“ミュージックマン 前編”

俺の名前は山田まさお

この時期なのに大学も就職活動も疎かにして髪も水色に染めバンド活動に勤しむ反社会的でロックな野郎だ!

こいつは俺の相棒のスティングレイ! ミュージックマンって会社のファンキーなベースだ!

いい値段した割に俺には全然あってねぇクソ楽器だがそこは愛着でカバーよ!

前置きが長くなったが今日はメンボ(メンバー募集)で仲間を集めた新バンドの結成の日だ!

まだ、顔は見たことねぇがきっとみんなロックな野郎に違いねぇぜ!

さぁ集合場所のサ店にいくか!

外からは想像もつかねぇくらいアットホームな雰囲気だなおい

おっと、あいつらだな!やっぱロックやってる人間はオーラーでわかるぜ! (※実際わかる、というか変な人しかいない。)

よぉ・・・

あんたが・・・

リーダーか・・・

へへ、その通りだぜ! 俺の名前は山田まさおだよろしくな! メンボにあった通り俺はベースだ!

アタイ田辺みかこ、ゴスロリ少女16歳! この間までゴスロリバンドでギターをやっていたのさ!

そして相棒はこいつさ!

そいつはグレッチ!型番とかは知らねぇがクソ高い楽器じゃねぇか!

へへ、あんたかなり本気でロックをやってたんだな!

おうさ!ハンパはアタイがゆるさねぇ! アタイがこのバンドに入ることでを30超える頃には楽な生活をさしてやるさ!

期待してるぜ! よし、次!

私は田中まさこです!このまえベーすをはじめました!10歳です! ともだちいないからきました!

え、なんでベース?俺ベースって書いてじゃん…しかも素人か・・・

べつに何人いてもいいじゃん

いや、ツインベースのバンドもいるけど… え、ていうかキミ左利き?これレフティーのベースだけど

ちがうもん、右利きだもん!けいおんのみおちゃんがこれ使ってたから買っただけだもん!

いや、それかなりハンデだろ・・・ あのアニメをみてよくそれを買うアホな素人がいたけどよ

仕組み的に利き手(弦をじゃかじゃか弾く方)は弦を押すより器用な動きが求められんだよ。特にベースは弦を弾くのに実力求められんのよ

ベースは音楽の雰囲気を出す。その微妙なニュアンスを常に求められるベースの弾く手に不器用な手でやるってのはおすすめできん

うへぇー

お前には後で俺のギターを貸してやるから待ってろ、 はい次!

私は木村晴彦40歳!売れない作家活動の合間にベースを始めたばかりだ! 俺の相棒をだすからまっとれ!

またベースかよ・・・普通バンドつったらリズム隊が集まんねぇものなのに・・・

これが私の相棒じゃ!

チューバじゃねぇか!

え、これベースじゃないのか?楽器屋でベースと説明されたぞ!?

いや、確かにベースで間違ってねぇけどそれは吹奏楽とかでいうベースパートを担当しているということだよ!

そんな馬鹿な!じゃぁお前が持ってるのは一体なんなんだ!

俺が持ってるこいつの名称はベースギターっていうんだ。んで、主にロックバンドのベースを担当してるってんでベースって略してんだよ

そんな!これ新品で138万したのに!

いや、まぁその金があればプロ以上のものが買えたわな・・・まぁ、お前にはドラムをやってもらう!

うをー私の金・・・っ! こんなことなら妻と子になにかかってあげるべきだったぁ!

おい!さっきからうるさいよ!子供が起きちまう!

すまねぇ、マスター! 俺のゲームウォッチ貸してやるから許してくれ!

いや、そんなマイナーなのいらんわ! なぁ、タケル

おぉ!その赤ん坊可愛いじゃねぇか!

よぉ、健ちゃんうるさくしてごめんよ。 俺が覚えてたら今度一緒にゲームやろうなぁー、しかしこいつ俺にそっくりのイケメンだなおい。

いや、だからタケルっていってんだろうが!あと縁起でもねぇこというんじゃない!ほら金払ってさっさと出て行け!

へいへい

よし、早速俺の家で特訓だ!

え、あんたって金持ちの坊やなのかい?

親のことなどしらん!

