“天野さんは天気屋”

天野さんは、この世の天気を司る人だ。

彼女が笑えば、燦々と太陽が照りつけ、

彼女が怒れば、たちまち雷雲が立ち込める。

そして明日は水泳大会。

私はカナヅチなので、できれば明日は雨で中止になってほしいな。

だから私は、彼女を泣かせることに決めた。

まず、私は彼女の大事にしている筆入れを隠した。

すぐに天気は曇りになった。

次に、彼女の本に落書きしたり、机やロッカーにゴミを詰めた。

放課後になる頃には、ぽつりぽつりとだが細かい雨が降り出していた。

あと一押し。

とどめに彼女の携帯に匿名で、「死ね」などという中傷メールを何百通も送った。

夜には、窓を叩きつける程のひどい雨になっていた。

この様子だと、明日は雨で水泳大会は中止だな。

でも自分の勝手な都合で天野さんに悪いことしたな。明日学校でちゃんと謝ろう。

翌日。

朝だというのに太陽が一向に出てこない。

雲もない、雨も降っていない、星も月も見えない。空には何も無くただ真っ暗だった。

この事はすぐ各メディアが大きく取り上げ、世界はパニックになった。

新聞の隅っこに、天野さんが自殺したという記事が小さくだが取り上げられていた。

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Posted at 2013/06/05 23:43 Viewed 13 times

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