ふう……。
(やっと終わった――――! 今日は塾もないし、ゆっくり帰ろ!)
ひなちゃーん!今日は塾ないでしょ――――?一緒に遊ぼ!
うん!行く――!ちょっと待って!
…………。
…………。
…………。
…………!
…………。
……どうしよう……。瀬奈ちゃんや美代ちゃん達と船岡山で遊んでたらすっかり遅くなっちゃった……。
お母さん、怒ってるだろうな……。
って、そう言えば今夜お母さんもお父さんも帰って来ないじゃん!
あーあ、それならもう少し公園で遊んどけば良かったあ…………。(ぷんぷん!)
(物音) ガチャガチャゴチャゴチャ……。
…………! (誰かいる!?)
(……って、そうだ。お母さんの教え子のお姉さんが来てくれるんだっけ……。)
(じゃあ、駄目じゃん……。どうしよ……。)
(仕方ない。そーっと自分の部屋に行って……、こっそり着替えて……。)
(そろーり、そろーり……。ん?)
あ――――、たっく面倒臭いわ……。
何でウチがタダ働きでこんな事せなあかんねん?
まあ、ウチが2度も留年噛ました所為やけど……。それにしても上原のババアも余計な事を……。
お陰で此方は藤井のおばさんに扱き使われてるわよ……。ったく!
しかも、ガキはガキで帰ってこーへんし……。
(うわあ…………。)
(めっちゃ寛いでる……!)
(しかも、何か今朝会った時と雰囲気一変しているし……。)
(何だろう……。ソファーに寝っ転がってニュースアンカー見てるメイドさんって、超シュール……。)
数分後……。
雫さん……。
…………!
あら、ひな……こちゃん?帰って来てたんやね?
そんならお姉さんに一言声を掛けてくれたら良かったのに……。
そう思ったけど……。雫さん、忙しそうだったから……。
あら、そうやったん。で、お姉さんに何の用?
お母さんが残してくれていたメモに、今日のおやつの事が書いてあって……。
雫さんに聞いて、って……。
ああ、そうやったね。
ちょっと待ってて。今用意するから……。
チッ…………。
(…………うわあ。)
(この人、子供の前で思い切り舌打ちしたよ……。)
(もうヤダあ……。)