一応、弁解してもいい？
しなくていい。わかってるから
え!?
会長さんの妹と、出掛けてただけ、なんでしょ？
あ、あぁ、俺はそのつもりだったけど
けど、何か・・・？
話の続き、聞いてくれないか？
え？・・・わかった
今日、最後に奈々美ちゃんからキスをされた
・・・
そして、大好き、と言ってくれた
・・・
これってさ、そういうことだよな？
そう、だね。茉莉奈も・・・
・・・？
茉莉奈も、兄貴のこと好きって、言ってた
そっか、茉莉奈ちゃんもか・・・
あ、あたしの口から言うのは卑怯だと思ったんだけど、仕方ない、よね？
さぁ？お前、最近妹友ちゃんと仲悪いんだろ？
え!?・・・うん
まぁ、あんまりふれないでおくけど
ありがと。兄貴は、やっぱり会長さんが好きなの？
あぁ、もちろんだ
ふーん。この前の繰り返しになるかもしれないけど、誰に告白されても、断れる？
・・・わからない
え!?
好きなのは愛祐美だ。だけど、代わりに誰かを拒むのは、できるかわからない
フったら関係が悪くなるのが怖いってこと？
そうだな。俺は奈々美ちゃんとも、茉莉奈ちゃんとも今後仲良くしていきたい。だから・・・
でも、きちんとホントの気持ちを伝えないと、相手は余計傷付くよ？
わかってるよ。けど、俺は誰かを悲しませるようなことは、したくないんだ
兄貴、優しいんだね。でも、残念だね。あたしは、兄貴が会長さんと付き合うことになって、少し悲しかったよ？
紗貴・・・？
もちろん、兄貴に彼女ができたことは嬉しかった
だけど、あたしは兄貴が、す、好き、だから///。だから、誰かのものになるなんて、嫌だったよ
お前・・・。でも、兄妹では・・・
うん。家族愛的な意味では一番好きって言ってくれたとき、少し残念だったけど、嬉しかった
・・・
あたしは真剣に兄貴が好き。大好き。愛してる///
こんなのいけないってわかってるよ。でも、それでもあたしは・・・
ごめん。少し頭の中を整理させてくれ
うん、わかった
(待てよ、待ってくれ。落ち着け、落ち着こう。今日一日で3人の気持ちを知ってしまった)
(だからって、簡単に拒める相手じゃねぇ。状況をみると、かなりどうしようもないな)
(気持ちの面ではどうだろう。俺は会長が好きだ。だけど、3人のことも好きだしかし、好きの度合いが一番強いのは、会長だ)
(でもそれは現彼女だからという補正がかかってる可能性がある。その発想がある時点でもうだいぶやばいな)
(ぶっちゃけ会長以外でも、あの3人なら誰と付き合ってもいい。どうしよう、どうしたら、どうすべきなんだ!?)
さっき、誰も悲しませたくないって言ったよね？
もしかして、あたしにメールをくれたのは、その気持ちがあるからなの？それとも、本当にあたしのことを思って？
っ!!それは・・・ごめん
そう・・・。それってさ、自己満足に過ぎないよね？相手のことなんて、これっぽっちも考えてないよね？
うっ・・・
本当に悲しませたくないなら、きちんと気持ちを、正直に伝えるべきだと思うよ？
紗貴。お前はいけないってわかってても、俺に好意を伝えてくれた。それなのに、今お前は自分をフらせようとしている
どうして、どうしてこんな・・・
あたしは兄貴の妹だもん。だから、兄貴の恋が失敗しないように、助けたいんだ
お前は、俺の妹だから、俺にこんなことまで・・・？
そう、だね。あたしは兄貴が幸せになってくれればそれでいいの。妹としてのあたしはね
・・・？
でも、でもね。一人の女の子としてのあたしは、好きな人と結ばれたいって思ってるよ
だけど、あたしは好きな人とは結ばれることはない。だって、好きな人は、お兄ちゃんだから///
紗貴・・・
(紗貴を一人の女の子としてみたことなんてなかった。っていうか無理だ)
(でも、こいつはこんなにも、俺のことに真剣で、一生懸命なんだ。この思いに応えることなく、俺は愛祐美と付き合っていられるのか？)
ごめんね、急に。お腹、空いてるよね？夕飯できてるから
あ、あぁ、ありがとう
あたしはもう寝るから。おやすみ、兄貴
あっ、お、おやすみ・・・
大丈夫、あたしはそんなに弱くないよ？
ごめん、ありがとう
・・・・・
(何で、何でだよ。何でこんなことに・・・)
(そういえば、奈々美ちゃんとアドレス交換したんだよな。今日はもう遅いから、明日あたり聞いてみようかな)
あれ、メール。茉莉奈ちゃんからだ
『明日の放課後、お邪魔してもいいですか？』
大方今日のことだよな。それか、気持ちを伝えに来るか。どちらにしても憂鬱だけど、断る理由がないな
どうぞっと。・・・返信は、ない、か。時間も遅いし、もう寝てるのかな。俺ももう寝よ。色々あって、疲れたし
・・・・・
お前、あれから進展あった？
あぁ、兄友。もう大変でさ。幸せな悩みなんだけど
爆発しちまえよ、おい
あ、電話だ。すまん、ちょっと
あぁ、気にするな
もしもし
あ、お兄？
奈々美ちゃん？そっちも昼休みなのか？
高校と中学じゃそんな変わんないって。それより、あのメールのことだけど
あぁ、そのことか
昨日のことは本気かって、本気に決まってるよ！好きじゃなかったら、あんなこと、できないよ///
そう、か。そうだよな。でも、俺、どうしたらいいか・・・
お姉ちゃんのこと？お兄は、どうしたいの？
俺!?俺は・・・。愛祐美には幸せになってほしいし、裏切るようなことはしたくない。でもそれは、奈々美ちゃんにも言えることだから
じゃあさ、ズバリ聞くけど、お兄は私のこと、好き？
えっ///？どうなんだろう・・・わからない
そっか・・・
別に嫌いな訳じゃない。ただそんな風に考えてなかったから
相手のことを考えるのもそうだけど、自分の気持ちも、もう少し尊重していいと思うよ？
あぁ、ありがと。少し考えてみる
あ、そうだ。今日遊びに行っていい？
いいけど、妹の友達来るよ？
別にいいよ。じゃあ放課後、私の中学まで迎えに来てくれる？
わかった
あ、場所わかる？
大丈夫だ。任せとけ
ありがとう、じゃあ待ってるね、お兄
あぁ、また後でな
ふぅ
贅沢な悩みってか
ま、まぁな
モテる男は辛いねぇ
まったくだ
・・・・・
ええと、校門の前でいいのかな？
あははっ！あ、今日は迎えがいるんだ、縁(ゆかり)ちゃん
えっ!?奈々美!?
