“不思議な体験談”

これは私が中学を卒業して高校に入った少し後のことです。

いつものように学校と部活が終わり、いつもの道を帰ろうとしました。

しかし部活がいつもより遅くなってしまい、いつもの道では明かりが無く、暗いので、その日は別の道を通ることにしました。

人通りは少ないけれど、大きな街灯がある道です。

あ~あ、見たいテレビがあったのに。

しっかし明かりがあっても怖いなぁ~。 お化けとかでないよね?

ん?

あれは! 人だ! よかった~。

私は嬉しくなって近づきました。

(うぁ、なんだかすごい落ち込んでるっぽい)

(でも見た感じ私と同い年かな?)

はっ! 誰!?

うえ!? ああ、す、すみません。

え? あ、こっちこそ驚かせてごめんなさい。

・・・。

・・・。

二人「「あははは」」

私、東賀井っていうの。

私は京といいます。 中学の一番の友達にけいちゃんと言われてました。

京…

どうしました?

な、なんでもないよ!?

じゃ、じゃあ私もけいちゃんって呼ぶね。

じゃあ私はひがちゃんって呼ぶね。

もうちょっと捻ってよ。

がーん。

それがひがちゃんとの出会いでした。

その日以来から私は夜遅くなったらあの道を通ってひがちゃんとお話しするようになりました。

こら寝るな!

ごめんなさい!

部活動はテニス部ですが、一年なので球拾いです。

ぼさっとしてないで拾いなさい!

す、すみません!

部長は厳しいです。

そっか、今日も大変だったね。

もうすごく大変! 中学に戻りたいよ! ナベちゃんに会いたい!

ナベちゃん?

中学のお友達。

ただ、卒業する寸前に引っ越してしまったのよね。

その子のこと大切だったんだね。

もちろん! 切っても切れない仲だよ!

よかったわね。

ところでひがちゃんは友達いないの?

え?

前から気になってたから。

・・・。

私は同じ学校には友達いないの。

え? そうだったの… ごめん。

気にしないで。

今はあなたがお友達だから。

うん! ありが…

あ~! よく見たらもうこんな時間! ドラマ見逃しちゃう!

じゃあまたいつか。 私はここで待ってるね。

ご、ごめんね!

私も戻ろう。

ある日、事件が起きました。

80点とは、やればできるじゃないか。

やったー!

あなた、そろそろ練習試合してもいいよ。

え!?

他の一年より頑張ってるからね。 期待してるよ。

あ、ありがとうございます!

今日はいいことがいっぱいあったな~。

ひがちゃんに自慢してやろ~と!

あれ?

いつもはいるのに今日はいないなんて。

風邪でも引いたのかな?

ねえ。

はい?

君さ、俺のものにならない?

はい?

ずっと見てたんだよ俺。 だからさ、俺のものになれよ!

す、ストーカー!?

俺の家に行こうか! さあ!

いやあああ! 放して~!

逃がさないよ! あきらめて俺のものになれよ!

誰か、誰か助けて~!

ビキビキ。

大丈夫! ちゃんと三食つけるから!

いやあああああ!

ビキビキ。

ん?

バキバキ。

はっ!

バキン!

な、なんだ!?

とりゃ!

な、が、街灯が折れた!

ドシ~ン!

ぎゃあああああ!

あ、危なかった~。

はっ! 警察に電話しなきゃ!

その後、

おら! さっさと歩け!

くそう、街灯さえ倒れなければ完璧だったのに。

話は署で聞く。

奴はここら辺で出没していたストーカーでした。 お手柄です。

ど、どうも。

しかし、変ですね?

何がですか?

街灯は古くないはずなのに根元から折れてるんですよ。

でもおかげで助かった。

今日はもうおかえりになって休んでください。

は、はい。

ただいま~。

警察から電話来たけど大丈夫だったの!?

うん。

よかった~。 本当に無事で。

もう少し気をつけます。

なるべく部長さんに相談して早く帰るようにしなさいね。

ああ、後それとね。

うん?

中学の時の友達のナベちゃんって子だけど。

電話来たの!?

ええ、でも…

でも?

さっき亡くなったそうよ。

・・・。

病院はここなんだけど。

行って来る!

ナベちゃん!!

あら、あなたは中学の時、娘のお友達だった…

京です! ナベちゃんは!?

・・・。

私はベッドに駆け寄りました。

すると、

ええ!?

うそ!? なんでひがちゃんが!?

娘はね、毎日あそこの街灯の下でゆっくりするのがよほど好きだったのか、夜に病室を抜け出してはあそこに行ってたの。

・・・。

体は痛いし、薬でつらいはずなのにほとんど毎日。よほど嬉しいことがあったのね。

・・・。

でも街灯が折れてしまうなんて。

え!?

私は窓へ駆け寄りました。

すると、

あの街灯が病室から見えたんです。

もしかしたらあの時、街灯が折れたのはナベちゃんが私を守るためにしたのではないかと自分の中で考えました。

そしてナベちゃんは名前を偽って私と夜に抜け出してはお話をしていたんだと私は思いました。

偽った理由は多分、自分の病気のことを私に知られたくないからかと思います。

病気は中学の卒業の時にはもう助からない段階まで来ていたそうです。 だから私に連絡出来なかったそうです。

そして、

さてと。

今日はね、テストで90点とってまた先生に褒められたよ。

街灯の下に花を置いては、夜にお話をするのが日課になりました。 天国のナベちゃんに声が届くように少し大きな声で。

ちなみに東賀井はとうがいとも読み、並べ替えるとがいとうになるみたい。 ナベちゃんも人の事言えないね。

みなさんも、夜の街明かりに想いを寄せてみてはいかがですか。 もしかしたら届くかもしれませんね。

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Posted at 2013/11/29 19:45 Viewed 12 times

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相変わらずのページ数… 思い浮かんだことを繋げて感動っぽいものにしてみました。 やはり難しいですね。

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