“僕は1人”

ホー・・・・ホー・・・・

ここだな・・・・。

夏もとっくに過ぎているのに、最近幽霊がよく目撃されてる共同墓地。

まったく、なんで僕がたかが校内新聞のために、幽霊騒ぎなんか取材しにいかなきゃならないんだ。

そういうオカルトチックなのはオカルト好きなあいつにでも任せておけば良いのに。

まあ、その肝心のあいつが急な事故で入院して取材にいけなくなったら、仕方ないんだけれども・・・・。

仕方ないんだけども・・・・。

ここが幽霊が出るってうわさの共同墓地か!

うっわ~、真っ暗じゃん。 あたし暗いの嫌なんだけど~。

そりゃお前、夜だから当たり前だろ。

ヤス! ライト絶対消さないでよ! 間違っても絶対消さないでよ!

こんな風にか?

いやぁー!!!!!

暗いのダメー! お願いよヤス! 灯り! 灯りー!

わりぃわりぃ、ほらよ。

うううぅ~・・・・。

もう! ヤスのバカ!

お前昔っから暗いのダメだよな~。今でも寝る時は小さい電気つけてんのか?

あたしは暗所恐怖症なんです! 暗いのは本当にダメなんです!

ヤスのバカ!

まあそう怒るなって。 ほら、手ぇ出して。

う、うん・・・・。

ギュッ

ヤ、ヤス!?

暗闇でも、俺がこうして手ぇ握っててやるからよ。

だから、安心して大船に乗ったつもりでいろよ、な?

も、・・・・もうぅ~・・・・。

どうした? 顔が赤いぞ?

な!? なんでもないわよ! ヤスのバカ!

へへっそっか。

・・・・えへへ♪

(クソ! さっきから人の横でいちゃいちゃと青春しやがって・・・・)

(お前らこの1泊2日の取材旅行を完全にデート気分で来てるだろ!)

(どうせこの取材が終わって旅館に帰った後も、俺が寝静まった後に二人でこっそり抜け出して)

(天体観測なんかしながら夜のプロレスリングに移行しつつしちゃったりするんだろ!?)

(マジで爆発しちまえばいいのに! クソ!)

で、その幽霊が出るポイントみたいなのは、どちらにあるんだっけか?

お前、そういうことは事前に調べて置けよ。

もう! しっかりしなさいよね、まったく!

あの階段を登った先の開けた場所の右奥の墓地よ!

わりぃな、調べようと思ってたんだけど、バイトが忙しくってそれどころじゃなくってさ~。

言い訳無用だ。僕やアヤだって勉強やバイトの合間の少ない時間を使って調べてるんだぞ。

あたしはね、この前数学のテストで赤点取っちゃって補修もあったから余計に大変だったんだから。

え~、マジかよ。それはそれは・・・・

まあ補修に関してはアヤの勉強不足が招いた結果だから仕方ないけどな。

とりあえず、アヤにお礼しとけよ? 宿の手配とかもアヤがしてくれたんだからな。

・・・・ご苦労様です!

いや、敬礼とかじゃなくて普通にだな・・・・。

それじゃあ目的地も分かったところで、とりあえず行ってみようぜ!

ちょ!? 手ぇ握ったまま走らないでよ! ヤスのバカ!

(そのまま二人仲良く埋葬してりたい・・・・!!! 生き埋めにしてやりい・・・・!!!)

落ち着け! 落ち着けカズヤ! Koolになるんだ前原カズヤ・・・・!

お~い、何やってんだ置いてくぞ~!

ああ、すまんすまん。今行くよ!

ヤスが歩くの早いんだよ!

いいじゃん、何かと早いほうが便利だろ?

え~? 例えば?

お前を誰よりも早く迎えにいける。

・・・・・! ・・・・バカ・・・・。

宿の部屋、俺だけ別にしてもらおうかな・・・・。

このままじゃとんでもない過ちを犯してしまいそうだ・・・・。

ここら辺だよな。

ああ、そのはずだ。

うひぃ~ な~んか今にも出てきそうでゾクゾクするぜぇ☆

早く幽霊出てこないかなぁ~。

幽霊なんて迷信に決まってるでしょ?

僕も同感だね。

なんだよ、夢がないなぁ~。

夢は幽霊なんかよりももっと楽しいことを見たいわ。

右に同じく。

は~、そう。そうなんだ・・・・。

ほらほら、もう気が済んだでしょう? さっさと写真とって宿に戻りましょう。

賢明な判断だね。このあたり一帯は深夜あたりから一段と冷えるみたいだしね。

・・・・! アヤ、お前もしかして、幽霊が怖いんだろ?

なっ!?

やっぱりな。さっきよりも俺の手をずっと強く握ってるもんな。

べっ! 別にそういうんじゃ、ないもん!

灯り持ってるのヤスだけなんだから、はぐれたりしたら嫌だから、強く握ってるだけなんだから!

安心しろよ、ぜってぇこの手は離さねぇからよ。

幽霊なんか出てきても、俺がお前を守ってやるからよ。

~~~~!!!!

・・・・ヤスの、ばか・・・・(ボソ

・・・・ゴゴゴゴゴゴ!!!

と、とりあえず(ピクピク さっさと写真撮って、早く宿に戻ろうか(ピクピク

よ~し、じゃあ墓地をバックにイかしたの撮ってやるぜ!

え? あたしたちも一緒に写るの?

まあ心霊写真とかは集合写真とか人が多く写ってるのが多いからね。

1人の写真を撮られるよりも、数人と一緒に撮られたいだろう?

幽霊もおんなじなんだと思うんだよね、たぶん。

た、多分・・・・なのね。

じゃあ撮るぞー。

撮るぞーって、自画撮りなの!?

仕方ないよ。どっかの誰かが三脚を忘れるのが悪いんだから。

いやさー、『三脚持って行くぞ!』『絶対忘れないぞ!』って意識しちゃうと、何故か忘れちゃうんだよな。

そこまで意識するなら最初から旅行鞄に真っ先に突っ込んどけよ!

はぁ、もう・・・・やっぱりヤスはバカなんだから・・・・。

つべこべ言うな! 過ぎたことは仕方ないだろ! ほら撮るぞー!

バッバカ! かかか、顔が近いわよ!

おいおいそれじゃ俺がフレームに納まらないじゃないか! もっと引かせろよ!

ほいいくぞー!

『1+1は?』

『にぃ~!!』

ピピピ

パシャ!

ガララ!!!

部長! 例の墓地の写真あがりましたよ!

ヤバイですよ! ほらこれ見てください!

ん~どれどれ・・・・!

・・・・!?

どうです! この右上のやつ! これはもう間違いないですよね!

取材に行った二人も驚いてましたよ!

特にヤスくんなんか、写真見た瞬間にイスから転げ落ちちゃって!

・・・・・・。

それにしても今回のタレこみ、久々にガチでしたね! いつもガセネタばかり掴まされてその度に出費が

かさんで火の車でしたからね!

・・・・・・。

おっと、こうしちゃいられない!

それじゃあたし、早速原稿書いてきますね!

え? ええ、頼んだわよ~。

ガララ!!

・・・・・・。

・・・・どうして?

だって、あなたはあの時に・・・・

トラックに轢かれて、入院してるはずなのに・・・・

・・・・どうして、そこにいるの?

カズヤ・・・・。

~終劇~

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Posted at 2012/09/30 03:53 Viewed 44 times

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校内新聞の取材でとある共同墓地にやってきたカズヤとヤスとアヤの三人。取材は滞りなく進み・・・・

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