“『【リレー小説2】クリスマス・パニック Part6』”

男ばかりのクリスマスを迎えない為に合コンに参加する事になった緑泉 巧と、幼馴染の森傍 薫。

だが合コン参加者の一人、黒井珠里から衝撃の事実を告げられる。 今まで男だと思っていた巧が実は「女性」であったという事を……。

そ、そんな馬鹿な!?俺が……女やと!?嘘や!何かの間違いや!!

嘘じゃないわ、現にさっき金的をされても痛みを感じなかったでしょう?貴方は男として育てられてきたのよ。

嘘や……こんなの嘘や……。 ってか自分何でんな事知っとんのや!?

だって聞いたもの、森傍家の人間から。

……っ!!

……え?え?ええええええぇぇ!? つまり巧くんは男……じゃなくて女の子って事!?

それに加えるとそこの森傍家の人間はこの事を最初から知っていたのよ、それを巧に黙ってた……。

……。

……薫、コイツの言っとる事……ホンマかいな?なぁ? 嘘やろな?こんな事……ホンマじゃないやろ?

お姉ちゃん、その猿轡を外してあげて。

ええええぇぇ!?嫌よ!! せっかくこんなに可愛い子を捕獲したのに!!

は・や・く!!

……巧……ごめん。 嘘じゃない……全部本当の事なんだ……。

……は、ははは……。 分かった……全部分かったわ、自分ら俺を驚かそうと思ってるやろ?グルになって驚かそうと……。

巧!!

うっさいわボケ!! こんな……こんな事急に言われて……自分らは受け入れられるとでも思っとんのか!?

落ち着いて巧!!

なんや……なんなんや!! 俺はどないすればいいんや!! 今更女になれと?ふざけんなや!!

か、薫……俺は……俺はどないすればいいんや……。

……どうするかは巧次第だよ、今まで通り男で過ごすか女として過ごすか……。 ただこれだけは言わせて、君がどんな道を選ぼうと僕は側に居るから。

男……女……そや……そやなぁ……薫も……。

僕は僕の意思で君の側に居る、例え女として生きていくと決めても……離れたりはしない。

だって……僕達は幼馴染だろ?

薫……なんや?急に胸が熱くなってきとうたわ。

っ!!!

す、ストップストップ!! 二人で話を進めないでくださいよ!!

残念ながら巧の隣は私と決まっているのよ、諦めなさい。

ムッ!! そうはいきませんよ?

(巧くんは私の初恋の人……そう簡単に渡す訳には……)

(ポッと出た巫女風情に巧を渡す訳にはいかないわ……一番の問題はあのメガネ野郎ね)

薫……何故や、何故最初っから言ってくれへんのや。 俺が女だという事を……何故黙ってたんや。

……全ては僕達の家系のせいなんだ。 森傍家は古くから君の家、緑泉家に仕える女家系。そして君の身の回りを世話するのが僕に課せられた使命。

な……!?そんな話……聞いとらんぞ!?

勘違いしないで!君の世話は使命とかじゃない、僕の意思で行っているから!

……確かワレのその格好は家から言われてやっとるんだったな?

そう、森傍家から男が生まれてはいけなかった。代々女性が仕えてきた森傍家にイレギュラーとして生まれたのが……僕なのさ。

そうやったんか……。 ん?でもおかしいな、薫とは中学の頃に知り合ったやないか。

実はね、幼稚園の頃から……ずっと巧と一緒に居たんだよ。ただ、当時僕は臆病だったからね君の事を怖がってたりしてたんだ。

君に話しかけられる勇気が出来たのが中学の頃……そして、今に至る訳さ。

そうか……つまりお前はずっと後ろに居たっちゅう事か。 ……しかし何故や?何故俺は男として育てられなきゃあかんかった?

……緑泉家はね、「男」しか生まれてはいけなかったんだよ……僕の家系と同じ様にね。

んな!?そんな馬鹿な!?

神の悪戯か何か知らないけど……君と僕は生まれる家系が逆になってしまった……そう、君が森傍家に生まれ僕が緑泉家に生まれれば良かったのに……!

か、薫?

何で……何で僕が森傍家の人間で生まれたんだよ!!僕と巧が逆になっていれば全部よかったんだ!!こんなに苦しまなくても……よかったんだ!!

