのう。

よし! わしがひと肌脱いでやろう。

え? 脱ぐの? ぐへへ、ぐへへ。

いい加減にせい!!

ぐはっ!

学習せん奴じゃな、まったく。

では、いい解決策を考えるとするかのう。

とっとと考えろ! このケモノアマ!!

貴様、このわしに向かって……

す、すいませんでした! 反省してます。どうぞお力をお貸しください。

わかればいいんじゃ、わかれば、な。

つづく

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Posted at 2012/10/29 03:19 Viewed 6 times

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リアル中坊のころ、電波くんみたいなこと、ほんとに考えていたなあ。電波は大切にネ。

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