さて、時間があるから、 ゲームでもやるか・・・
良夫! わしじゃ、爺じゃ! 部屋に入るぞ!
はいはい、どうぞ。 何の用だい、じいちゃん?
良夫・・・ちょっと話がある。 わしが最近テレビで聞いた話では ・・・
お前は近頃、オタク系と言われる 趣味に熱中しているらしいな?
確かに、俺はゲームもアニメも フィギュアも漫画もラノベもSFも ミステリーも好きだから・・・
自分がオタクであることは、 否定できないね。
それが、どうかしたのかい?
少し厳しいが、 はっきり言わせてもらおう。 こんな趣味はすぐに止めなさい!
世間に変だと思われるような趣味に うつつを抜かしておっては、 まともな大人になれんぞ!
でも・・・
だいたい、お前が今やっている ネットゲームというものは何だ?
これは、MMORPGと言って、 皆でパーティを組んで 敵を倒すと・・・
そんな非現実の世界に没頭する つまらんもので遊ぶのは 止めなさい!
ぐぐぐ・・・・・・・・・・・・・・
まぁまぁ、 その辺にしておきなさいよ、 爺さん!
なんだ、婆さんか・・・ お前がしゃしゃり出てくる 必要はないだろう!
わしは今、良夫と 話をしているんだ。
お前には関係ない話だろう?
良夫はあなたの孫でもあり、 私の孫でもあるんですよ。 関係ないはずはありません。
・・・まぁ、そうだな。 じゃあ、勝手にしろ。
さっきから聞いていれば、 孫がゲームで遊ぶのが気に食わない そうじゃありませんか?
ああ、そうだ。
それを言うなら、爺さんだって 囲碁とか将棋に熱中しているじゃ ありませんか?
あれだって盤上という非現実の 世界で疑似的な戦争に没頭する 遊びですよ?
うぐぐ、それは・・・
・・・じゃあ、 お前の見ておるアニメというものは いったいどうなのじゃ?
全く子供じみたお決まりの内容の アニメとやらを飽きもせずに 見るなんて・・・
いい年こいた男子の やる事ではないぞ!
まぁまぁ、爺さんだって 水戸黄門とか暴れん坊将軍の 番組が好きじゃありませんこと?
あれだって、正義が悪を倒すという 単純で子供っぽいお話では ありませんこと?
ぐぬぬ・・・!!
・・・じゃ、これは何だ? 男のくせに、女の子の人形など かざりおって・・・
それはフィギュアと言って、 魔法少女アニメのヒロインの 変身シーンが忠実に再現され・・・
年頃の男の子がアニメの人形を 部屋に飾るなんて、狂っておるわ! まったく、世も末じゃ!
あら、爺様の部屋にだって、 博多人形が飾ってるじゃ ありませんか?
あれもうら若く美しい女性の 人形じゃありませんでしたっけ?
ぐぎぎ! あれは違うのだ! あれは・・・
爺さんや、よく聞きなさい。 物事の表面の部分だけを見て、 その本質を判断できないのは・・・
人生経験の豊富な老人として、 最も恥ずべきことでは ありませんかな?
ぐぎぎぎ・・・ちくしょう! 今日のところは許してやるが、 覚えておけよ!
わしはまだお前のオタク趣味 とやらを認めたわけじゃないぞ!
全く、困った爺さんだよ・・・
婆ちゃん・・・ 助太刀してくれて、ありがとうよ。
どういたしまして。 お前の人生はお前のものだから 何でも好きにするがええさ。
人間のやる事なんて、 いつの時代でもそうそう変わる もんじゃないんだかんね。
・・・ただし、 何事も「ほどほど」にな。
ああ、分かったよ。
あと、男の子なら、ちゃんと自分で 言い返せるできるようにならなきゃ ダメじゃぞ。分かったかの?
まったくだ、 婆ちゃんの言うとおりだよ。