『【リレー小説2】クリスマス・パニック part3』

薫のバイトの先輩の粋な計らいにより、個性のごった煮と化してしまったカラオケ個室内であるが、構わず合コンは開始された。

貧乏一人暮らし少年の巧は独り身のクリスマスを回避するべく、年上アダルティーお姉さんの玖々莉に目星を付けるが……

ねぇねぇ巧くぅん、私と熱~いデュエット歌わない? お姉さんリードしちゃうわよ~!

どきなさいよブス。 巧と一緒に歌うのは、未来のヨメであるこの私よ!

お前らちょっとワイから離れろや! 暑苦しくてかなわんわ!

左右を強敵(ツワモノ)に包囲されて身動きが取れなくなり、玖々莉とのコミュニケーションもままならない状態であった。

…………

……おい、奈緒美(なおみ)。 ちょっと来てくれ。

ん、何? どうしたの?

おーい、お前ら。俺ちょっとトイレ行ってくるわ! 勝手に盛り上がっててくれ!

はーい、行ってらっしゃーい!

ガチャッ、バタン!

私も済ませとこ! 行ってきまーす!

ガチャッ、バタン!

(何や、いきなり二人だけで出て行きおって。  怪しいな……)

…………

はぁ……自分で呼んでおいてなんだが、アクが強い奴らばっかでなかなかしんどいな。

ホント、何のための合コンなのか分からなくなってくるわ。 貴方、一体どういうつながりであの人達を呼んでいるの?

ああ、玖々莉と珠里はバイトの同僚だ。薫も同じバイトをしている。

真……というか雪姫は、俺の友達の知り合いなんだ。そいつが女装系に詳しい奴で、そのツテで雪姫と面識を持つようになった。

……で、お前が元バイトの同僚のよしみな訳だ。

まったく、そんなよしみで駆り出される身にもなって欲しいわ。 いきなり「恋のキューピッド役を手伝ってくれ」なんて……

まぁ、そう言うな。 可愛い後輩の頼みを無下にするわけにゃいかねえんだよ。

薫くんのことね。 さっきまで話してたけど、中々良い子じゃない! 意気投合しちゃった!

あぁ、「クリスマスの日に、幼馴染に一度でも良い夢を見させてあげたい」だなんて、自分のことは棚に上げて良く言うわ。

幼馴染ってあの子でしょ、巧くんだったっけ? あの奇抜なファッションした……

いや、お前も相当なモンだと思うけどな…… それはいいとして、どうだ? あの巧とやらに合いそうな奴はいたか?

うーん……豚さんと珠里って子が猛烈アタックを仕掛けているようだけど、巧くんの反応を見る限り望み薄そうだしねぇ……

あの赤髪の人は? 年上だけど、どうやら巧くんは彼女にゾッコンみたいよ。

あー……あいつは、諸事情というか、問題が……

あいつ……玖々莉は、彼氏持ちなんだよ。

ハアァァァァァ!? じゃあ何で合コンに呼んだのよ!?

いや呼ぶつもりなんて無かったんだが、珠里辺りから合コンの話を聞き出したらしくてな……

軽い上に何にでも首突っ込みたがるタチなもんで、来んなっつっても聞かねえんだよ。

つくづく不憫ね、巧くんも…… でもどうするの? 私が行っても相手にしてもらえないでしょうし……

……もう正直、「奴」しか適任はいないんじゃないかと思ってる。

どうやら巧と以前から面識があったようだし、見たくれならかなりのモンだろ。それなら十分行けんじゃね?

それってますます不憫な気もするけど……「ひとときの夢」って考えれば、それも有りなのかもしれないわね。

よっし、そうと決まればさっそく作戦を開始するぞ、奈緒美! しっかりサポートしろよ!

相変わらず強引なんだから、徹(とおる)は。 どうなることかしらね……

……一方、個室にてーー。

と、その前に。

ところで、あの豚さんとはどういう関係なの? それだけ説明してもらってないんだけど。

……あの、まったくもって関係が無いんだが。 一体何者なんだ、あの豚女は……

……改めて、個室にてーー。

あらぁ、雪姫ちゃん歌とっても上手じゃない! 素敵よ~!

ありがとうございます~! 豚子さん!

(ゴクゴクゴク)プハァーッ。

……なぁ、真。一つ聞いてもいいか?

その名前で呼ぶのはやめてください。

……はいはい、雪姫さん。 一つ聞かせてもろうてよろしいでしょーか?

何ですか?

お前女装してこの合コンに来てるけれども。 男か女か、どっちに会いに来てるん?

えっ!? えと、それは……

中途半端やん、それじゃ。 仮装して集まる場所ちゃうねんぞ?

(……お、お前がそれを言うか!)

巧、あまり深入りしてやるな。 「彼女」にも複雑な事情があるんだ。

事情言うたって、それとこれとは話が別やん。 そんなら合コンに来る意味だって……

巧ッ!!

シィーーン……

な、なんや……いきなり大声出して……

あ……わ、悪い。

ちょっと、何さっきから私のダーリンにちょっかいかけてんのよ! やめてよね!

お前は黙っとけや!!

ガチャッ!

おーす、戻ったぞー……って、どうした? あんまり盛り上がってないな。

……あ、い、いや! 何でもないのですよ! 間が悪く徹さんが入ってきちゃったっていうか!

そうなのか? それなら悪いことをしたな。 何にせよ、合コンで盛り上がらないなんてもったいない。

ここは詫びとして、俺が場を盛り上げ直すとしよう。 というわけで、合コン定番「王様ゲーム」を開催するぞ!

おおー! いいじゃん、王様ゲーム!

(王様ゲーム……うまくいけば、玖々莉さんとあんなことやこんなこと!) やりましょう! ぜひぜひやりましょう、王様ゲーム!!

ハッハッハ! 割り箸準備してきた甲斐があったわ! それじゃ配るぞー。まずは女性陣からな。

それじゃ、私がお先に取らせてもらうわ~!

おう、さっさと取ってけ豚。

豚、じゃなくて豚子よ! 失礼しちゃうっ!

…………

よし、みんな取ったな! それじゃ……王様だーれだ!?

……あ、私王様ー!

それじゃ、何を命令しようかなー…… (チラッ)

(サッ)

(……先輩、何かやってるな……)

それじゃ、3番と6番の人がーー

(3番……お、ワイが3番や!)

(6番玖々莉さん来い! 6番玖々莉さん、来おぉぉぉぉぉいっ!!)

果たして、6番の割り箸を引いたのは誰なのか? 巧は、クリスマスを共に過ごすパートナーを見つけられるのか!?

ー続くよー

次回はダメリンゴさん、よろしくお願いします!

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公開日 2012/12/19 22:48 再生回数 26

作者からのコメント

3番手だが、2番打者のバントの様な繋ぎを意識して・・・ッ! と見せかけてバスターエンドラン       part2→http://www.kimip.net/play/FmaDY part4→http://www.kimip.net/play/Crx43

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