『絆』

うわぁ~・・・・。人がいっぱいだ。

よう、ちびすけ! 何々、お前も今回の作戦に参加すんの?

う、うん・・・・。

えーマジかよ!

な、なんか今回人員が足りないからって、急遽補充された、とかで。

やめとけやめとけー。 お前なんかどうせすぐへばってリタイアするのがオチだって!

二人ともー、そんなこといったらちびすけ君かわいそーだよ。

無理だっていうことは否定しないけどね。

そ、そんなことないよ! 僕だって・・・・

ま、あたしたちの足を引っ張ることだけはカンベンしてよね!

そーだな!

まあがんばれや、ちびすけくん。

ちびすけ君は置いといて、いこいこー。

あははは・・・・

・・・・・・。

・・・・・・。

おや? こんなところで会うとは。

あぁ! お姉ちゃん!

お、お姉ちゃんはよしてくれ。 未だにむず痒くなってしまう。

えへへ・・・・。

・・・・もしや、君もこの作戦に?

うん。人員不足だって。

・・・・そうか。

僕、頑張るよ!

・・・・ああ。

期待しているぞ!

うん!

諸君! 今回の作戦については各自耳にタコが出来るほど聞かされているだろう! それだけ大事な作戦だ!

諸君の任務はただ1つ! 相手の最深部への進入だ! 君たちの1人でも最深部へ進入すれば我々の勝利だ!

もちろん、そこまで道のりは険しく厳しい! だが君たちはそれを乗り越えられるだけの訓練を積んだはずだ!

我らが神のため、戦おうではないか! これは聖戦である!

うおぉぉぉおおー!!!

はー、僕なんかドキドキしてきたよ、お姉ちゃん!

しかし、本当に大丈夫か?

私の知る限り、君は運動はあまり得意ではなかっただろう?

ちょっぴりね。でも、大丈夫! 僕頑張るから!

ビー! ビー! ビー!

第一関門撃破!内部進入成功! ゲート開きます!

さあゆけ戦士達よ! 勝利を掴み取るのだ!

うおおおぉぉおおおおお!!!!

はっはっはっは・・・・

うわっ!?

ズテーン

うひゃひゃひゃ! こいつ転んでやがるぜ!

バカ! まだまだ先は険しいんだ! こんな奴に構ってる余裕なんかないんだぞ!

あっと、そうだったなすまねぇ。

そういうことだ。 じゃあなーちびすけー。

くっ・・・・ううぅう・・・・

どうした、転んだのか?

あ、・・・・お姉ちゃん・・・・。

ほら。立って。

・・・・ありがとう、お姉ちゃん。

・・・・ここまで来た以上、後戻りはできないんだ。それは分かってるな?

・・・・うん。

よし、ならば行こう!

はっはっはっはっ・・・・

なんだ、ちゃんとついてこれてるじゃないか。

僕だって、いつまでもひ弱で、いる、わけじゃ、ないからね。

そうか・・・・。

だが、走りながら喋ると体力を消耗する、それ以上は喋るな。

うん・・・・。

あっ・・・・。

うううぅ・・・・。

もう、ダメ・・・・走れないよ~・・・・。

足が、足が、痛いよぉ~・・・・。

(あの子は、さっきの・・・・)

ううぅ、こんな辛いとは思わなかったよ。こんな思いするなら、ちゃんと訓練しておくんだったよ・・・・。

・・・・・・。

みんなぁ~、なんであたしのこと置いていっちゃうの~?

ずっと、友達だと思ってたのに・・・・。

・・・・・・。

気にするな。

それよりも、もう少しペースを上げたほうがいいな、ついてこれるか?

(こくん)

よし、頑張れ!

ううぅ~・・・・。

ジッジジジ・・・・

!! あっつ・・・・!

ジジジジュジジ・・・・

えっうそ・・・・。

あたし・・・・。

・・・・溶けてる?

じゅじゅじゅじゅじゅじじ・・・・

いやぁあああああー!!!!!

あっ! あついよー!!! いたいよー!!!! いやぁー!!!!!

いやぁ! 死にたくない! 死にたくないの! 助けて!

だれかぁー! だれかぁああー!! たすけてぇー!

誰か・・・・だれ、か・・・・

じゅじゅじゅじゅじゅずじゅ・・・・

た・・・・す・・・・

・・・・・・。

同情など無用だ、先に行け・・・・!

・・・・・・。

! 見てはいけない!

うあ・・・・うああ・・・・あああ・・・・

はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・

(ここが、最深部・・・・?)

(ダメだ、もう目を開けることもできない・・・・)

おねえ・・・・ちゃん・・・・だいじょ・・ぶ・・?

・・・・・・。

おね・・・・

あいつなら、もう死んだぜ。

!?

最深部の入り口で力尽きたみてぇだ。そのまま死んじまったよ。

う・・・・そ・・・・

気付かなかったのか? まあ、もう目も開けないようじゃ当然か。

(そんな・・・・お姉ちゃん)

しっかし驚いたぜ。 おめーみてーなちびすけが、よもやここまでくるなんてよ。

(そんな・・・・そんな・・・・)

正直、お前のこと見くびってた。どうせすぐ道中で死ぬ奴だと思ってた。

そんなやつが、最深部まで着ちまいやがった・・・・。驚きだぜ、本当マジで。

(・・・・・・。)

っと、そんな与太話してる場合じゃねぇ。

ちびすけ! もう最深部との距離は目と鼻だ!

俺の足はもう動かねぇ! お前だけが頼りだちびすけ! 早く最深部へ・・・・

い・・・・や・・・・

! ちびすけ!?

お・・・・ねえ・・・・ちゃ・・・・がい・・・・なきゃ・・・・ぼ、く

甘ったれんな!

この作戦で、どれだけのやつが死んだと思ってんだ!

せっかくここまでこれたってのに、 お前はそいつらの死を無駄にするってんのか!?

・・・・・・。

お・・・・ね・・・・

おい! そっちは最深部じゃ・・・・

・・・・!

クソ・・・しゃべりすぎた・・・・ぜ・・・・

ちびすけ・・・・たのむ・・・・ なんとしても・・・・ さいしんぶ・・・・へ・・・・

お姉ちゃん・・・・

! お姉ちゃん!

! お姉ちゃん! 待って! 置いていかないで!

お姉ちゃん!!!

待って! 待ってよ! お姉ちゃん!

お姉ちゃん・・・・!

最深部へ到達しました! 作戦成功です!

ナンバーは?

・・・・TG-12HS-291です。

そうか、至急記念碑に名を刻んでおけ。

彼の偉業は、語り継いでゆかねばならぬ・・・・!

!? いえ、違います! これは・・・・

お待たせしました。検査の結果がでました。

おめでとうございます。御懐妊ですよ、奥さん!

!!!

しかも、驚かないで下さいね?

なんと、双子なんですよ!

~終劇~

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公開日 2012/09/19 19:20 再生回数 15

作者からのコメント

オマージュ・・・・というよりは、インスパイアの方が正しいかな?

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