“妹とSFモノ。第三話”

ーー地球人、いえ、お兄ちゃんたちとのたのしい生活。それは、わたしたち宇宙人にはない、暖かいものでしたーー

ーーわたしは本来の任務を忘れ、地球での生活にのめりこんでいましたーー

ぐわはあっ!! ナナミ! ナナミー!!

なあに? お父さん。

またパソコンの奴が言う事きかんのだ!なんとかしてくれ!!

ええっ!? また? しょうがないなあ。

ねえねえ、ナナミちゃん!

なあに? お母さん。

キムタクって、男の渋みが出てきたと思わない?

思う! 思う! カッコイイよね!!

ただいまー。

あ、おかえり、お兄ちゃん。

はっ!!

お兄ちゃん、今うしろに隠したのなに?

な、なんでもないよ。

どーせ、またやらしい本でしょう!!

違うよ! 違うんだよ!!

もう、お兄ちゃんはエッチなんだから。

彼女を作らないとだめだよぅ、お・に・い・ちゃ・ん。

ううう……、気にしてる事を!!

妹のくせにナマイキだぞ!!

うわあああん!!

ーー賑やかで楽しい毎日。わたしは、こういう体験をしたことがありませんでした。こんな日々がずっと続けばと思っていましたーー

ーー……でも、その生活も終わりを迎えようとしていましたーー

ん? くんくん。なんかいい匂いがしてきた。

ああ、母さんがカレー作ってんだよ。

かれー?

ぼく、母さんの作るカレー、すごく好きなんだ。楽しみだなあ。

(カレーか。どんな食べ物なんだろう)

二人ともー! ごはんですよー!

お、母さんが呼んでる。行こうぜ。

うん!

夕ごはんは、じゃーん! カレーよ!

匂いでわかるってば! 母さん。

(え? これがカレー?)

(な、なにこれ? こんな泥みたいなの食べろっていうの!?)

(信じらんない! でも確かに香りはいいんだけど……)

あら? ナナミちゃん、中辛じゃイヤだった?

あ、そんなことないけど……。

さあ、食べるとしよう。いただきます。

い、いただきます……。

(ええい! 何事もチャレンジが大事!一口くらいならなんとか……)

ぱくっ! もぐもぐ。

うっわあああ!! すっごくおいしーい!

ナナミちゃんが喜んでくれると、お母さん、うれしいな!

はぐっはぐっ! もぐもぐっ!

おちついて食べろよ。

まだたくさんあるから、おかわりしてもいいのよ?

ほんとー! じゃあおかわり!!

ナナミは食いしん坊だなあ。あんまり食べると太っちゃうぞ。

えー、お兄ちゃんに言われたくないよう。

はっはっはっ!

はああっ! おいしかったあ!

地球の人はいい人だし、食べ物もおいしいし、最高! 来てよかった!

ピーッ、ピーッ、ピーッ!

あ、通信機が鳴ってる。

はい、こちらナナミ。じゃなかった、ナンバー773です。

私だ。

あ、隊長。

ナンバー773。調査のほうはどうだ?

え? 調査?

あーー!!

どうした?

あの、えと、じゅ、順調であります……。

そうか。この星の調査期間はあと少しで終了する。報告書をまとめておくように。

えっ!?

聞こえないのか? 調査はもう終了だ。帰還の準備をしておけ。以上だ。

え? 帰還? もう終わり?

そ、そんなあっ!!

ーー調査期間の終了は近づき、お兄ちゃんたちと別れのときが来ましたーー

第四話へつづく

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Posted at 2012/10/20 21:54 Viewed 17 times

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「妹とSFモノ。」第三話です。

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