親が金をもってようと俺はノーフューチャーの精神でパンクロックをやってんだぜ!

なんだかねぇ・・・

さぁ、田中、俺のギターを貸してやる!

こいつはモリリンとかいう変な生き物が俺にくれたギターだ。

バイトで17万ため、初めて買った大事なギターとか言ってたが、知ったことじゃない好きに使ってくれ!

このギターなんかいや! ぬめぬめしてそう!

邪ッッッッッ バキィィィィイィィ

そぉぉぉぉぃーーい!!! めたーーーーーーん!

ロンドンコォォォリィィィィング!!! ばきばきばばきー

ちょっ!!クラッシュみたくなかなかパンクにギター壊してくれるけどそれもりりんのギターだから!!

やだぁー!せめてけいおんのゆいちゃんのがいい!

しょうがねぇなぁ・・・。

ほら、ちょっと違うがこれで我慢しろ。 グレコのレスポールだ。

これもモリリンのギターだ。8万くらいしたといっていたが今度は壊すなよ。次は通販で買った一万のぼろギターになるからな

へぇい・・・

よし、試しに弾いてみろ

え。ひきづらい・・・なんで弦がろくほんあるかわかんないもん!

ギターってのはそういう楽器なの! 楽器の中ではちゃんと押さえれば 音程通りの音がなるから簡単な部類だぞ!

えぇ、ぜったいべーすのがほうがらくだもん!

んなことねぇわ!お前ルート音鳴らしておまけにリズムを取る楽器だぞ!? 打楽器とメロディー鳴らすのが融合してるもんなのに簡単なわけねぇよ!

だってみおちゃんかんたんにひいてたじゃん。

いや、けいおんのメンバーは才能に 恵まれすぎた天才の集団だからな!? 普通、あの短期間で茶飲んであんなにならねぇから!

特に澪ちゃんはボーカルしながら時にスラップを織り交ぜドラムとグルーブだせる天才でおまけに美人っていう歩く金塊というのを忘れるな!

よし、後はまかせたぞ田辺。

あいよ、こいつには駄目な大人にならないよう、常識からしっかり教えてあげないとね。

ふふ、しっかりおねぇさんだな。 頑張れ16歳!

ば、馬鹿!うう、うるさいよ!ほ、ほらあんたは早くおっさんに教えてやんな!

ようし、ようやくドラムスの晴彦の出番だな!

私には一体何をくれんだ!高い楽器がいいのう!

すまんがもりりんはドラムは持っていないそうだ! お前は適当に少年ジャンプを叩いてスナップをなじませろ以上!

な ん で!?

あの日から俺たちはスタジオで特訓ずけの日々を送った

初めはまともにこの素人二人が音を鳴らせずことができず苦労したものだが

ロックバンドというものを熟知している、みかこのスパルタな指導の元、二ヶ月が過ぎようとする頃、ようやく俺たちのバンドはバンドと呼べる形になってきた

だから、リズムの要のあんたが足引っ張ってどうすんのさ!ほらもう一回!

そんなぁ!私にはこれでも精一杯努力してますよ! こんなんより普通に音楽楽しみたいですよぅ

そんなの解ってる! 大体、音楽っていう字はね、元はというと音を楽しむって意味じゃなくてただの当て字なんだ!

苦しんで、何時間も音と向き合ってようやくそれがあんたの音になる! 楽しい時間なんて少ないものなのさ!

それに簡単に口からでる「努力」なんてタカが知れてる!ほら、私のギターに合わせてもう一回するよ!

容赦ねぇなぁ、みかこ…

うん、でもおねぇさんあれだけギターひけるのに、いつもこうえんでアコースティックギターでとっくんしてるんだよ。

そうなのか?それまたなんで?

こうやってどりょくをしていたらきっと私はプロになれるんだって、わたしがあいつらを、にほんいちのばんどにするってさ

なら、俺たちも期待答えられるよう特訓しないとな!

もちろん!

それから更に数ヶ月たった頃

俺たちはとうとうオリジナル曲でライブハウスのライブに出られるレベルになっていた。

これで三回目のライブだってのにいつまであんな初歩的なフィルイン(ドラムがAメロBメロの切り替えとかにいれたりする普段と違ったリズム)がミスれるのさ!

