あ、あなたのことが、好きなのよ・・・
うち、ダーリンのことが好きっチャ!
私のものとなれ、勇者よ
バシュン!バシュン!バシュン!
彼女たちの強い想いが矢となり、吾郎くんに襲いかかる!
ぜぇ・・・はぁ・・・ぜぇ・・・はぁ
ちらっ
ま、まだ追ってくるよぅ!!
俺、清水吾郎! なんの変哲もない高校生! 彼女はいない!
今日1日で3人の女の子に告られてハッピー!って思ってたんだけど・・・ 何故か今、3本の矢に追い回されているんだ!
何を言っているのか分からないだろうが、俺も酷く混乱しているよ!
多分推測だけど、おそらくあの矢は彼女達の想いが具現化したものに違いない! 刺さったら最後、彼女達の想いに嫌でも応えなければならないという恐ろしい凶器なんだからね!
彼女達の気持ちは正直嬉しいのだが、今は誰とも付き合いたいとは思わないんだ!
こんなこと言ったら他の男子に殴られるかもしれないんだけど、仕方ない事なんだ! 将来は公共事業を展開して多くの人の役に立ちたいという夢のために、たくさん勉強しなければいけないのだ!
色恋沙汰にうつつを抜かしている時間など、俺にはまったくないのだ!
こ、こんな恥ずかしいこと言うの・・・後にも先にも今回だけなんだからねっ!
グンッ!!
矢のスピードが上がった!!
くっ、避けきれない!!
スマン・・・とても心苦しいのだけれど・・・
ガシッ!(矢を掴む)
ペキッ!(矢を折る)
あーん、あーん、失恋した―
ごめんね
ハッ!次なる敵が!
私のMAXLOVE♥ハーツを受け止めやがれー!!
その割には、矢が・・・ぶれている・・・っ!
こいつ、まさか・・・!
サッ!(矢を避ける)
あーっ、避けてんじゃねーよ馬鹿ぁ!
グサッ(矢が刺さる音)
いたい!
でも、なんだか心地よいぞ! こんなに他人に想いを寄せられたことは初めてだ!
僕とお付き合いして下さい!
よろこんで!!
あのやろう、男なら誰でもよかったんか!!
さて・・・とうとうラスボスだぜ・・・
私から逃れられるとでも思ったか?
あの女の矢の先端には・・・毒が付着している!!きっとひとたまりもないだろう!
しかも簡単には抜けないよう、ごっつい返しまで施されている・・・なんて悪女なんだ!
こうなったら、とっておきの盾を使うしか生き残る道はないっ!!
あら、とうとう私に忠誠を誓う気にでもなったのかしら
スゥ・・・
俺は・・・ホモなんだあああああ!!
なっ、なにいいいいいい!!?
ふっ・・・勝ったぞ俺は・・・異性の誘惑から・・・!
これで心余儀なく勉学に集中できる
けれども、何か大切なものを失ったような気がした