『vocaloid-type.3710①』

歌うアンドロイド、と言うものを 買ってみた。

リアルなロボットじゃなくて、 パソコンにインストールして使う ソフトのようなものらしい。

俺は特別音楽が好きな訳でも 今流行っているからでもなく。 強いて言うなら本当にただ何となく

気付いた時には マウスを握った俺の手は 購入ボタンをクリックしていた。

・・・これで、いいのか?

インストール完了、の文字と共に スピーカーから心地のいい 高めの声が流れ出す。

「インストールが完了しました。」 「ご購入ありがとうございます。 本製品は・・・

・・・ってあぁぁぁああああぁぁぁ めんどくさい!!!」

!!?

・・・ったくよぉ・・・ いちいちめんどくせぇんだよ・・・

クソ長ったらしい説明は取説にでも 書いてろっつーんだ・・・

いきなり画面に現われた男が ブツブツと文句を呪詛のように 垂れ流し始めた。

・・・あのー・・・ どちらサマ?

は? 俺は今お前がインストールした アンドロイドだよ。

どーも ご購入ありがとうございまーす 俺はミナト。

へぇ・・・ アンタが今から 俺のマスターってワケだ。

俺をインストールしたって事は もちろんそれなりに 歌は用意してあるんだよな?

いや、ねぇけど・・・

はぁ!!?

スピーカーから キンキンと響いてくる怒鳴り声に 顔をしかめる。

俺は特別音楽が好きでもなきゃ パソコンに詳しい訳でもねーんだよ

じゃあ何で俺を買ったんだよ! 馬鹿じゃねえのか!!?

あーもーうっせぇな!! 仕方ねぇだろ欲しかったんだから!

意味分かんねぇ・・・ 何でこんな奴がマスターなんだ・・・

呆れたように呟いたミナトは それっきり黙りこんでしまった。

あのー・・・ ミナト・・・?

・・・・決めた。

3ヶ月だ。

は?

3ヶ月で俺がお前を調教してやる。

今日から3ヶ月で作詞も作曲もMIXも 出来るようにさせてやるよ。

はぁぁ!!?

俺は別に歌なんて・・・

文句でも?

イエ、アリマセン。

楽しみにしとけよ・・・?

不気味な笑い声を響かせながら ミナトは自分でウィンドウを閉じて 引っ込んで行った。

まじかよ・・・

かくして、俺とアンドロイドの 奇妙な生活が始まったのだった・・・。

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公開日 2012/06/03 23:34 再生回数 12

作者からのコメント

ボーカロイドとマスターのBL臭漂うボカロ講座。技術講座には役に立たないと思いますん。

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