いや、ちょっと緊張しちまってよぉ…や、次は頑張ります

まぁいいさ、 どうだいライブは楽しかったろ?

はい、めっちゃ楽しかったですぜ! なんていうか、オリジナル曲で自分のつくったおかず(フィルインのこと)で客がわっとなったとき感動しちゃいました!

そうさ、その感動はアンタがそれだけ数ヶ月の間に真剣に音楽に取り込んだからこそ味わえるんだよ この気持ちを忘れるんじゃないよ

そして、あんたは、ほんっとに物覚えが早いね、この調子でいかれたら27歳で本当に死んでしまえるかもね。

いやだよ、おねぇさん!ロックの天才じゃなくていいから27歳よりも生きておねぇさんとライブするんだもん!

あんたが、27歳になったらちょうどアタイは33歳か・・・ その年になってもあんたたちとバンドが出来てたらいいねぇ。

いいじゃなくて、続けるんだよ。 まだ、俺たちはそこらへんの雑草とかわんねぇ。こっからのし上がってくぞ!

さすがリーダーこれくらいじゃ満足しないってのかい?

当然!俺の作曲とみかこのボーカルギター、田中のリードギターに、晴彦のイカれたリズムのドラムがあんだ!

こんなところで終わらせねぇ!

いや、私だけなんか小馬鹿にしてるでしょ!勘弁してくださいよ兄貴!

あの演奏が終わり、半年がたった。

俺たちは地道にライブを続けながらも、オリジナル曲を出し続けとうとう自主制作CDをつくる段階までこぎ着けた。

俺はシドヴィシャスになれねぇのかなぁ…

いきなりどうしたのさ? ・・・シドってあんたがすきなセックスピストルズのかい?

そ、若くしてこの世を去った天才パンクスベーシスト。俺はそのシドに影響されてさベース始めたんだよ。

俺もいつかあんなすげぇ演奏してぇってなってよぉ。まるでさ彼のビデオをトランペットを欲しがる少年のように見てた

まぁ、俺みたいにパンクス気取ってるガキはみんなシドに陶酔してんだけどな

なんだい、急にアンタらしくない いいじゃん、今だって十分アタシたちイケてるよ。

…それに、アンタはアンタでいてほしい。

こ、このまま順当に客を増やしていったらさ、きっと偉い人の目にとまってさインディーズデビューなんてすぐできるさ!

