“魔法少女”

幼いころ私は「魔法が使えたらどんなに素敵なんだろう!」と思っていた。

テレビの中の魔法少女たちはきらびやかな魔法を駆使し、仲間たちと楽しそうに毎日を過ごしていた。

きっと私にも魔法が使えたのならば、そんな素敵な生活が送ることができるのだろうと思っていた。

かくして魔法を手に入れた私は、大事なものを失ったことに気がつく。

私の魔法は何でもできる。

学校の宿題を自動でやらせたり、

料理を勝手に作らせたり、

家を掃除させたり、

テレビのリモコンを取りに行かせたり、

買い物に行かせたり。

そうして全てを魔法に任せた結果、

私は全てがつまらなくなった。

以前は文句を言いながらやっていた宿題、

食器を洗ったりするのが面倒臭かった料理、

一年に一度しか使わなかった掃除機、

いつもなくなるテレビのリモコン、

暑い日も寒い日も行かなければならなかった買い物。

他にも色々……沢山……

私が不平不満を言いながらやっていた全てのことが、魔法でできるようになった。

いや……なってしまった。

私はやることがなくなった。

食べて寝て、

起きて食べて、

食べて寝る。

暇な時は一日中遊んだ。

もう勉強にも、家事にも時間は取られない。

やらなければならないことが存在しない。

これが苦痛以外の何物だろうか。

だから私は、

この魔法の力を使って死ぬことにします。

魔法なんて……いらなかった。

……

世の中が便利になればなるほど、

人間の負担する部分は減っていく。

それは一見楽そうで、良いことのように思える。

だが、本当にそうだろうか?

人間が生きている実感を得るのはどんな時か。

私は「無駄」を感じている時だと思う。

「無駄」を感じることができるのが人間。

それが生きている証。

私は……そう思いたい。

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Posted at 2013/12/16 02:11 Viewed 16 times

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魔法を手に入れた少女は……

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