「今日は卒業式だ。三年間、短かったような気がするな。ん？ 何だ。机の中に手紙が」
突然の手紙ごめんなさい。どうしようか迷ったんだけど、勇気を出して書きました。
良かったら、校舎隅の坂にある例のあの木の元へと来てもらえませんか。話したいことがあります。
「名前は書いてないな」
おい、どうしたんだよ
「ちょっと、行ってくる」
「はぁはぁはぁ」
「き、君は……」
来て、くれたんだ……嬉しいな。急に呼びだしてゴメンね
「ううん、いいよ。それで話っていうのは？」
うん。私ね、ずっと迷ってたんだけど、この木の下なら勇気を出して言えそうだと思ったの。私は、あなたの事が好きです
「あぁ、俺も好きだよ」
本当に！？ そんな、私、絶対無理だと思ってたから
リンゴーン、リンゴーン
あ、壊れているはずの鐘が鳴って、私たちを祝福してくれてる
「あぁ、そうだね」
絶対この後、別れるわね
「あぁ、絶対だ」
そもそも言い伝えに力を借りなきゃ壊れるような関係なんて、最初から破綻が見えてるのよ
「そうだな、破綻が……って」
ん？ 何よ？
何よ、じゃねぇよ。何で良い所でお前が出てくんだよ
はぁ、日曜の昼間っからエロゲなんてして
エロゲじゃねぇよ！
ギャルゲ？
……
どっちでもいいけどさ。他にやる事無いの？ 卒業間近なんだから、やり残した事とかさ？
無いね。むしろ、このゲームだね
大学も早々に推薦取れたからって、気が緩みすぎよ。……私が、同じ学校に行く為にどれだけ苦労したか……
なんか言ったか？
と、とにかく！！ そんなゲームやってるんじゃないの！！
そりゃ、その子はおっぱい大きいし、優しそうだし、清楚だし……ぐぅぅ！ でも、卒業しちゃったらどうなるか分からないよ！！
どうにもならないだろ
そんな事無いね！！ 環境が人を変えていくんだよ！！
だとしても、ゲームなんだからいいじゃねぇか。なんでそんなに突っかかってくるんだよ
……幼馴染みとして、ゲーム如きには負けられないの
張り合うなよ
私は変わらないよ。あなたの側に居るから。今までだって、ずっと一緒だったし
あぁ、一緒に居てくれ。それが俺も一番嬉しいから
なら、日曜日の昼にすることは分かってるよね？
はぁ。出かけるか？
うん！
卒業と共に環境は変わる。その変化は二人にも影響を与えるだろうが、二人の関係はずっとこの先も変わらない。
えへへ、好きだよ
……分かってるよ。俺も、まぁ、その……好きだ
うん！
