お嬢様はどこに行かれたのだ? ん? 図書室に灯りが。もしや?
そこにおられましたか。お嬢様、そろそろお休みになりませんと。
うーん……。
お嬢様?
一人寝の夜は寂しいのよ。
寂しい? 寂しいのですか?
うん。夜のお供が欲しい……。満足して眠れるように。
では僭越ながら、今宵この私めがお嬢様の下僕となりましょう。
下僕? 何のこと?
私はこの屋敷の召使です。どんな要求でもお応えします。お嬢様が満足されるよう誠心誠意努力します。
だからなんの事?
ですから私が夜のお相手を。どんなプレイを要求されてもかまいません。
悪いけど、あなたじゃ夜のお供にはならないわ。
たしかに、私はその、あまり経験がありません……。ですが召使として誠心誠意最大限の努力はするつもりです。
ふふ……。
なにかおかしいでしょうか?
あんたって本当面白いわね。
そうでしょうか?
うん。とってもおかしい。
あのね、私は寝る前に読む本を探してただけなの。
えっ?
なのにあんたってば。夜のお相手だって……。ぷっ、くくくく……。
失礼いたしました。とんだ早合点でした……。なんとお詫びしていいものか。
そう落ち込まないで。
はぁ……。
そうだ。この本なんだけど、私が寝入るまで朗読してくれない?
え? 私がですか?
そう。それも一応夜のお相手ってことになるのかしら?
かしこまりました。それでは寝室に参りましょう。