ドアホ!落ち着けや薫!!

これが神の悪戯なんて言うんだったら僕は金輪際神なんて信じない!信じたくない!!僕が女で君が男だったらどれだけ良かった事か!!

……落ち着けゆうとるやないか。

巧……僕は……僕は……!!

もうええ、もういいんや……。 ……おおきにな、薫。

う……うぅ……。

……ちょっとちょっとぉ、私達忘れられてる気がするんですけどぉ。

黙ってなさい、愚民が。

な、何ですってええええぇぇ!! アンタ……そのゲロ臭い口の中に消毒液たっぷりの雑巾を捻り込んでやろうか!?

や・め・な・さ・い!!

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……。

……はぁ……はぁ……やっと追い着いたわ。若い子って本当に体力があっていいわねぇ……。

何を!俺はまだまだ行けるぞ!!

……と、少し目を離した隙にちょっと殺伐とした雰囲気になってるわねぇ。一体何があったのかしら。

巧が「女」だって事を話したのよ。

……あらそうだったの!私と一緒ね!! 見た目は男みたいだけど実は女って結構居るものよ?

そんな事あるわけがない!!

(……まさかと思ったけど……何と言う神の悪戯……本来男であるはずの者が女って事ね……世の中って上手くいかないもんだわ)

でも良かったじゃない貴方達、巧くんが女で。巧くんが「女」として生きていくんだったらもう女装なんてしないで普通に会う事も出来るのよ?

それは私が許さないわ!! もし女として生きていかれたら私と結婚出来なくなる!!

というか貴方は何なの? 何でそんなに巧くんに執着してるの?巧くんの秘密も知っていたし……。

元々は巧の事は知らなかったの、でも森傍 薫から写真を見たとき私は運命を感じたの。

(一目惚れってことね……)

何を危惧したかは分かってるけどその時「巧は女」って聞いたのよ。 でも関係無い、愛に性別なんて関係ないもの!!

は、はぁ……。

う~ん、モテてるわねぇ巧くん。

な、なんやろ……昨日までの自分だったら喜んでたかもしれんけど……今は……何かモヤっとした感じがするんですわ。

そうねぇ、貴方の本当の気持ちを自覚したからなんじゃない? 例えば……いつもお世話になっている子への気持ちとか。

(薫……なんやったんや?さっき薫の事を見ていたら……胸が……)

(私も徹から恋のキューピットを頼まれてるしねぇ……他の子には悪いけどここは話を進めさせてもらうわよ)

後は貴方の問題よ、男で生きるか女で生きるか……これは貴方が決めないと駄目よ?

は、はぁ……。

よし!で、巧くんが誰が本命なの? あの赤毛の人?それとも珠里ちゃん?もしくは雪姫ちゃん?まさか……薫ちゃん?

そ、そないな事教えられへん! 堪忍してください!!

うふふ……悩みなさい、悩んで悩んで貴方が信じた道を進みなさい。 男でも女でもよし!今年のクリスマスは一人で過ごすのもよし!!

それは勘弁!!一人で過ごすクリスマスなんて嫌や!!

うふふ……巧くんは誰を選ぶのかしらねぇ……楽しみだわぁ……。

「実は女だった!?」 衝撃の事実を告げられた巧の心は揺さぶられる。

宴の時間は後僅か……。 性別を超えた恋愛事情はどんな終幕を見せてくれるのか!?

次回 『クリスマス・パニック』 遂に完結……なるか!?

次回は七男一さん、よろしくお願いします!!

B
e
f
p
q
r
s
K
O
Keyboard Shortcuts
  • J Next page
  • K Previous page
  • [ First page
  • ] Last page
  • E Enable/disable bubble animation
  • 0 Manual page turning
  • 1 Slow page turning
  • 2 Normal page turning
  • 3 Fast page turning
  • P Start/stop auto page turning
  • ? Show keyboard shortcuts
Play Again
More Stories
Posted at 2012/12/23 01:11 Viewed 28 times

From Author

リレー企画初参加!第二回リレー小説ももうクライマックス、最後まで盛り上がって行きましょう!■前回のお話⇒http://www.kimip.net/play/PozH9バンビ拾いさん作

Comments

Login to Write your comment