“どSくんと牝豚先生”

(どうしよう……すごく言いたい……でも言えない……)

(なんだろう……この気分……)

それでは、みなさん。教科書の87ページを開いてね。

(どうして、先生が牝豚になっているのだろう……?)

たしか、昨日までは……。

……あーもう、うざっ!

教師とか、めんどくてやっとられんわ! ガキはピーチクパーチクうるさいし、校長はジジイだし、父兄はオヤジばっかりだし、校長ハゲだし!

(父兄がオヤジばっかりなのは、あたりまえだろ。この牝豚め!)

ちょっと聞いてんの? そこの眼鏡! テメーだよ……やだっ。私も眼鏡だし、これチョーウケるんですけどー。

ええ。聞いてますよ。

(自分のクラスの生徒の名前ぐらいおぼえろよ、この牝豚!)

(こういう女は縄で縛って、公園の男子トイレの便座に縛りつけてから、『1回30円』とかラクガキしてやりたい……!)

(それでひと晩ほったらかしにしておいたら、さぞかし胸がスカッとするだろうなあ!)

おいちょっと。聞いてんのかよ、おまえは。

ええ。聞いてますよ。

そっか。それならいいんだ。

あのね、先生ね。今日ね、すごく……すっごくムカついてるんだ。

それで、アソコが……ジンジン疼いちゃって……。

堪忍袋?

そうそれ。先生の……堪忍袋が朝から疼きっぱなしなの。

『堪忍袋の緒が切れた』って、年寄り臭い言い回しですよね。

私、おばあちゃんっ子だったから……。

おばあちゃんから生まれた?

そうじゃなくって、ん……あ……や、やめ……そこ……待って、怖いよ……。

こちらのボケを全力スルーで、色ボケで返すとか斬新すぎるのやめてください。

そういうの悲しいよね。悲しくなっちゃうよね……。

そんなだから……このやるせない世の中が滅んでしまえばいいな、って。

あのっ、ほら……アレよ。えっと……中2病っていうのかな? あの……聖槍グングニルとか持ちたくなっちゃう感じ? わかる? わかるよね?

(まったくわかんねーよ!)

(俺のグングニル握らせてやろうか牝豚ぁ!)

(テメーなんか全国から集めた校長をギッシリ満載した電車に密着48時間ぐらい閉じ込められて、もみくちゃにされてりゃいいんだよ!)

(それでもって、その映像の一部始終を記録したDVDを『校長特急もみくちゃ』ってタイトルで発売されてしまえばいいんだ!)

あー、それにしてもつまんねーな。

平和っていいですね。

ちょっとおまえさあ、何か面白いことしてみろよ。

面白いこと……?

校長のカツラをヒョイと奪ってきてさ。それでもって、鼻の穴にチクワをブッ刺したまま全裸で廊下を笑いながら走るとかさ。

そのまま町内一周してきてもいいぞ。ギャハハ!

すみません。お断りします。

(この牝豚の頭を踏みつけて、舌で床掃除とかさせたら……きっとすごく面白いだろうなあ……いいなあ……やってみたいなあ……)

なんか今、変なこと考えてなかった?

っていうか、さっきからずっと。

そ、そんなことないですよ~。

うふふふふふふふ。

はは……あははははは……。

だって、あんた目つきやらしいんだもん。眼鏡黒いし……固くて、ゴツゴツしてそうだし……やだ、透けちゃってる……。

(眼鏡は関係ねえだろ!)

(っていうかレンズは透けてなかったら見えねえだろ! フレームは固くて黒くてゴツゴツしてるらぁ!)

やだ……どうしよう。おそろいの眼鏡だったら……なに、これ……れ、レーシック……手術、受けたくて……なにこれ……感じちゃう……。

(受けるがいいさ!)

(テメェみたいな牝豚には、眼鏡なんざもったいないんだよ! 分不相応っていうんだ! 裸眼で見抜きすっぞ!)

(ククク……視界がボヤけて、妄想度は300%アップだ!)

(俺が眼鏡であることに感謝するんだな! この牝豚め!)

また妙なこと考えてるだろ~?

えっ? え……何の話ですか?

(なんてクソウゼェ牝豚だ!)

(テメエなんざ……マジで牝豚になっちまえ!)

(いや……この俺の手で、立派な牝豚に調教してやる!)

(人気のない屋上で! 人通りの少ない路地裏で! 誰もいない夜の公園で! みんなが帰ったあとの教室で! 一人静かな自分の部屋で!)

(人の目に触れないかぎり最強の……誰もいないところでは無敵を誇る、この俺様にひれ伏せ牝豚ぁ! 絶技エア調教でしつけてやるぜっ!)

話してたら、おなかがペコちゃんだから、先生もう帰るね。

お疲れ様。さようなら。

このポーズだと、胸の谷間スゴいだろー。

ビッグバンだろー。小宇宙って書いてコスモ感じちゃうだろー。星丸だろー。

あ、はい。そうですね。

もう……どこ見てんのよエッチ! あんたは生徒で、私は教師なんだから……家に帰ったら冷蔵庫に残った牛乳の賞味期限、確かめなくっちゃ。

(白くてドロドロとした濃厚な液体を『こんなに……お口にいっぱい……もう飲めません。許して……』っていうぐらい飲ませてやろうか……!)

(っていうか、さっさと帰れよ。この牝豚……)

それで、ひと晩明けたら……。

それでは、みなさん。今日もがんばって学んでくださいね。

(なんか先生、牝豚になってる!?)

いい? ここは試験に出るから、きちんとノートをとってね。

ここを丸暗記したら、先生のテストは満点つけてあげるから、ちゃんとおぼえておくのよ。

学校の勉強はね、社会に出てからすぐには役立たないかもしれないけれど……みんなの人生を豊かにしてくれるものだから、しっかり学んでね。

(しかも、なんかすごくいい人……じゃなくて、調教されきった良質の牝豚っぽいし!)

それでは次のページを開いてブー。

(そのうえ語尾がブーだとっ……!)

この段階で、誰が気づいていただろうか……。

地球を狙う……やつらの魔の手が迫っていることを!!

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Posted at 2012/06/03 20:29 Viewed 84 times

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先生が豚になっちゃった。

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