前回のあらすじ
幼馴染の美羽と婚約する事になり戸惑う大和。
学校へ向かう途中友人の雅樹と会い、振り回されながらも学校へ向かう。
Future Bride 第三話 「ラブレターと焼きもち」
はぁ……一日が始まったばかりだというのに何か疲れた……。
おいおいおーい！せっかくの朝なのにテンション低いぞ！！もっと気合入れろ！もっと熱くなれよ！！
いやお前のそのテンションはおかしい、もう少し静かにしていろ。
えー！？むーりー！！ 人生は一度しか無いんだぞ！？今を楽しまないと損じゃないか！！
脳内すっからかんな奴がよく言うよ……。
んな！！お、俺にだって悩みはあるぞ！！例えば彼女が出来ない事とか！！
あはは！二人とも早くしないと遅れるよ！！
助けて美羽ちゃーん。 大和が俺の事苛めるー。
何美羽に泣きついてんだお前は！！ チャラ男か！！
チャ、チャチャチャチャラ男ちゃうわ！！
うっわ……バレバレ。
……ん？何か入ってるな……。
……っ！！こ、これは……手紙？
？どうした大和、その手に持っている封筒は何だ？
今下駄箱を開けたら中に入っていた……。
んな！！ それ……ラブレターじゃねぇか！？
っ！！！！
いや待てよ？こんな根暗眼鏡に言い寄ってくる奴なんて想像出来ないな……もしかして果たし状か？
おい脳味噌すっからかんボーイ、今すぐお前に果たし状を送りつけてやろうか？
……って美羽？どうした？
……大和に……ラブレター……。
っておい美羽！？どうした！？何で泣いて……。
駄目ーーーーーーーっ！！！
んな！？お、おい美羽？
大和は私のなの！！他の人に取られたくない！！絶対に誰にも……渡さない！！
(何だ……？美羽が急にこんな行動を取るなんて……まさか、このラブレターぽい何かのせいか？)
(……って事はこれもしかして……嫉妬か？コイツここまで嫉妬深い奴だったか？)
(……不安になる気持ちは分かるが……杞憂だという事を分かってもらわないとな)
美羽。
嫌。
そんなに心配しなくて大丈夫だって……お前、朝の事を忘れたのか？
わ、忘れてない！忘れてないよ！！ ってか忘れるなんて絶対嫌だよ！！
……やっと、大和と結婚出来る様になったんだから……。
ならそんなにしょぼくれた顔をするな、ドンと胸を張れ。
そもそも……こんな紙切れ一枚に俺の心が揺れ動くとでも思ったか？
……大和ぉ！！
わ！！ 痛い！痛いって！！そんなに力を込めるんじゃない！！
大和……大和ぉ……！！
(……つい勢いに乗って朝の出来事を出してしまったが……これで良いのか？)
(まだ高校生だぞ？これからという時に本当に将来を決めて良いのか？)
(……くっ、美羽のこの幸せそうな表情を見ているとそんな疑問も薄れていく……)
……あのね、大和。 実は私……まだ不安なの、こんなに幸せな気持ちなのに……。
もしかしたら……大和にもっと素敵な人が出てきて、心が移っちゃって……朝の話も全部無しになって……一人ぼっちになるのが……怖いの。
(……っ！お前……そこまで……)
だから、さ……本当は駄目だけど……出来るだけ私の事を見て……欲しいかな……。
……何を言っているんだお前は。
小さい頃から俺は美羽しか見てきてないぞ、今までお前以外に目移りした事なんて……一度も無いさ。
大和……。
だからそんなに不安そうな顔をするな、泣くな。俺が側に居るんだ安心しろ。
……う……うぅ……ありがとう……大和。
……ほほぅ？
(っ！しまった！！コイツが居たのを忘れていた！！)
あれあれ？お前らまさかそういう関係……。
忘れろ！今見たこと聞いたこと全力で記憶から消せ！！
……裏切ったな。
何……？
裏切ったな！俺の気持ちを裏切ったな！！悪いな大和！俺はお前を全力で殴らないといけないんだ！！
どこの中学生だよお前は！！
全く……下駄箱に入っていたラブレターのせいで微妙な雰囲気になってしまったな。
相変わらず美羽もさっきから泣き止む事もなく俺に抱き付いているが……。
泣きながらもどこか嬉しそうな表情をしていたのでよしとしよう……。
第三話 「ラブレターと焼きもち」 ＥＮＤ
