“おれが地蔵で、あいつが電柱 第1回”

おれは電柱だ。

キミPを視聴しているお前らが、 生まれるよりず~っと前から、 この場所に立ってたんだぞ。

どうだ?すげーだろう!?

・・・電柱なら当たり前だって? そういえばそうだな。

つまらない事を自慢して すまねぇ。 だが、俺の気持ちも分かってくれ。

俺は近頃、電柱としての人生に 疑問を感じるようになっちまった。

いや、俺を管理する電力会社が 原○事故を起こしたから、とか、 そういう事は関係ねぇんだよ?

ただ突っ立ってるだけの人生に すごく疑問を感じるんだよ。

早い話、安定はしてるが、 単調でつまんねぇ、 クソみてーな人生。

ハッキリ言って でくのぼう以下じゃんかよ。

まぁ、俺が立ってないと、 電気が家に届かなくなるから、

仕事を放っぽり出すわけにも いかねぇんだけどな。

だけど、これからもずっと こんなクソみてーな仕事を

耐用年数が来て撤去されるまで、 やらされるのかと思うと、 心底嫌になってくるぜ。

あー、むかつくなぁ。 なんか面白い事、ねーかなー

キミPの視聴者諸君、こん○○は。

わしじゃ。 地蔵じゃよ、地蔵。

道端によくいる、癒し系キャラの にくい奴じゃ。

わしはこの街ができる前・・・ 小さな寒村じゃった頃からずっと、 この場所におった。

この街の発展をずっと・・・ ずっと、見守り続けてきたのじゃ。

最近は世の中が豊かになり、 無宗教の人間が増えていると 言われているが、

わしがこの街の人々を見る限り、 そんなことはないぞ。

その証拠に、 わしの前にはいつもお供え物が 絶えず置かれておる。

確かに嬉しいんじゃが、 お供え物をする人や 拝んでくれる人の前で

ずっと威厳を保ち続けるのは、 結構疲れる仕事なんじゃよ。

贅沢な悩みかもしれんが、 どうにかならんかのう。

おっす。 地蔵さんじゃねぇか。

おお、お主は電柱か。 久しぶりじゃの。

・・・久しぶりって、ずっと前から 俺はここにいるんだけど? 俺の事、ナメてんの?

すまんすまん。 お前はいつも立っておるだけだから 気付かんかった。

ひっでーな! 確かに俺は目立たねーよ。 だけどよ・・・

地蔵さん、あんたまで 俺の事を無視しやがってよ。

おれ、もう嫌だよ電柱なんてよ。 糞みてぇな人生、まっぴらご免だ。 いっそ、俺の事、殺してくれよ。

そうか、そうか。かわいそうに。

じゃが、わしも お前の気持ちは、よ~く分かる。 分かりすぎるほど、分かるぞ。

ふざけんじゃねーよ。 オメーみたいな偉い地蔵に・・・

俺の何が分かるっていうんだよ!!

けっ、いいよな~地蔵さんよぉ、 皆にヘーコラ拝まれて 美味いお供え物をたらふく食って

その上、いまの地位に文句がある? ざけんじゃねーよ!

このクソハゲが!

まぁまぁ、 お主の言う事ももっともじゃ

だが、地蔵というのも 結構、大変でな。

拝んでくる人々の相手を しなければならんし、

せっかく貰ったお供え物も 食べ残したり出来ないからの。

この頭も人間関係のストレスで 髪が抜け落ち禿げてしまったのじゃ。 もう二度と、髪は生えんだろう。

そ、そうだったのか、 あんたもいろいろ、大変なんだな。

すまねぇな、地蔵さんよ。 俺、キツく言いすぎたよ。

髪がないというだけでそこまで 憐れむのもいかがなものかと思うが まぁ、良かろう。

それより、お主、先ほどの話だが、 わしの事を羨ましがっておったな

えまぁ、確かに。 正直、あんたが羨ましいよ。 代われるもんなら代わってほしい。

そうか。実はわしも、 お主のような気楽な立場に 密かに憧れておったのじゃ。

そこで、お主に提案がある。

わしとお前で、 魂を入れ替えてみんかの?

ええっ!! そんな事が出来るのかよ?

地蔵のチカラを軽く見るでないぞ。 ワシャこう見えて仏教の世界では 権力ある立場だでな。

輪廻転生の因果を チョイチョイといぢれば、 魂の入れ替えなどお安い御用じゃ。

特にわしの素材は石像で お前さんのは鉄筋コンクリート。

素材的に近似だから、 魂の定着率も抜群なのじゃ

長時間の魂入れ替えにも 十分、耐えられると見ておる。

(宗教者なのにこの爺さん、  意外と科学も詳しいな  一体、何モンなんだよ・・・)

さっきも言ったけど、 俺、あんたの立場になってみたい。

本当に魂の入れ替えが出来るのか 分かんねぇけど、 やれるもんなら、やってみたい。

それはわしも同じじゃ。 お前さんのように誰にも気にされず、 人生を送ってみたい。

さて、それでは、 魂を入れ替えるかの・・・

ぜひとも!

地蔵が秘密の呪文を唱えた瞬間、 地蔵と電柱、 ふたりの魂が入れ替わった!

おお、地蔵さまだ! 俺は地蔵さまになったんだ!!

わしも電柱になってしもうたわい。

じゃが・・・ なにやら、体がぎこちない。

まるで、足が棒になったような、 そんな感じじゃ。

そりゃそうですよ、 地蔵さん。

足どころか、 全身が棒みたいなもんですからねぇ。

おお、そうじゃったの。 ほっほっほ。

つづく

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Posted at 2012/10/29 22:25 Viewed 25 times

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地蔵×電柱で入れ替わりネタをやってみる。続編乞うご期待。

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