秋の夜。 ミースがリビングでタブレットとにらめっこしていた。かれこれ3時間は経っている。
ミース何をそんなに一生懸命みてるの?
・・・・その質問は、答えなければいけない質問なのかしら。
いけないってわけじゃないけど、ずーーーーーっとやってるから何してるのかなぁ、と思って。
何と言うことはないわ。お気に入りのNVLを読んでいるだけよ。
ああ、アレね。あの、
それ以上は言わせないわよ。
えっ、だから、ミースの好きな、ビ
だまりなさい!
まあ・・・なんでもいいけど・・・、NVL読んでるんだね。
ええそう。こんな静かな秋の夜にはNVLがぴったりだと思わない? どっぷりと世界に入り込めるわ。
(どんな世界だか・・・) ふうん。ミースはよっぽど読書が好きなんだね。
そういえば・・・シドが本を読んでいるところを見ないわね。読書は嫌いなの?
嫌いって訳じゃないけど、状況が浮かんでこないんだよ。
見たこともない外国の街の話とか書かれてても、情景が浮かんでこないし、SFなんかだともう、どういう状態かもわからなくなっちゃうし。
だから、読んでても入り込めないんだよね。
ふっ・・・。
ミース、今すごく蔑んだ表情したね。読書も満足にできないこのゲーム脳が! っていう表情したよね?
かわいそうに、被害妄想よ。誰が貴方をそんな風にしたのかしら。 私はどちらかというと、鴨が葱しょって飛んできた・・・って思ったわ。
鴨が・・・?
あなたに読書の楽しさを教えることができるわ!ああ、なんて素晴らしいのかしら!!(ゆくゆくは私の読みたい話を買わせることができるかもしれないしね)
んーでもなあ・・・、なんかちょっと邪悪なものも感じたんだけど・・・。
大丈夫よ、シド。NVLは文字通りビジュアル付きだから、今まで体験が貧困なせいで想像力が乏しかったあなたでも楽しく世界に入っていくことができるわ!
宇宙だろうが、外国人だろうが、未知の生命体だろうが、身体の中だろうが、それなりのイメージが湧くようになってるのよ。
なんかイチイチひっかかるんだけど。
細かいことは気にしないで(^∇^)ニコ とりあえず、難しくないところから攻めればいいのよ。
(気になるよ!) 難しくないところ?
そう。 どんなに活字嫌いな人でも、少しは読んでみたいと思うジャンル・・・。 それはーーー
それは!
R18作品・・・。
・・・。
・・・。
いや・・・、それは・・・、ちょっと・・・さあ?
なによ。なにも問題ないじゃない。
あるよ!おおありだよ! なんでソッチ方面をミースに教えてもらわなきゃいけないんだよ!!
じゃあ、読んだことあるの?
ないけど・・・。
でしょうね。想像もつかない世界だものね。
どういう意味!? ねえ!どういう意味なのそれ!!
ソウイウ意味よ。
とにかく、まずは活字に慣れてもらわないと。ちょっとコッチきて。
二人でタブレットを覗き込み、なにやらヒソヒソ話し込んでいる。二人しかいないのに何故か小声で・・・。
と、まあそんなラインナップかしら。貴方のシュミに合えばいいけど。
あ、う、うん。どうも、ありがとう・・・。 じゃあ、ちょっと部屋で読んでくるよ・・・。
グッドラック。
・・・なにかしら、あの気恥ずかしそうな子リスみたいな表情。かわいくてムカツクからアイツでBLのNVL書いてやろうかしら。
シドは自室に行き、ミースはまたリビングのソファの上で寝転びながらNVLの世界に戻っていく秋の夜でした・・・。