“フェアリーフライ(2/3)”

それじゃ、会議を終わる。一同解散!

メガネ!

何ですか。

いや・・・、さぁ~? 最近調子どうよ?

特に変わりはないですよ。

そ、そう・・・なんだ。まぁ、元気でやってるってことか。

そういえば、実行委員の湯政さんと付き合いだしたそうですね。

何でそれを・・・?!

風の噂ですよ。ともかくおめでとうございます。実行委員の仕事に差し支えない程度に彼女との愛を育んで下さいね、

鳥見さん。

何だよあいつ・・・。俺がマシな生徒になったら急によそよそしくなりやがって・・・。マジむかつく・・・。

一緒に帰りましょう、鳥見先輩。

おう。

まぁ、こんなかわいい子と付き合うことができたのも、あいつのお陰でもあるのかな?

あれぇ~? この資料、何か間違ってなくない?

どれどれ? ・・・本当だ。

しっかりしてよ~。噂の彼女とラブラブなもんだから惚けてんじゃないの~?

ヒューヒュー! この色男!

悪りぃ悪りぃ。ミスった所、ちゃんと直してくるよ。

・・・んぱい。

先輩ってば!

ごめん、ぼーっとしてた! ・・・で、何の話だっけ?

もー、ちゃんと聞いてました? 文化祭、一緒に回ろうって話。

うんうん、勿論聞いてたよ? 当たり前じゃん。一緒に文化祭楽しもうな。

先輩、何かありましたか? 最近上の空だし・・・。

実行委員の仕事がハードだからちょっと疲れてるだけかな? 気にするなって。

本当にそれだけ?

例えば・・・、樺(かんば)先輩とか・・・。

何でそこでメガネの名前が出てくるんだよ!!

ご、ごめんなさい! だって鳥見先輩、いっつも樺先輩の姿を目で追いかけてるから・・・。

こ・・・こっちこそ怒鳴ったりしてゴメン。でも俺とアイツとは何もないから。むしろアイツがそばにいなくてこっちはせいせいしてるんだよ。

(本当に・・・、そうなのかな・・・?)

なー、面白いだろ?

マジで? ウケるわー。

君たち、何雑談してんの。口動かしてる暇あったら手動かしてよ!

いいじゃん別にー。俺らここん所働きっぱなしで疲れてんだよー。休ませてよー。

文化祭はもう数日と迫ってるの。まだまだ仕事残ってるのにだらけてもらっちゃ困るわ。

たかが文化祭じゃん。もっと肩の力抜いてこーぜ、樺ちゃん?

やる気ないならここから出てって! 邪魔だから。

んだよ、全く。いこーぜ。

別に追い出すことはないだろ・・・・

鳥見も今日はもう帰ったら? 後は私一人でやるから。

何そんなにイラついてんだよ。そんなんだと仲間から嫌われるぞ。

別に君に心配してもらいたくないね。おせっかいだよ。ほら、彼女外で待たせてるんでしょ。早く行ったら?

い、言われなくても行くっつーの!

何だよムカツクなぁ! 何が君に心配してもらいたくないね、だよ! 俺はメガネのことを案じて言ってやってんのに。

私・・・、樺先輩ちょっと苦手かな? 性格キツいし・・・。

あんな性格だから、友達とかに恵まれてないんだと思う・・・。

おいおい、何言ってんだよ。あいつは確かにたまにちょっとイラってする言動取るけど、面倒見が良くて何でも熱心に取り組む良い奴なんだよ。

鳥見先輩って、・・・樺先輩のこと、好きなんですか?

はぁ?! 何でそんな話になるんだよ?

だってそれだけ良い所を言えるってことは、それだけ彼女のことを見てるってことですよね?

やめてくれよ・・・、確かに俺はアイツに色々と世話になったけど、そんくらいでアイツのことなんか好きになる訳ねえって。これっぽっちも・・・。

(本当にそうだと言い切れるか・・・?)

カタカタカタ・・・。

ふぅ・・・。

ちょっとぐらい休めよ。

・・・っ! 鳥見。

休んでなどいられない。私が頑張らないと楽しい文化祭にならない。

どうしてそこまで文化祭に躍起になってるんだよ。

それは・・・。

私みたいに、普段一人で寂しい学園生活を送ってる生徒に、ぜひとも楽しんでもらう為だ。

あわよくばこの文化祭で、一緒に楽しむ仲間を作ってもらって、今後の学園生活を楽しく過ごしてもらいたい、それだけだ。

お前・・・。

実を言うとな、私には友達がいないんだ。昔からこの性格が元で嫌われててね。

だから、一人で寂しそうに過ごしてる鳥見を見て、自分の姿を重ねてしまったんだ。

せめて君だけは頑張ってこの学園生活に馴染んでほしいな、と思ってつい、おせっかいを焼いてしまったんだ。

そして君には多くの仲間ができた。学園生活も楽しいと思えるようになっただろう。きっと私はそういう使命を与えられたんだと思う。

だからこそ私は、この文化祭を何としても成功させなければならないんだ。

・・・お前はそれでいいのかよ。

別に構わないさ。皆が幸せになってくれればそれでいい。

それに鳥見にやたらしつこく付きまとっていた頃は、少しだけ寂しさを紛らわせたし。私はそれで十分だよ。

・・・・・・・。

あぁ~~、くそっ! それよこせ!

何をする! これは私の仕事・・・

暇だから手伝ってやるよ。勿論やる気はあるぜ!

でも・・・。

一人で何でもかんでも背負い込むな! こうやって頼れる奴がいる時ぐらい素直に頼れよな!

・・・・・・。

プフッ・・・!

何が可笑しい?

いや・・・、鳥見は変わったんだなぁって思っただけだよ。

じゃあ、頼む!

おぅ、任せとけ!

文化祭の準備は深夜まで続いた。そしてようやく・・・、

待ちに待った、文化祭当日。

文化祭、楽しみだね!

あぁ、そうだな。

メガネは、文化祭には来なかった。

次回へ続く。

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Posted at 2013/08/22 08:49 Viewed 12 times

From Author

2話で終わるだろうと思ったら、意外と話が膨らんで結局3話に分けることにしました。

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