ーー地球人の家族に潜入した宇宙人であるわたしは、この星の人たちの調査をはじめましたーー
ううーーん！！ 困った！ こまったあ！！
あれ、どうしたの？ お父さん。
このパソコンがおかしいのだ！
ぱそこん？
電源入れても画面が出んのだ！
ふぅん、どれどれ？
（これがぱそこん？ ずいぶん簡単な作りのマシンだね。これが地球のテクノロジー？）
あ、お父さん、モニターケーブルがはずれてるだけだよ。付け直せば、ほら。
おおっ！！ 画面が出たぞ！！
ありがとうナナミ。ナナミは機械に強いんだなー。
えへへ。それほどでもないよ。
（ふぅむ。地球人は、自らのテクノロジーも、まともに使いこなせないのか。報告書に記録しておこう）
きゃー！ 二ノ宮くぅーん！！
あれ？ どうしたの、お母さん？
このドラマの主役の二ノ宮くんがね、とってもカッコイイの！
へえ、そうなんだ。
きゃー！ 二ノ宮くーん！！
（ふぅむ。地球の成人女性は、いい年こいてアイドルに夢中か。報告書に記録しておこう）
お兄ちゃん、聞きたいことがあるんだけど……。
うわあああ！！
ん？ 今なに隠したの？
お、お前！ 部屋に入ってくるときはノックぐらいしろよ！！
なにしてたの、お兄ちゃん。
いや、あのそのっ！
あー、なんかヘンなことしてたんでしょ？
ば、ばか！ そんなわけ……。
あれえ？ ここにある、裸の人が表紙の本、なあに？
うわあああ！！ 勝手にいじるなああ！
も、もう！ 今いそがしいんだから、あとにしてくれよ！！
はいはい、わかったわかった。
(ふぅむ。地球の青少年は、なぜか”ある行為”のときだけ、異常にプライバシーを主張するのか。記録しておこう）
ふぅむ。地球人というのは、なかなか面白い人たちだね。調査のしがいがあるよ。
お、ナナミ。
あれ？ もういいのぉ？
う、うるさいな！ すっきりしたからいいんだよ！！
それよりさ、これからコンビニ行くんだけど、一緒に来るか？
こんびに？
（なんだろ？ 調査の必要があるな）
うん！ 行く行く！
よし、行こう。
ここがコンビニ？
ん？ どうかした？
別になんでもないよ。
（ふぅむ、なるほど。地球人が生活するための雑貨や食品を扱うお店か。こんな夜中までやってるんだ）
お兄ちゃん、このコンビニって、夜中までやってるなんて凄いね。
はぁ？ なに言ってんだよ。コンビニは２４時間営業だよ。
ええっ！？ 一日中やってるの！？
（こ、これは報告しなければ！）
ほら、中へ入ろう。
う、うん！
お、お兄ちゃん、ここに並んでいる食べ物らしきものはなに？
は？ プリンだけど？ 食べたいのか？
（ぷりん？ なんだろ？ 調査しなければ！）
じゃあ、ひとつ買って！
べつにいいけど。ナナミはスイーツが好きなんだ。
ありがとうございましたー。
ぷりん、ぷりん。
どうしたんだよ、プリンで喜んだりして。そんなに好きなのか？
あ、いやその語感が面白いなって。
あっはっは！
お！ ナナミ見ろ！
星がきれいだな。
そうだね。
（地球から見上げた宇宙は、こう映るんだ）
そういえば、さっきぼくの部屋へ来たとき、聞きたいことあるっていってたよな。
なにが聞きたかったんだ？
あ、いや、その、つまんないことかもしれないけど……。
お兄ちゃんは、宇宙人っていると思う？
なんだよそれ？
うーん、そうだな、宇宙って広いから、ぼくたち以外にどこかの星に誰かいるんじゃないかな？
じゃ、じゃあさ、その宇宙人と仲良くする事ってできると思う？
うーん、よくわかんないなあ。でも、同じ宇宙に生きる生命体なんだから、仲良くできるんじゃないの？
そーだよね！
ナナミって、ときどき変だよな。
じゃ、じゃあさ！ わたし……、ナナミが妹なのはうれしい？
はぁ？ 当たり前だろ！
エヘヘ！ お兄ちゃん！ だーいすき！
お前、変すぎるぞ。
ーーこうして、地球での、わたしの調査期間は、過ぎていくのでしたーー
第三話へつづく
