“私の周りが変人すぎる!? 最終回”

「あれ……ここ……どこ?」

「あ……夢かこれ……」

「夢の中で夢だと気づくのって…… 明晰夢っていうんだっけ?」

「ふふっ、なかなか変な出来事ね うん、明日みんなに自慢しよう……」

佐藤ちゃん佐藤ちゃん

「ん……?」

わたしです、佐藤ちゃん

「あれ……大先輩、部長?」

はい、お邪魔してますよ

「…………」

「……ついには人の夢にまで出てくるようになりましたか」

もう完全に耐性がついてますね! もうちょっと驚いてくださいよ!

「いまさらですよ……それで。今日はなにしにきたんですか?」

…………

……お別れを言いにきました

「……え?」

できれば……静かに聞いて欲しいです

「…………」

その……ですね わたしはネネちゃんの家系が 信仰する神様なんです

ホントは人間と一緒に生活なんて 許されない…… えらい神様なんですよ?

でも……わたしが甘やかしたばかりに 信徒、つまりあの血筋はダメダメに なってしまったんです

そこでわたしはあの血筋を更生させることにしました

ドッグさんや花子ちゃんカナヘビくん 他の神様にも協力してもらって……

「なら良かったじゃないですか ネネちゃんは明日から学校に行くっていってるし……」

「これで大先輩部長たちも 気兼ねなく学園生活を……」

それが……ですね

わたしたちが学校にいたのは あくまで「学校の楽しさを伝えるため」、更生のために必要なことで あって……

その理由がなくなった今 わたしたちは学校にいられないんです

「え……?」

正直な話をしますと…… たぶんわたしたちは、もっと学校にいたかったんだと思います

だから、無意識のうちに手を抜いて あの子が学校に行けなくても…… なんて。本末転倒な意識が芽生えてたと思います

ありがとうございますね佐藤ちゃん 佐藤ちゃんのおかげで、あの子は きっと良い人生が送れると思います

「大先輩部長……」

だから、ね

もう……さよならなんです

佐藤ちゃん……

「ま……待ちなさいよ!」

…………

「そんな勝手なこと……」

笑顔で さよならですっ

「いきなりすぎるわよ!」

佐藤ちゃんの記憶から わたしたちのことは消えます

「許さないわよ! 私の記憶を勝手に消すなんて! 私の前から勝手にいなくなるなんて……」

ネネちゃんのこと よろしくお願いしますね ……あと、できれば変人部のことも

「絶対、許さないから!」

「大先輩部長ッ……!」

さようなら 佐藤ちゃん

「大先輩部長――――――ッ!」

大先輩……部、長……

あれ……なんで私泣いて……? それに大先輩部長って……

誰だっけ?

…………

ま、いいか それよりはやく仕度しないと 遅刻しちゃう

いつもの日常――

けど何かが欠けていた――

大切な何かが――

あ、佐藤さん

あ! ネネちゃん ちゃんと学校に来てたんだ

あんな脅しかたされたら 来ないわけにはいきませんよ……

まあまあ 結果オーライということで

で、学校のほうはどう?

まだ慣れませんけど……

でもあなた『たち』に比べれば…… まだ何とか馴染めそうな気がします

それなら良かったわ

でも馴染めなかったら いつでもこっちにきなさい 歓迎するわよ?

勘弁してくださいよ! わたしをクラスで浮かす気ですか!?

ふふふふ……

そういえば 一つ気になってたんだけど

なんですか?

私たち同級生よね? なんで丁寧語?

いえこればかりはクセなので……

へえ。やっぱり大先輩部長と似て――

あれ?

どうかしました佐藤さん?

いやちょっと……大先輩部長って 誰だったかなって

佐藤さん……もしかして…… 覚えてないんですか?

ん? 何を?

…………

いえ、何でもないです カミサマが決めたことですから

それじゃ わたしはこれで

うん、またね

…………

何か…… 忘れてるような気がするのよね……

「もう大丈夫ですね……」

「わたしの役目は…… わたしたちの役目は…… もう終わったんですね……」

「わたしたちの物語は これで終わりです」

「いままでありがとうございました みなさん……」

END

END……?

「そんな『普通』な終わりかた 私が許すと思う?」

「ふざけないでよ」

「忘れていいわけ……ないじゃない」

「長年生きてる神様にとっては ただの、ほんの一瞬に過ぎないかも しれないけど」

「私にとっては、大事な時間なのよ」

「絶対に忘れてやらない 忘れてやるもんですか……!」

「もう一度 見つけてやるわよ……!」

「私の思い出の場所を……」

「変人部を!!!!」

はあ……はあ……

思い出してやったわよ……

気合でね! 気合があれば大抵のことはできるんでしょう?

ドッグさん

ふっ……小娘 否、佐藤よ さすがと言っておこうか

当たり前じゃない 私は「普通」じゃないのよ

あんたもいい加減出てきなさい! JKの名が廃るわよ!

花子!