でもさ、なんかさ俺不安なんだよ。 このままだらだら自主制作CDだしてさ 気がついたら歳をとっていってってさ・・・

俺にカリスマもっとあったらもうお前らを 早くデビューさせれたのかなって

まったく、グチグチ小さないねぇ 私の夢と憧れの方がもっと大きいよ

なんだよ、そのシドよりも大きい憧れって・・・

きいて驚かないでおくれよなんとねそれは__

__魔法少女!

な、なんだよそれ!ひっでぇあっはっは。

だろ、でも私はさ、小さい頃から今まで 割と本気で魔法少女になりてぇと思ってたんだ。

それまたなんで?いま、ギター持って歌ってるのに。

手に持ってるものはなんだっていいんだよ。文章がかけるなら、晴彦みたいに作家を目指しただろうけど、私が使えそうな魔法はギターと歌だけだったんだ。

うちの親って離婚してんのさ。親父は糞みたいな奴で酒が入るとよくアタシや母さんに暴力振るってきた。

でもさ、その親父が暴力を振るわないときがあったの。それがね私が歌っているときと親父に教えてもらったギターを弾くとき

子供の私には意味がわかんなかったんだ。ただ、暇つぶしにギターを弾いてさ好きな魔法少女アニメの曲を歌ってた。

これが傑作で、あの当時の私はさ、私の歌とギターには魔法の力が宿ってるって本気で思っちゃったんだ。

親父から悪の魔王を取り除き、母には笑顔を与えて、家族には平和が訪れるって。 そして、愛媛くらいの平和なら本気で守れるって思っちゃったんだ。

結局そんなことはなかったけどさ。

だけど、そんな魔法少女のなりそこないの今の目標は、あんたがさ私の詞に曲に乗せてさ。

あの小さなライブハウスのみんなに 私達みたいにバカ騒ぎしてんのも悪くねぇよって、

だからお前らアタシらの曲くらい盛り上がりやがれ!って魔法を叫び続けることなんだよ

考えてることは17歳の女の子らしいようで案外しっかりしてんだな。

うるせぇ!私だって結構恥ずかしいセリフ言ってんのは分かってんだよ

だけど、アタシは魔法少女になりたいっていうのは本気さ! そして、それにはあんたの力もいるんだよ。まさお。

・・・あぁ、お前の気持ちはよくわかったぜ!よし、そうと決まれば作曲だ!

・・・へへ

やっとやる気になってくれたかい!

あれから一年と半年 俺たちが出した自主制作CDはなかなかの売り上げを記録していった。

県外からのバンドに対バン(一緒にライブをすること)で小さなハコでする四国ツアーを誘われ、インディーズへの大きな足がかりをえた

そして、愛媛で一番の大きいハコでソロでライブが決まった時事件が起こった。

おい、晴彦てめぇバンドを抜けるってどういうことなんだよ。

いま、俺たちがどんだけ重要な時期か分かっていってんだろうなァ!?

…済みません。本当に

だから、すみませんじゃねぇんだよっ!

ちょっと、アンタ落ち着きなよ! ・・・晴彦、理由を聞かせてもらうよ?

いま、ライトノベルといってそっちの方で 私主体のプロジェクトが企画されているんです・・・

私もようやく売れる作家としての道が開けそうなんです。

知らねぇよそんなこと!俺たちだってようやくインディーズデビューの道が見えてきたところなんだぞ!?

1週間後にはもうデカいハコでライブするんだぞおい!今更代役なんて呼べねぇんだよ!

・・・・・・。

言わせてもらいますけどねぇ、 ノーフューチャーだのなんだのいってる兄貴には例えこのバンドがポシャっても未来があるでしょう?

・・・何がいいてぇんだよ、テメェー!

だから、親があれだけの豪邸持てるほどのあんたには確実な将来があるっていってんだよ!

俺にはなぁ、家族二人を養っていかねぇといけねぇんだよ!お前の親みたいに全額のスタジオ代やハコ代を出してくれるスポンサーはいねぇんだよ!

いつまでも夢みたいなこと続けてられねぇんだよ・・・

じゃぁ、俺たちはどうなっちまうんだよ! 所詮俺たちは金にならねぇから捨てるってのかよ!

いいじゃないですか、私の代役なんていくらでもいます。私はあなたのように音の中心に慣れない。田辺のように歌も歌えない、

そして田中みたいに才能もありはしないんです…ただ、みんなに足を引っ張るばかりですから、ちょうどここで捨てるべきなんですよ。

なにいってんだい! アンタはあれだけ練習したじゃないか!

こんな短期間でここまで出来ることに誇りを持たないか! これから練習を続けたらいくらでも上手くなるさ。

うまくなるって・・・それはいつになったらの話ですか?

え、それは・・・それなりに時間はかかるけど・・・

私には、もうそんな時間がないです。 私は・・・俺は・・・もうお前らと違って若くねぇんだよ・・・

それにどう考えたって、CDは売れてライブで客が盛り上がらずしらけるのは俺の下手な演奏が原因だ。

俺を切ったらこのバンドはすぐによくなるよ…

じゃぁいいよ、もうお前みたいな奴 俺らのバンドに必要はねぇ

ちょっと、アンタなにいってんだい! 今の発言はありえない、早く謝って!

うるせぇよっ!やめてぇやつはやめたらいいんだよ!

そうですか、どうせこんな仲良しこよしのバンドじゃメジャーデビューは愚か何年経ってもグズグズとインディーにもなれず終わりますものねこれで正解です。

あんたも何いってんだい!

みんな!やめてください! ケンカなんてよしましょうよ・・・

嗚咽を漏らしながらも田中まさこは小さな体を前に、今にも取り組み出しそうな三人の輪にはいる

ねぇ、なんで、夢をいっしょにみるわたしたちがケンカしないといけないの・・・ なんで?あれだけ一緒に練習やってライブしたのになんでなの?

