(…………)
(なんだこの漫画……中々面白いじゃないか)
(何となく図書室で見かけてタイトルから面白そうな雰囲気が漂っていたから借りてきたけど……今回は当たりだったな)
(出版社は……『DC』?聞かない名前だなぁ)
(もしかしたらDCコミックス?いや雰囲気的に違う感じがするしなぁ)
おい、顔こえーぞお前。
おお、誰かと思えば親友のなんとか君じゃあないか。いいところに来てくれたね。
前々からだけど、その『なんとか君』ってアダ名やめてくれない?てかいい加減名前覚えろよお前。
じゃあ、クラスの中でも格好が派手で目立っててしかも何故か校則違反にならない見た目ヤンキー君。
やっぱなんとか君でいいや。あと何で違反にならないのかは俺にも分からん。
違反って分かってるならその服装やめとけば?
相変わらず分かってないなお前は。何も言われないってことは要は黙認されてるってことで、つまり何も問題はないってことだろ?
それにこれが無くなっちまったら俺が俺じゃなくなっちまうってもんよ。だろ?
まぁ本人がそう思ってるんなら別にいいんじゃない?
ゴメン、今のは若干ツッコミが欲しかったぞ。
まぁそんなことより聞いて欲しいことがあるんだ。
ほう?
実は今読んでる漫画が面白くてさ。
へぇー。どんな内容なんだ?その漫画。
えーっと、手短に説明すると──
ダンボールと、
柱の二人が、
ある日とあるキッカケで知り合って、
お互い話していく内に日々苦労していることや感動したことを共感し合って、仲が徐々に深まっていき、
時々現れる強敵や、困難を二人で乗り越えて行き、最後は……
二人は結ばれるっていう感じの笑い有り、涙有りの物語だよ。
…………………
……ゴメン、その物語が一体何を伝えようとしているのか全く俺には理解できない。
理解しようとするんじゃない、感じるんだよ。
そ、そうなのか。ま、まぁお前が面白いと思ってるんならそれでいいんだけどさ……。
ちなみに僕が好きなキャラは『GZoU』っていうキャラだよ。地球の支配者なんだ。
いやもうその話はいいから。ていうかえらく壮大だな、おい。
まぁそれは置いといて、
ああ、良かったさっきの話が本題だったらどうしようかと思ってたところだぞ。
この漫画の出版社の名前『DC』っていう名前なんだけど、聞いたことある?
ん?DCコミックスのことじゃねぇのそれ?
いや、DCコミックスとは雰囲気が違う気がするんだよね……
まぁそりゃそうだろうな。
いや待て……ハッ!これはもしや……!
んん?
ド○ームキャスト!ドリーム○ャストじゃないか!!
いや待て絶対それ違うから!!
……何が早過ぎた失敗作だって?
誰も一言もそんなこと言ってねーよ!
じゃあダ・カ○ポなのかなぁ……
それも絶対に違うから!!
そういえば新作出るらしいよダ・カ○ポ。
んなこともう前々から知ってたよ!
……え?確かこの前までは『そういうの興味ないから』とか言ってなかった?
……え?あ、いやそりゃあお前……
…………。
…………。
そんなこと今はどうでもいいだろ!?
……ディアナがそんなに好きかあああ!!
ディアナ・カウンターでもねーよ!
キーコーンカンーコンー
あ、チャイムが鳴ったね。
おう、とりあえずこの話は後にしてさっさと席に着こうぜ。
…………。
なんつってる間に予鈴っすよ(笑)。あ~あ、義務教育の辛いとこね、これ。
……とりあえず高校は義務教育じゃないってことだけツッコんどくわ。
………………
………ここ……かな?
待っててね。もうすぐ会えるから。
だから待っててね。浅桐君♪
~放課後まで中略~
キーンコ↑ーンカンコン↓ー
きりーつ、礼ー
\さようなら↓ー/
着席ー
ガタンゴトン
(なんでこの委員長は毎回放課後の挨拶で最後に余計なことまで言うんだろう……)
(着席って言われたら皆座っちゃって気づいてる人でもそれに釣られてつい座ってしまうじゃないか)
(そういえば今日はなんとか君は部活で学校に残るんだっけ……)
(まぁそれはそれで都合が良い。今日は一人でゲーセンに行くぞ)
(そして音ゲーのスコアを上げて、なんとか君にドヤ顔してやるのだ!)
(我ながら何て鬼畜な作戦……)
(ていうか何で放課後のはずなのに青空が広がってるんだろう?いや、いつものことだけれども)
(うーん、やっぱりたまにはいつもと違う道を通るのもいいな。景色が実に良い)
(ゲーセンからは多少距離が離れるけど、そこまで焦る必要もないしね)
(時間はまだたくさんあるんだ……ジックリとやり込ませて頂きます)
くふふ……
ひゅーん
ドスッ
でっ!
(今、小石か何かが頭にぶつかったような……)
(周りを見渡してみるけれど……誰もいない……ような……)
ま、まぁ気のせいかな……
(しかし、ゲーセンでまずどれをやろうかなぁ……)
(ギターのやつもいいし、タッチするタイプの音ゲーも中々……あ、確かEXBATTLEに新機体が追加されたってなんとか君がこの前言ってたなぁ)
(ああ、楽しみだ……)
ぐふふ……
ひゅーん ひゅーん
ドスドスッ
あだっ!ゔぉっ!
………………。
まさか子供のイタズラじゃあるまいな……
(いや、むしろそれ以外考えられん……!)
くそぅ……子供とて容赦はしな──
ひゅーん
ガツッ!!
ひでぶっ!?
(随分とデカイ石を持ってきやがった)
……眼鏡が無かったら即死だったな……
えいっ!
ひゅーん
ベキッ
じむっ!?
今度は枝が飛んできたぞ……頭にぶつかった衝撃で哀れにも真っ二つに……って、
………………
……あのー、そこのお嬢さん。
はい?私ですか?
何で通りがかりの私共に向けて有難くもない物を投げつけていらっしゃりやがるんですかねぇ……。
人違いじゃないですかねぇ?
いえ、この周辺見渡す限りいらん物を投げつけれる距離にいるのは貴女様だけかなぁ、と。
じゃあ……お門違い?
…………。
…………。
あのー……そこで黙らないで?
……ともかく謝罪と動機を要求します。あるんなら要件もお願いします。
いや、だからお門違い──
返事はお早めに。
ぐすん
泣く振りしてもダメです。
そもそもの問題は浅桐君が子供とか子供とか子供とか言うからいけないんだよ!?
申し訳有りませんが何を仰っているか全く……
ああ、それと浅桐君があまりにも気持ち悪くニヤニヤしながら歩いてたものだから闘争本能が蘇ってですね?
…………
ん?どうしたの浅桐君?
ちょっと待って。いや、ちょっと待って。
??
(な、なんでこの人、僕の名前知ってるんだ!?)
(もしかしてストーカー!?ストーキングですか!?この僕がこんな人に物投げつけるような奴に!?)
ねぇ、なんか今凄い失礼なこと考えなかった?
…………。
ね、ねぇ、いい加減なにか喋ってよぅ……。
あ、あのー……
……! は、はい!
もしかして貴女……、
はいはい!
ストーカーですか?
はいそうです!
……………………。
……………………。
えっ
えっ?
えええええええええええええ!!??
そんなしょうもない出来事が、不幸にも二人の出会いでした。
いえ、もしくはそれが"再会"だったかもしれません。それはまだ分かりません。
これは"浅桐尋"と謎の少女を中心とした物語である。
つづく?