はい、カットでーす。
スタッフの皆さん、宜しくお願いしまーす。
さてと、今日も仕事するかな。
今日はどんなものなんだい？
うげぇ・・・。アイドルが作ったゲテモノカレーじゃねえか。
ほとんど失敗しない料理のはずなのに、どういう過程を経たらこういう色になるんだ・・・。
鮮やかなピンク色が、毒々しさを醸し出してるな。
食うしかないな。
あぁ、そうだな。
ムシャムシャ バリバリ
何かぶよぶよの卵みたいなのが入ってるぞ・・・。
こっちはジャリジャリする何かをとらえた。
口の中で何か動いてるんだが・・・。
口の中が血まみれだ。
スタッフ、完食したか？ 次の現場へ行くぞ。
次はここの清掃だ。
店内が甘い匂いで包まれてるな。
見ろよ。天井や壁、床にパイケーキの残骸が飛び散ってる。
どんな撮影したんだよ、ここで・・・。
掃除するしかないな、・・・口で。
そうだな。
ムシャムシャ バリバリ
甘いもの好きだが、これは流石に・・・。
ほとんど生クリームだしな。
当分は甘いものは遠慮するわ・・・。
ショーケースのスイーツが視界に入っただけでも吐き気がしそうだな。
次の現場行くぞー。
じゃあいつものように頼むな。
芸人の身体張った芸の後始末かよ。
ラーメンとか鍋焼きうどんとかおでんとかがそこら中に放置されてるな。
あれって本当にアツアツなのかね？
わかんねえよ。だってここに来る頃には冷めてんだからな。
オレたち、何でこの仕事してるんだろ・・・。
簡単に金稼げてしかも食費が浮くという上手い話に乗せられたのが運の尽き。
視聴者の笑いを取る為にぞんざいに扱った食べ物を処理する仕事って聞かされてたら、やってなかったよな。
オレたちは残飯処理機じゃねえ！
口を動かしてる暇があったら、口を動かせ。
大した学歴も職歴もない俺たちクズには、案外こういう仕事がお似合いなのかもな。
有名人とかタダで見放題だし、この前なんかあの女優に声かけてもらえたんだぜ。
やりがいっていうか、生き甲斐を見つけないとやってられないよな。
次いくぞー。
何だここは。
いつもと雰囲気が違うな。
お前らにはこれを頼む。
うぇぇ・・・ぇっ、ぇ・・・ぇぇぇ。
女の子だ。
随分派手にやられたようだな。
この仕事やってて良かったな、片割れ。
片割れ言うな。でもまぁいいさ。
『では、いただきます！』
※少女は後でスタッフが美味しくいただきました。