いきなりチョーシこきすぎ まぢアリエンティ~♪

あんたもテンションMAXじゃない

さああとは……

クククク……闇のエージェントよ この光のエージェントとして 覚醒した私に恐れをなしたか……

敵前逃亡なんてことはしないわよね カナヘビ

ククク……当然…… 闇のエージェントは常に戦場に在る

集まったわね

なんかひとり足りない気がするけど

気のせいよね!

さあ今日の変人部の活動は……

自分の好きな最終回を迎えること!

自分の……

好きなっ!?

最終回となっ!?

ええそうよ! 私はみんなのこと忘れてENDなんてまっぴらゴメンなの

あんたたちだって! 私たちの物語に相応しい終わりが あると思うでしょっ!

なるほど……

じつを言うとな 我は打ち切りENDなるものが好みだ

へえ てっきり「しっかりしたENDでなければ認められぬ」とか言うと思ってた

うむ 最初はそうであった

しかし この変人部で皆と時間を過ごすうちに 我も可能性を信じたくなったのだ

まだ続くかもしれぬ という可能性を

……はじめましょうか 可能性のENDを

…………うむ

くらえ佐藤! 新必殺音速火炎斬!

さあきなさいドッグ! あたしは実は一回刺されただけで 死ぬぞォォ!

グアァァ! このザ・フジミと呼ばれる佐藤が こんな小猫に……

佐藤がやられたようだな……

フフフ……奴は佐藤の中でも最弱……

小猫に負けるとは 佐藤の面汚しよ……

くらええええええ!

ぐあああああ!

ついに四天王を倒したぞ これで魔王城の扉が開く……

よくきたソードマスタードッグよ…… 待っている……

ひとつ言っておく お前は私を倒すのに色々必要と思っているようだが 別になくても倒せる

我もひとつ言っておくことがある 色々伏線があったようが気がするが 別にそんなことはなかった!

うおおおおおいくぞォ!

さあ来いドッグ!

ドッグの勇気が 世界を救うと信じて……!

ご愛読ありがとうございました!

…………

…………ふっ

我らはこれぐらいでないと 満足できぬよな

また会いましょう ドッグさん

うむ 佐藤よ。

ぬしの名は終生忘れぬぞ……

…………

次はあたしね

じつはあたし 結構少年漫画って好きなのよねー

あら意外ね? そういうの嫌いかと思ってたわ

今時のJKはジャ〇プも読むのよ

……これ教えんのは あんただけだからね

うん

いくわよ佐藤!

いくわよ花子!

切り拓けない道はないんだッ!

『W螺煌斬』!!!!!!

『よっしゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ』

ふう……

やっぱあたしに 熱血は似合わないわね

たまには良いんじゃない?

そうね…… 最終回ぐらいはね……

じゃあね花子 今度メルアド教えてよ

……ええ、またね

…………

さて次はオレか

とは言っても オレは他とは違ってこの学校に 残るんだけどな

え? そうなの?

オレはこの学校に縁のある神様だし

それなのに停学になったんだ……

ふっ……政府の陰謀が働いたのさ……

というわけでオレはまだ終わらない

オレは ようやくのぼりはじめた ばかりだからな

この 果てしなくとおい 中二坂をよ……

さらばだ……光のエージェントよ

…………

…………意地はってないで そろそろ出てきてくださいよ

大先輩部長

ズルいです…… こんな……こんな……

こんな楽しそうなことやられたら 出てこないわけにはいかない じゃないですか!

で。大先輩部長はどんな最終回が お望みなんですか?

そうですね…… 色々あるんですけど

色々……あるんですけど……

…………

覚えてて……くれませんか?

わたしたちのこと やっぱり忘れて欲しくないです

…………

奇遇ね 私も同じ最終回を望んでいたわ

さ、佐藤ちゃん……

ありがとうございます

ずっと ずっとずっと……覚えてるから

はい……

いつかきっと 復学してよね

神様ならそのぐらい 出来るでしょ

待ってるから 約束して またここに、みんなで集まるって

はい……約束です……

また変人部で会いましょう

またいつか……

…………

ええ……また変人部で……

――10年後――

失礼しまーす

「はいはい。何のよう?」

あ、佐藤先生ですか? 私1年B組の斉藤なんですけど……

じつは先生が顧問をやってる 変人部って部に入部したくて……

「ふーん 入部届は用意してある?」

はい ちゃんと用意してあります

「そ。じゃあ入部決定ね 今日の放課後から部室にきなさい」

え? そんな簡単に……いいんですか

「まあねー あいつらも喜ぶだろうし 別にいいわよ」

はあ…… あ、ありがとうございました 失礼します

「……新入部員か 昔を思い出すわねー」

いいんですか? あんな普通の子を入部させて

「山田……先生 別にいいのよ 変人部を見つける自体 普通じゃないから」

もう…… 相変わらず変な人ですね

「それ……私にとっては」

最高の褒め言葉よ?

――ここはとある高校――

――そのとある階の――

――とある部屋には――

――変人部という  変人だけが集う部があるという――

ご視聴ありがとうございました!

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Posted at 2012/12/14 21:37 Viewed 26 times

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いままでありがとうございました!

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