午後9時半……。
…………。
食べへんの?
う……うん。
(そりゃ、お腹は空いているけれどさ……。)
(さんざん待たせておいてこれは無いんじゃない?)
あら、自分、カレー好きなんちゃうの? 定番やと思っとたんやけどね。
(いや、好きだけど……、大好きだけど。)
(レトルトカレー『だけ』は無いんじゃない?)
(せめて御飯炊こうよ……。)
い……頂きます。
はい、たーんと召し上がれ♡
パクパクムシャムシャ……。 (いや、♡じゃないから……。)
(ああああ、やっぱり御飯かパンが欲しいよ……。)
(しかも、これ。お肉(牛)じゃなくて豚肉じゃん!野菜も少ないし!)
(しかもいくら関西だからって、味が薄過ぎるにも程があるよ!)
(絶対安物だよ!食べ盛りの雛子には拷問だよ!)
(いや、ドヤ顔なんかしなくていいから!割りとマジで……。)
どう?お姉さんの特製カレー。美味しいやろ?
(絶対嘘だ――――!!!!)
(でも、どうしよう?正直に美味しくない、って言っても良いのかな?)
(雫さん、想像以上に柄悪そうだもんな……。)
(ここは嘘で誤魔化す方が得策か……。)
うん、美味しい。
そやろ♪そやろ♪
……って言うと思ったん?
(あ……、あれ……。(焦))
こんな薄っぽいカレーが美味しい訳無いやろ……。
え……、でもこれはこれで雛子はありだと思うよ……。
嘘言ったらアカンでえ……。
嘘じゃないもん!(泣)
と言って、本当は不味いと思ってんのやろ……。素直にそう言ってええんのよ……。
だって、お姉さんも不味いって思うとるんやもん。
味蕾細胞が活発で敏感な子供なら尚な筈やよねえ……?
悪い子はお仕置きせんとね。
…………。 (ガクガクブルブル……。あわわわわ……。)
ごめんねえ。お姉さん、お嬢ちゃんにはな~にも恨みはないんやけど……。
あんたのおかんが『可』さえもくれへんさかい……。
お姉ちゃん、二回も留年する羽目になってもうて、もう実家のオトンとオカンとの関係も滅茶苦茶なんよ。
(自業自得じゃん!)
この間なんて。折角一人暮らしを満喫しとったのに、急にオトンとオカンが乗り込んで来て……。
これ以上単位を落とす事があったらマンションを引き払う!実家に戻れ!
って……。あんまりや、あんまりでしょう?
(いいえ、自縄自縛、因果応報だと思います。口には出さないけどね……。)
それもこれも全部あんたのお母さんの所為や!
何で、あんたのお母さんの講義だけ全部必修科目やねん?!
(知らないよ~~!)
取り敢えず、このままじゃウチの気が収まらんさかい……。
代わりにあんたをサンドバッグにして憂さ晴らしさせてもらうけん、よう覚悟しいや……。
(滅茶苦茶だ――――!助けて――――!)
(余りにも常軌を逸した転回、及び教育的に宜しくない内容の為、省略致します。……作者)