Ｚｚｚ……
ガラガラッ！
グゥ……グゥ……
…………
ガラガラ……ピシャン……
ガラガラッ！
…………
スピー……スピー……
…………ｳﾌｯ
ガラガラ……ピシャン……
ガラガラガラッ！！
や、やばいぃ！ 朝一が移動教室の日に寝坊しちゃったぁ！
誰もいないってことは、もうみんな移動して……ん？
ムニャムニャ……ニャムニャム……
…………
ガラガラ……ピシャン……
うわあぁ！ あと１分しかないぃ！！
タッタッタッタ……
ムニャムニャ……また『(・∀・)ｲｲﾈ』がふえてる……ウーン、ムニャムニャ……
…………
……
グゴー……グゴッ、フッ！
ゲホッゲホッ！ ふぅ……
んーーーー！ よく寝たー……
……よく、寝た？
ガバッ！
９時……！ やべぇ、寝過ごしたぁ！！
バタバタッ！
ガラガラッ！ ピシャン！！
タッタッタッタ……
せめて１人だけでも起こしてくれる人いなかったのかよ～……
ハァ……ハァ…… 着いた……
ガラガラッ
す、すいません…… 遅れました……
遅いぞ、川井。 減点だからな！
そんなぁ！
な、何で誰も起こしてくれないんだよ！ 教室で俺が寝てるのに気付いてただろ！？
…………
だって……ねぇ……
うん……
な……何だよ……
あのな、川井。
ん？
スゥ……
「「お前の寝顔が可愛いからだよ」」 「「貴方の寝顔が可愛いからよ」」
…………は？
あんなにキュートでプリチーな寝顔見せられて、起こせる訳ないじゃない！ 無茶言わないでよ！
え、いや、お前何言って……
私遅刻しそうで急いでたのに、川井君の寝顔に気付いて思わずその場で見惚れちゃった……
さすがに授業の出席を優先しちゃったけど、もっと見たかったんだよ？ 本当だよ！？
いや……んなことに念押されても……
同姓の僕からしても、川井の寝顔は最高に可愛いと思うよ。
もう一度、僕にだけ君の寝顔を見せて欲しい……ｳﾌｯ
お、おい、キャラが変わり過ぎで鳥肌止まんねぇぞ！ お前男だろ！？
男がお前の寝顔を愛でていけないルールなんてないよ。 ほら。
（男子Ａ）おい！ 自分だけ独り占めしようとするなんてズリぃぞ！
（男子Ｂ）俺たちも川井の寝顔を愛でたい気持ちは一緒なんだ！
ｳﾌｯ、わかってるって、冗談だよ。 川井の寝顔はみんなのものだ。独り占めなんて許されないよ。
いや、勝手にお前らのものにしないで……
呆れたアホ共ね。 寝言は川井君が発する寝言だけで十分よ。
な、何だと！？
あんたらが、川井君の寝顔はみんなのものとかほざいてるから教えてあげるわ。
今日、川井君はこのクラスで一番早く教室に着いたのよ。 いつもは私が必ず一番に着いてるから、間違いないわ。
あ、あぁ。 気まぐれでかなり早く学校に来たんだけど、眠くなったから移動する時間まで仮眠を取ろうと思ったんだ。
そう、つまり川井君の寝顔を最初に拝んだのはこの私…… だから、私には権利があったのよ！
け、権利って何の権利だっ！？
……川井 音我雄（ねがお）君の可愛い寝顔に、私のファーストキッスを捧げる権利が……
「「…………エエエエエエエエエエエエエエーーーーーーーーッ！？」」
いや寝顔に捧げるってどういう意味……
信ッじらんない！！ 抜け駆けなんてしやがって、こんのアマぁ！！
みんな川井君の寝顔が大好きなんだよ！？ みんなに悪いとか思わないの！？
悪だ！ 奴はこのクラスから川井の寝顔を奪おうとする悪魔なんだ！！
黙れニワカ共！ 川井君……いや、音我雄君の寝顔は私だけのものだぁ！！
ワイワイ！！ ガヤガヤ！！
…………
……何だよ、みんな好き勝手ばっか言いやがって！！
アッタマきた、不貞寝してやる！！
バタッ！
Ｚｚｚ……
……ッ！？ みんな、静かに！
川井君が、寝始めてるわよ……
…………
……おっと、写メ写メ。
おい、写メは音鳴るだろ。やめろよ。
…………ｳﾌｯ
どきなさい底辺共。 私が音我雄君の寝顔に……セカンドキッスを……
なっ、ちょっと、川井君から離れなさい、このアマっ……
……先生も、川井の寝顔写真撮っていいかな？
（…………）
（もうヤダ……このクラス……）
ー終ー
