『電話2』

プルルルル……プルルルル……。

(電話がなっている!)

(えっと……発信元は……。)

(また知らない番号からだ……。)

(どうしよう。お母さんは無視してもいいって言っていたけれど……。)

プルルルル……プルルルル……。

どうしよう……。やっぱり気になる。

ええい!出ちゃえ!!

もしもし……。

もしもし、そちらは藤井先生の御宅で御座いますか?

(今度は、結構歳を取った年配のおばさんみたい。でも、どっちのだろう?)

はい、そうです。

わたくし、K大医学部附属病院外科医長、準教を務めて居ります森谷保の家内で御座いますが……、

藤井先生の奥様は御在宅されておいででしょうか?

(何だ、お父さんの方か……。)

(あ!でも森谷先生って、確かお父さんより立場が偉い人だよね……。その人の奥さんって事は……。)

(ここで雛子が失礼な事を言ったりしたら……。)

(お父さん、ピンチ!)

申し訳ありません。

今は父も母も用事で家を空けていて、居ません。

あら……。そうですか……。なら、お帰りになるのは何時頃になるかしら?

すみません。わたしにもわかりません。 (雛子、封印!)

多分、夕方遅くになると思います。

あら、そう…………。

あ、あの!宜しければ、わたしが御用件を承って、両親に伝えますが……。

いえいえ、そこまで急ぎの用事ではありませんわ。でも……、

お嬢さんの御厚意に甘えさせて頂こうかしら……。

お父様か、お母様に……。先日は結構な品を贈呈して頂き有難う御座います。

美味しく頂戴致しました……。……とお伝えして貰えないかしら。

はい。確かに伝えておきます。

ありがとう。……お嬢さん、何年生なの?

えっ……。

今、小学3年生です。

あら~~、そうなの――!

まだ小さいのに、こんなしっかりとした受け答えができるのね。

お父様とお母様の育て方が大変宜しいのねえ。良く判るわ。

では、それではおばさんはここで失礼致しましょうか。ご両親に伝えておいて下さいね……。

(ガチャリ……ツ――ツ――ツ――――。)

えっと……。何だかよく解らないけれど……。

褒めて貰ったって事は、雛子の態度は良かったって事なのかな?

伝言はお母さんが帰って来た後でもいいよね、うん!

B
e
f
p
q
r
s
K
O
キーボード操作
  • J 次のページ
  • K 前のページ
  • [ 最初のページ
  • ] 最後のページ
  • E フキダシのモーションON/OFF
  • 0 自動ページ送りOFF
  • 1 自動ページ送り (おそい)
  • 2 自動ページ送り (ふつう)
  • 3 自動ページ送り (はやい)
  • P 自動ページ送りの停止/再開
  • ? キーボード操作の表示
もう一度みる
他の作品をみる
公開日 2012/04/18 13:50 再生回数 24

みんなのコメント

ログインしてコメントを書く…