…………。
…………智ちゃん、包み隠さずすべてを話すです。
…………うん。
……私と美羽が出会う前のことなんだけど……。
実は私……学校でちょっと嫌なことがあって……不登校なの……。
中学一年生のときもまともに学校に行ってなくて……。
小学校の頃の友達もいないし、お母さん、仕事でいないから……ずっと一人で家にいたの。
二年生になった頃かな……。浅香さんが私の家に訪ねてきたの……。
いきなりだったから、すごくびっくりした。
浅香さん同じクラスで、不登校の私を心配してくれてた。
それから、毎日……学校が終わると私の家に来てくれたの。
勉強の事、クラスメイトの事とか、いっぱい教えてくれた。
ずっとこんな毎日が続けばいいなと思ってた。
そんなある日……浅香さんが「学校に来ない?」って言ってきたの。
私は無理だって言った。
浅香さんは「じゃあ私の入っている部活の部室にだけでも……」って言ってきた。
それでも無理だって言ったけど、浅香さんは「うちは少人数だから大丈夫」とどうしても引かない様子だった。
じゃあ少しだけなら……っていって、私は学校に行くことになったの。
次の日の放課後、浅香さんに連れられて学校にやってきて……。
最初はものすごく心配だったけど……浅香さんも部員のみんなも優しくて、少し落ち着いたの。
その時に私は気が付いたことがあって、浅香さんに質問したの。
そ、そういえば……浅香さん……。浅香さんたちの部活って何を……しているんですか……?
えっ……? あ、そっかー♪ まだいってませんでしたねー!
この部活は……葉月さんのための部活なんですよ?
……え?
私はいったい何がどういうことなのか理解が出来なかった。
まぁ学校に申請してませんから、詳しくは同好会と呼んだ方がいいと思うんですが。
さっそくですが、これを着てもらえませんか?
渡されたのは、大きくお腹が空いた派手な服。
こ、こんなの着れませんよっ!
えー、葉月さんはお友達の言うことが聞けないんですか?
そ、そんなこと……。
ガシッ
ひっ……
勢いよく迫られて、壁に叩きつけられて……。
……っ!
どうせ学校に来ないくせに、どうしてあなたの分まで席を用意したりしなければいけないんですか。
どうして修学旅行とかの部屋割りやらバス席やら用意しなければならないんですか!
葉月さん、もう学校に来てくださいよ。いない人の話をされるのはもううんざりなので。
そ、そんなこと言われてもっ!
心配しなくていいの! あなたは十分人気者なんですから! だからほらっ! これ来てアピールしますよ!
い、いやですっ! 話してくださいっ! やめっ……!
そのあと、私は無理やり脱がされて、変な服を着させられて……学校中を歩きまわされた……。
私は恥ずかしすぎて死ぬかと思った。
それ以来、私は余計に学校に行きたくなくなった。
それでも浅香さんは毎日家を訪ねてきて、私を連れ戻そうとするの。
……ふむ。
……私ね、浅香さんのこと、本当に友達だと思ってた……。
だけど浅香さんは……そうじゃなかったんだね……。
しばらくしたら、浅香さんが家に訪ねてくることは無くなったんだけど……
今日たまたま、会っちゃったの……。
そのあとかな……お母さんが実家に連れて行ってくれたの……。
気が済むまでこっちにいなさいって言われたけど……美羽が来てくれたから……。
……また戻ってきた訳ですか。
美羽……色々なこと忘れちゃってるけど……覚えてる……?
私と……お友達になったこと……。
……もちろんです。美羽は智ちゃんの友達です。
……美羽……。
気が済むまで、美羽と一緒にいるといいです。美羽も出来る限り智ちゃんと一緒にいます。
美羽……。
ギャァァァァァ!!!!
……また、妖怪……!!?
そのようですね……智ちゃん、大丈夫ですか? 無理なら休んでも……。
……大丈夫よ美羽! これは……これだけは約束だから……!!
流石智ちゃんです。
いくわよ!
ミコミラクル☆ちぇーんじ!
さあ、今日もさっさと決めるわよ!
ミコミラクル……
(今……!)
喰らいなさいこの化け物っ!!
……!? ……浅香……さん?
……何です、その恰好は?
うるさいわねこのチビ! あなたはまるで分かってないわ!!
あ……ああ……浅香さん、危ない……。
智子さん? ちょうどいいわ。智子さんに教えてあげます!
チビ……
智子さんに……
チビ……
智子さんに似合うのは……っ!!
チ……ビ……
智子さんにっ! 似合うのはっ!!
パンダァァァァァァ!!!!
魔法少女コスなんですからっっっっ!!!!
ドゴォォォォン!!!!
イヤァァァァァァ!!!!
マ、マジカル智子たん……ミ、ミッションコンプリートだ……にゃん♪
…………。
チ…………ん?
…………は?