わたしはわかんない、仲間ってそういう簡単に壊れるものなの・・・ 私たちが過ごしてきた時間っていったいなんだったの・・・

・・・まさこ

っ・・・

お嬢ちゃん・・・

そうだな、俺たち・・・

もうここで潮時だ

え、ど、どうしてそういうことになるんですか・・・ そしたら私たちの夢はどうなるんですか・・・

そうだよ、晴彦!あんたいま何言ってるのかわかってんのかい!?

バンドを結成してもう3年たつ。 俺は現実をみろといってるだけだ。

なぁ田辺、お前は母親一人をおいて、明確な将来の見えないのに学校もいかずこのまま出口の見えない夢を追い続けるのか?

それは、私だって・・・お母さんを一人にゃしたくないよ。

ほらこれ・・・俺の編集さんがお前にって用意してくれた。 事務の仕事だ。縁故就職と変わらない

ここで資格勉強をさせてもらいながら金を稼いで母親を楽にさせてあげるんだ

だからって、アタシから歌をとったらなにが残るんだい・・・

音楽をやめるなといっていない、お前は歌もギターも弾けるんだ、このバンドなくたって、一人でだって十分やっていけるさ

・・・・・・

田中まさこ、お前は本当に才能があって何もかも器用にこなす。 だけどな、お前はまだ13歳だ。

これまでみたいに部活もできず、友達とも遊べず、勉強する時間もとれない、人生の貴重な時間をこんなことで失っていいのか?

だ、だけど、わたしは皆さんと過ごす時間も大切なんです!

なぁ、これは俺も一児の娘の親父だからいうんだけどな。

こんな遅い時間までよくわからない人間たちといるのは、親としてはどうしても辛いとおもうんだ。

これからの人生は普通の女の子して 過ごしてもいいんじゃないか?

お前はまだ若いんだ。人生を選ぶ選択はもう少し時間がたってからでもいいと思うぞ。

きっと両親もそのほうが喜ぶよ。

・・・

そして、山田まさお・・・ お前はあの家と本気で向き合え。 お前には俺たちと違って確かな未来がある。

お前が誰よりもバンドを愛してることも、知っている。

それに俺は、こんな素人のオヤジを見捨てずメンバーに入れてくれ、夢を見させてくれて本当に感謝しているんだ

だけどな、バンドを現実逃避として見てるのは違うと思うんだ俺は・・・。

・・・・・・。

・・・わかった。晴彦のいうことは最もだ

だけど、聞いてくれ。 来週のライブだけはもう、キャンセルできねぇ。

もし、まだ、このバンドでやりたいっていうのなら明日からも、この時間にここに来てくれ。

それで、もしそのライブの日までにこなかった奴は、バンドを抜けたとみなす。

だけど、これは強制してるわけじゃねぇ。 みんなには向き合わないといけない問題はたくさんあると思う。

だから、俺はみんながここに集まらなくなっても、怨んだりしねぇよ。

みんな、世話になったな。

まさおがそう言い残し喫茶店を去った。 重い空気中、一人、また一人と店をあとにしアタシだけがここに残された。

次の日には、またみんな集まってくれるだろう、次のライブが最後になるのだから。そう思いいつもの時間に喫茶店に向かった

だけど、そこには誰の姿もなかった。

あの、リーダーの姿も。

B
e
f
p
q
r
s
K
O
Keyboard Shortcuts
  • J Next page
  • K Previous page
  • [ First page
  • ] Last page
  • E Enable/disable bubble animation
  • 0 Manual page turning
  • 1 Slow page turning
  • 2 Normal page turning
  • 3 Fast page turning
  • P Start/stop auto page turning
  • ? Show keyboard shortcuts
Play Again
More Stories
Posted at 2012/09/30 13:49 Viewed 45 times

From Author

バンドが好きな人に見てもらいたいです。写真付き。侍とメガネの【侍さん(山田まさお)】と魔法熟女と呼ばないで!の【魔法少女(田辺みかこ)】と新人作家と畜生ラノベ作家の【編集さん】と【木村晴彦】の20年前の過去話。 自分の音楽人生はゴミ捨て場のクラシックギターから始まりました。

Comments

Login to Write your comment