“影を買う悪魔”

ハァ…仕事がなくなってしまったでござる

女房には逃げられるし…

借りてた、長屋は燃えるわ…

・・・もう拙者は死ぬしかないのでござろうか

あの~ちょっとすいません

・・・なんでござろうか

おじさん 今、困っていますよね

おじさんって…拙者はまだ二十代でござるよ…

・・・それはいいとして何故拙者が困っていると分かったんでござるか?

それは私が悪魔だからだよ

あ・・くま・・? なんでござるかそれ?

まぁ、日本風に言えばみんなの願いを叶える妖怪かな

貴様…今妖怪と申したな? チャキ

うわっ!いきなり刀抜かないでくださいよ

問答無用!

ズシャア

バタリ

やったか!?

いやいや、そんなありがちな失敗フラグだして死んでるわけないでしょ!

バカな…拙者の刀が効かないなんて

まぁ、これで私に敵わないと分かったでしょう?

こうなったら切腹しか…

だから、ちょっと待ってください!私はあなたと契約するために来たんですよ!

契約?

そうです!

あなたは今お金が無くて困っていますよね?

そうでござるが・・・

だから、私がこの無限にお金が出る袋をプレゼントします!

ほ、本当でござるか!?

ただし!条件があります

条件?

はい!それは影を買い取らさせていただきたいのです!

影?影ってこの足元にある黒いやつでござるか?

そうです!

まぁ別に良いでござるよ、影なんかあってもなくても一緒でござる

やった!じゃあ、おじさんこの袋あげるね。

それじゃあ、おじさんの影貰うね

いやだから拙者はまだ

じゃあね~!

タッタッタッタ

・・・あっという間にいなっくなったでござる

うわっ、本当に影が無くなっているでござる

でも、これで拙者は億万長者でござる

じゃあ、まず食べ物を買いに行くでござる

~移動中~

城下町についたでござる

豆腐屋!豆腐をある分だけ売ってくれでござる 金ならたんまりとあるでござるよ

おう、気前がいいねぇ兄ちゃん ほらよ、うちの店自慢の豆腐だ

ありがとうでござる

・・・おい、兄ちゃん

ん?なんでござるか?

豆腐を売ったとき気づいたんだが…お前、影はどうした?

ああ、それなら悪魔とかいうやつに売ったんでござるよ

へぇ…悪魔ねぇ パキポキ

て、店主?何故拳を握り締めているのでござるか?

それはなぁ…

お前を殴るためだよ!!

グヘェ

バタリ

妖怪なんかに騙されるかってんだ

~一週間後~

あの後、色々な店や街に行ったけど全部門前払いでござったなぁ…

いつも、決まって言われた事は「この物の怪め!」や「妖怪に売る物はない」とかでござったなぁ

・・・

ああ、そうか

あの「悪魔」はこれが狙いだったんでござるな…

おーい、悪魔見てるでござるか?

って言う事が五百年前ぐらいにあったんですけど・・・

ふーん、それで?

いや、その時は上手く行ったんですけど、今やると気づかない人が多いんですよ

しかも、気づいたら気づいたで「ん?」みたいなリアクションして終わるんですよ

五百年前と違って妖怪だったり悪魔とかを信じる人が少なくなったからねぇ

ま、人間たちが言う「幽霊の正体見たり枯れ尾花」だっけ?

はい、それであってます

そこに居るものを別のものに変えて目を背けても「必ずそこに何かが居る」ってことには変わらないのにねぇ

あはは、そうですね

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Posted at 2012/10/20 20:29 Viewed 9 times

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少し間抜けな悪魔を書きたくて書いたんだけど…あれ? 元ネタは『影をなくした男』 侍の台詞がなんかぎこちないけど… 安部一の方はあともうちょいぐらいです

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