最近、奴の様子がおかしいのだ。
奴ってーっと、弟さんのことですかい?
あぁ、奴だ!
奴って…。しかし、どんな状態なんですかい?
ふわふわしていて、ぷかぷかと浮ついている!私が部屋に遊びに行っても、心ここにあらずといった感じだ。
恐らく、種新規というものなんだろうな!
頭ぁ!それを言うなら思春期ですぜ!!
うるさいぞ、熊吉。ぶん殴られたいのか?
いやいや、勘弁して下せぇ。それよりも、弟さんのことは放って置いてあげたほうが…!
甘い!熊吉!!私は奴の姉だ。
(いろいろと理論がぶっ飛んでやがる)
くそっ!!奴にとって、私がどれほど大事な存在かということを思い知らしてやるぞ!!!!
(構ってくれないから、ちょっかいかけようってことですね。)
まってろ我が半身よ!!
(めんどくせぇ!)
ふむ、靴箱。
いかがしましたか、頭。
清秋のにおいがする。
頭、それをいうなら青春ですぜ!
ぶん殴るぞ!
そんなことよりも、弟の観察だ!幸い私にしか、お前は見えて居ない!どういう事か分かるな?
要するに、頭以外に姿の見えないあっしが観察するってことですね?
実に物分りが良くて助かる。
だが、お断りさせていただきます!
な!ぜ!だ!
ひとつひとつ、音を強調しないでくだせぇ!
私が行って弟にばれてみろ。……恥かしいじゃないか!
そこ!?そこなんですかい!?
というか、こんな風に影から靴箱を観察って、変態くさいな。
しかも、傍から見れば独り言ですぜ?
なかなかに酷いな。
まぁ、そんなに気になるなら人伝、いや熊伝に聞くよりも自分で確認してきた方が良いですぜ?
一理あるな。ならば、少し見てくる。
いってらっしゃいませ!
ああ!姉さんじゃないか!
お、おう!私がお姉さんだがなにかな?いや、私はたまたま通りかかって、それで、あの、えー、そのー…
(凄みながら、とてつもなくどもってるんだが……)
最近調子はどうだああああああああああ!
姉さんの方が大丈夫?
朝ごはん残すなんて、お姉ちゃんがっかりだよ。
(大丈夫?の質問はスルー。そして、凄いテンションさがってる)
わ、悪かったよ!今日は急いでたんだって!
そうか、そうか!夜はちゃんと帰ってくるんだろう?そのときに、朝の残りも……
いや、今日は友達の家に行ってご飯ご馳走になるんだよ。言ってなかったっけ?
え?なんだって?
(……地雷ってやつか)
(俺、終了のお知らせ)
え?なんだって?
(壊れかけの姉さん。しかも台詞はよくある、どこかの鈍感主人公のもの)
(その効果は……聞こえているはずの現実を受け止めない)
いいさ、1人で食べるよ。今から1人で帰って、1人で料理作って、1人でお風呂入って、1人で寝る。
(やべぇえええええ!親父とお袋の存在を完璧にスルーしてる!)
弟君。
な、なんでしょうか!
今夜は寝かさん!覚えているんだな!この鈍感阿呆馬鹿ああああ!!!
開き直った!?
不器用ですなぁ、頭。
分かってはいるんだ。そう傷に砂糖を塗るな…!
塩ですぜ、頭。
うん。なんかどーでもいいよ。
(弟さんも、恐らく……)
悪いな、最近付き合ってもらって!
構いませんよ。私は先輩にはお世話になっていますし。
それ、姉さん聞いたら調子乗るだろうなぁ。
安易に想像できますね。
私が、この私がお世話をしているんだ!はーっはっははっはっは!
うげぇ、ごほっ、うぉええ!
ここん所練っていた誕生日パーティーが火を噴く日ですね。
あぁ、姉さんも驚くだろう!ふふっ!
(そうやって、誰かのために頑張るあなたが好きですよ)
さぁ、行こうぜ!
良かったですな、頭!
弟が私を放置するはずがないと、私は最初から知っていた。
(嘘つかんでください……)
しかし、後輩君のあの目。もしや我が半身を?!
(勘が鋭いのか鈍いのか……)
良い!奪えるものなら奪いに来い!!
この後はしばらくの間、頭は大人しかったですな。しかし、弟さんと頭、後輩殿の複雑な関係はさらにもつれそう。
また、どこかで話す機会があれば! 詳しく話をしたいと思います。 それでは、あっしはここいらで、失礼させていただきます! では、また!