お兄ーノシ！
おぅ
なかなかイケメンじゃん。しかも年上？どういう関係？
ふふっ、内緒。じゃあね
えー、また、ね
早かったね、お兄
そんなに距離ないからな。っていうかなんで私服？
うちの学校は制服がないのだよ
マジか・・・
さっきの私の友達のは“なんちゃって”だし
へぇ、そうなのか。ほら、乗れよ
え？でも、二人乗り、いけないんだよ？
ははっ、真面目だな。さすが生徒会長の妹だ
でも、せっかくだからぁ、乗っちゃおっかなー？
おう、振り落とされんなよ？
安全運転でお願いね？
頑張るよ・・・
もう、気を付けてよ？
・・・・・
あれ？妹友
お兄さんは？
まだ帰ってないよ
そっか・・・
よかったら、あがって
あ、ありがと
確かにいつもより遅い。何やってんだろ、兄貴
紗貴、僕とはもう、話さないって・・・
あぁ、あれ？もうおしまい。昨日兄貴と話して、色々気付かされてさ
ふーん、そっか
ただいまー
あ、兄貴帰ってきた
お邪魔しまーす
え？誰？
あ、あなた・・・！
こっちはこの前会った人だから、こっちがお兄の妹さん？
そう、だけど、その、お兄って？
き、気にするな！
ふーん・・・
とりあえず、部屋においでよ
うん、お邪魔するね
僕の方が先約なのに
茉莉奈ちゃんもおいで
はい、わかりました
紗貴、お前はどうする？
じゃあ、あたしも行く
・・・・・
とりあえず、説明してくれる？
あぁ、この子が愛祐美の妹だ。今日昼に電話があって、来たいっていうから連れてきた。ま、部外者ではないしな
・・・
よろしくお願いしまーす
よろしくね
さて、本題に入ろうか
その前に、茉莉奈の気持ちをはっきりさせるべきじゃない？じゃないとこの話に参加する資格はないよ
え？
そうだな。この二人は気持ちを打ち明けてくれた。俺に愛祐美という彼女がいるのを知ってて
改めて言われると照れちゃうね///
ぼ、僕は、お兄さんが・・・好き、です///
ありがとう、茉莉奈ちゃん
お兄さん・・・///
それじゃあ、改めて本題に入ろうか
兄貴は最終的に誰と付き合うのか
えっ!?お姉ちゃんはどうするの？
もちろん好きだ。見捨てるつもりはないし、別れたくもない
だからこそ、僕たちが奪ってみせろと？
違うよ。兄貴は、どうすべきなのか、わからないんだって
お兄、どういうこと？
愛祐美はもちろん好きだ。でもみんなのことも好きなんだ。恋愛感情かどうかはわからないけど。だから、どうしたら・・・
さっきも言ったけど、お兄はどうしたいの？本当のことを言っていいよ
俺は・・・、みんなと幸せに過ごしたい
だったら、誰とも付き合わなきゃいいんじゃない？誰かに特別肩入れしないで、みんな平等にするにはそれくらいしか
お兄は、お姉ちゃんと別れることになってもいいの？
嫌だ。愛祐美とは、結婚したいよ
僕たちのことは、どう思ってるんですか？
みんな、大好きだよ。愛祐美も含めて。だから、誰とも別れたくないんだ
兄貴・・・。あたしは愛人で十分だから
あ、ズルい！私はぁ、側室でいいよ？
お前らなぁ
真面目に考える気あるの？
まぁ、でも、色々わかったよ。今日はありがとう
どういたしましてー！
力になれてよかったです
頑張ってね、お兄ちゃん
あぁ、任せとけ。お前たちの気持ちを無駄にはしない
じゃあ、今日はもう帰るね。じゃあねーノシ
僕もそろそろ帰るよ
じゃあな、二人とも。気を付けて帰れよ
・・・・・
さて、どうしたもんかな
ホントに何かわかったの？
も、もちろんだ！
ふーん。本当に？
本当だ。わかった。じゃあ、俺が考えたことを少し話してやろう
うん、お願い！
そうだな、例えば・・・
つ・づ・く
