『戦う巫女さん 第一幕』

戦いのたびに思い出すことがある。

半年ほど前、京都の実家近くにある神社で妹と遊んでいた時の事……。

私が小さい頃から遊んでいた場所だから、安全だと思っていた。

だけど……私たちの前に"それ"は姿を現した。

"それ"は姿を現すと、突然私たちに襲いかかってきた。

逃げなきゃ……そう思っていたが、恐怖に身を包まれた私は動くことができなかった。

妹は喚き、私はどうしていいのかわからなかった。

クマァァァァァ!!!!

"それ"は大きな腕を挙げ、勢いよく振り下げた……。

デュクシ

次の瞬間、肉を切り裂く音が聞こえた……。

だけど……痛みは無かった。

ギャァァァァァァ!!!!

突然の大声に驚き、私は目を開けた……。

目を開けるとそこには、見知らぬ少女が私たちを庇うように立っていた。

私の体には傷は無く、傷ついていたのは"それ"だった。

……妖怪め、まだ残っていたのか!

その少女は"それ"を妖怪と呼んだ。

……だけど、私にはもう……。

お願いっ! 私の力……受け取って!!

少女は私の額に手をかざし、力を込めた。

え……ええっ……?

見知らぬ少女から、何か不思議な力が伝わってくる感じがした。

……お願い……後は……頼みました……力を無くした私が迷惑をかけるかもしれない……けど……

ドンッ

え、えっ!? だ、大丈夫!!?

言葉は意味不明なものばかりだったけど、不思議な力のせいなのか……戦う気が満ち溢れてくる。

妹を守りたいという気持ち……。助けてくれたこの人を守りたいと思う気持ち……。

気が付くと私は、妖怪と呼ばれた"それ"に身構えていた。

(そう、これが私の初めての変身……)

(その時の様子は今でもはっきりと覚えている)

(妹はまだ小さいから、何が起こったのか分からない感じだったし)

(その見知らぬ少女は、力を無くした……とか言って変なしゃべり方になって……)

(大切な記憶を忘れていて、とにかく妖怪を倒さなきゃいけないと言うことしか覚えていなかった)

(それと……美羽って名前だけ……)

(今思うと、私がいいように踊らされているだけの様な気がするんだけど……)

(あの時の美羽の表情は真剣だった……)

(この不思議な力を貰った時に感じた、誰かを守りたいと思う気持ち……)

(それは美羽の気持ちなんじゃないかと思ってる)

(美羽はきっと、私と出会う前にも誰かを助けていた感じがする……)

(ずっと一人で妖怪と戦い続けていた……そんな感じがする……)

(全部私の思い込みかもしれないけど……私が戦わなきゃ美羽だけじゃなく、他の人も傷ついてしまう)

(それだけは嫌なの……私の住むこの街が壊されていくのは……)

(だから私は……戦うの!)

智ちゃん、今です! 必殺技を決めるです!

わかったわ美羽!

(それに……)

内に秘められしマナ達よ!

(美羽は私の……)

その力を解き放ち、我に聖なる力を与えたまえ!

(初めての……)

ミコミラクル☆きゃのーん!

ギャァァァァァァ!!!!

(友達……だから……)

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公開日 2012/09/17 11:46 再生回数 19

作者からのコメント

ぷろろーぐからの続きです。伏線貼りすぎて最後の方がごちゃごちゃしないか心配です。

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