『【リレー小説5】一七歳の天使 第五話(終)』

なによ、急に呼び出したりなんかして……。

……。

……例の短冊の件、色々と考えてみたんだ。

呆れた……。烏森ってば、まだあんなものに執着してたの?

というか、そもそも、自習のために、図書館に来てたんじゃないの?

気になって、それどころじゃない。

だから、今回の件、俺なりに結論を出してみたんだ。聞いてくれるか?

(な、なんなの……? こんな真剣な顔の烏森、ハジメテ……ッ)

分かった……アンタがそこまで言うなら……。

ありがとう。

ロサンゼルスって言うのはな──

「lost Angels」……、すなわち「天使が消えた街」ではないんだ。

う、うん……?

なんて悲しい名前の街なんだ……。

……子供の頃から今日までずっと、そう思い込み続けていた。美久利に指摘されるまでな。

……。

……で、短冊の話は?

……ゴホン。

……これも、美久利に言われるまで、気づかなかったことなんだが……。

(短冊なんだからさ、然るべき場所に飾るのが一番なんじゃないかな)

然るべき場所?

昔から、願いを込めた短冊は、笹に吊るすのが習わしだろ?

確かにそうだけど……。

でもアレって、願いってよりかは、一言日記みたいな感じだと思ってたけど。

……日記は日記でも、夢日記だったのかもしれない。

『十七歳の天使』が、短冊に込めてまで叶えたかった夢……願いだったのかも。

火曜に遊んでくれる友達も、金曜に一緒にカレーを食べたり、 日曜に遊園地に連れていってくれる家族も居ない、天涯孤独な子──

──それが、『十七歳の天使』だ。

月曜のカエルの姫って言うのは?

歳を取るにつれ、周りと違って、友達や家族の居ない自分のことを不幸だと悟ってしまった彼女は、

自分が幸か不幸かさえ、何も知らない、なんの柵も無い、井の中の蛙になりたかったんじゃないかな。

そして、最期の日曜日、彼女は──

……永遠の眠りを選んだ。

そんな……、じゃぁ、『十七歳の天使』は──

いつか行ったカレー屋の店先にあったもの、憶えてるか?

……!

そういや、なんでこんな時期に飾ってるんだろって、不思議に思ってたけど……?

俺は、早く自分の勉強に戻りたい。

全てを、終わらせに行こう──。

ムシャ……ムシャ……

げふ……あー、笹無くなっちまったな。でも、取りに動くの面倒くせぇ……。

ほら、持ってきてやったぜ。笹

……ん、誰だかしんないけど、ご親切にどーも

それと、コイツもな。

……! それは……

この短冊、アンタのモンだろ? 『十七歳の天使』さん?

アンタが人間だった頃に書き残した切なる願いの数々……。

そうか……、まさかここまで辿りつく人が居たとは……。

人間であることに絶望した私は、次に眠りから覚めた時、パンダに生まれ変わっていた。

パンダなんて、動物界のスター……。私が人間だった頃よりも、多くの人に長く愛される……。そう思っていた。

でも、現実は違った。

私を産んだ母親パンダのネグレクト……

初めてのお披露目の日…… 「小豆色のパンダなんてパンダじゃない!」って、小さな子供に言われた時の私の気持ち、分かる!?

そして、そのまま人の目に触れることなく、陰でひっそりと生き続ける日々……。

パンダになっても、人間の頃と同じ。

私は、誰にも愛されない。

そうやってお前は、また永遠の眠りを選ぶのか?

そうだね、そのほうがマシかな

……パンダなんて、目開けてるか閉じてるか、わかんねーじゃねーかよ!

いいか、その目見開いて、今一度問おう!

『十七歳の天使』……、今、お前の目の前に、何が見える?

カレー屋の店主から聞いたぜ。お前、今日誕生日なんだってな。

や、やめろ……!

……さぁ、夢から覚める時間だぜ、『十七歳の天使』さんよォ。

【テレビの音声】 「○△動物園に、パンダの赤ちゃんが産まれました。とてもカワイイですね」

……。

烏森、勉強捗ってんの?

なぁ、ワンコ。

お前、今幸せか?

……なに言ってんのお前?

俺は、幸せだよ!

勉強し過ぎて、頭おかしくなったんじゃ……。

あのテレビに映ってるパンダも、幸せだよな?

……あんなに多くの人に祝福されてるんなら、幸せなんじゃないの? 知らんけど。

だよなァ!

お待たせしました。ご注文のカレーになります。

あと、こちら、よろしければどうぞ。

短冊? 七夕はもうとっくに過ぎたけど……。

ウチの店の織姫様と彦星様は、気前が良いので、毎日願いを聞いてくれるんですよ?

だってさ。ワンコ、お前も書いたらいいじゃん!

ひんぬー卒業して、ばいんばいんのどスケベJKになりたいって!

笹に刺されて○ね

あは、ダジャレだ

違う、今のはわざとじゃ……

そ、そんなアンタは、何書くのよ?

俺の願い? ……そんなの、1つに決まってんじゃん。

……アンタらしい、無駄にスケールのでかい願い事だこと。

いくら気前が良いって言っても、こんなお願いされたら、流石に困っちゃうわね、織姫と彦星も

そうかもな。

俺の願いは──

十七歳の天使 完

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公開日 2017/08/17 01:24 再生回数 11

作者からのコメント

3年越しの完結 前の話→http://www.kimip.net/play/QfrQ1 第1話→http://www.kimip.net/play/Ap03d

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